第4回 2003年10月27日(月)放送 あらすじ

#4 焼き鳥はどこへ?

 とあるカフェ。松永鈴希(奥菜恵)が、楓由子(ミムラ)に向かって、蒸気機関車を“止めた”という、おじいさんの話を始めた。これも法律談義。つまり松永は、そのおじいさんが機関車を“止める”ために「どんな法律を使ったのか?」を楓に質問したのだ。楓が悩んでいると、黒沢圭子(横山めぐみ)、森乃望(松雪泰子)がやってきて話は中断。一方その頃、居酒屋では羽佐間旬(オダギリジョー)、桐原勇平(堤真一)、田家六太郎(我修院達也)、崎田和康(北村総一朗)が楓たちを待っていた。桐原が、焼き鳥を串から外していると、崎田がとがめる。串で食べてこその焼き鳥と主張する崎田は、バラされたものは桐原が責任を持って食べるよう訴える。同意した桐原が、他の誰も食べるなと宣言した時、楓たち女性陣が到着。この日は、田家の誕生日。仲間がそろい、パーティーが始まると桐原が自分の“鶏肉”を食べた人間がいると騒ぎ出す。先刻の出来事をしらない森乃が、桐原の焼き鳥を食べたのだ。羽佐間たちはなだめるが、桐原は譲らない。森乃はくだらないと突っぱね、全ての焼き鳥を食べてしまう。
 翌日、司法研修所で重松幸輔教官(大杉漣)の講義が始まるが、森乃と桐原はまだ紛争中。折しも、重松は民事訴訟における紛争解決のあり方について講じる。森乃が重松に、「何かもめごとを抱えていないか?」と問われると、横から田家が昨晩の“焼き鳥紛争”を持ち出した。重松はこの問題の紛争解決手段を検討すると言い出す。当事者の森乃と桐原は、お互いの主張をぶつけ合う。優等生の田中一朗(岡田義徳)は、くだらないから却下して欲しいと訴えるが、重松は取り合わない。重松は当事者同士の話し合いで解決することが困難な場合は、法律を使い、ルールに従って解決すべきと言葉を続け、修習生たちは真剣に討論を始める。しかし、問題は容易に解決しない。結局、羽佐間が、もう一度鶏肉を食べて仲直りするという解決方法を持ち出し、一刻も早くこの討論をやめさせたい森乃と桐原は承知する。重松は、2人に和解への話し合いをするよう言い含め、その日の課題に入った。
 重松が出した課題は、当事者同士の話し合いでは埒があかずに、裁判にまでもつれ込んだ実際の紛争。ある男Yが自分で所有する土地を公共施設建設のために町に売却しようとしたところ、一部の住民から反発の声があがったというもの。住民は、主に農業を営むお年寄りたちで、中でもおじいさんXは、男Yが所有する土地の一部が自分のものだと主張。おじいさんXの強硬姿勢に対抗するため、男Yは土地明渡請求の訴えを起こしたのだ。
 教室に残った仲間たちは、紛争解決への討論を始める。しかし、姿があるのは松永、田家、黒沢、崎田、桐原だけ。羽佐間と森乃は買出しに、楓もどこかに行っていた。松永たちは、おじいさんXに分の悪さを感じ、彼を納得する方向に話を進める。松永が、コワモテの人に一喝してもらうなどと軽口をたたくと田家が猛反発。そういう人たちは許せない、森乃さんのような人たちは…田家が声を荒げる。田家は、過去にチンピラ連中から嫌な思いをさせられたのだ。ちょうどそこに森乃と羽佐間が帰ってきた。話を聞いた森乃と田家の間に、緊張した空気が流れるが、羽佐間や桐原のとりなしで、とりあえず落着。話を課題に戻して進めている。すると羽佐間が、男Yが転売目的で土地を購入したことに気づく。しかも、購入元も売却先も公共施設を作ろうとしていた町だ。と、楓が地図を手に教室に来た。楓は、松永から紛争の起きた場所を聞いて、付近の地図を作ってきたと言う。森乃は、松永がなぜ紛争地を知っているのかが気になる。一方、楓は地図を作る過程で自分なりに疑問に思ったことを仲間たちに語り始めた。
 楓は“そんなところに建てられたら困る”という、おじいさんXの供述に着目。地図から推測すると、公共施設が建てられると、おじいさんXや農業を営むお年寄りたちが畑に行く道がなくなってしまうのだ。迂回路もあるが、お年寄りたちには大きな負担がかかる遠回りの道。さらに、楓はおじいさんXの先祖が畑への道の所有権を、道を生活道路として使っている住民たちのためとして手放したことにも言及する。だが、松永は男Yの行為に違法性はないので、仕方がないことだと言う。その時、楓以外の仲間たちの心に、おじいさんXを助けられるかもしれない唯一の方法が浮かぶ。“権利の濫用”だ。楓だけ解決方法が思いつかず、気分を変えて前日の松永からの質問「蒸気機関車を“止めた”法律」の答えが「権利の濫用は許さない」という法律だと答える。そこで、ようやくおじいさんXの件にも“権利の濫用”が適用できるのでは? と、楓が気づく。だが“権利の濫用”は、裁判官の主観的判断でもって本来“正当な”権利の行使が否定されてしまうものなので、それこそ“乱用”の許されない手段。だから、みんな口にしなかったのだ。それでも食い下がる楓。すると松永が“権利の濫用”は適用されない、と楓の主張に強く反論し、さらに“権利の濫用”を忘れていた楓を責める。そこで森乃たちが、裁判官によってはおじいさんXの事情に十分配慮して適用するかもしれない、と松永をなだめようとしたところ、松永が、この事件の判決を下したのは自分の父親だと告げる。驚く一同。松永が、紛争地を知っていたのも道理。また、松永は結果的におじいさんXが敗訴したことを明かす。その時、地図を見た森乃は新たな事実に気づく。公共施設が建つと、おじいさんXの畑から孫が通う学校が見えなくなるのだ。
 楓は、それを確かめにおじいさんXの家を訪ねる。しかし、おじいさんXは裁判の後に亡くなっていた。楓は“権利の濫用”を楯にした再審の方法もあることを告げるが、遺族は裁判は懲り懲りともう過去の話ととらえていた。
 重松の講義では、事件の感想が述べられる。田中は、おじいさんXに多少の迷惑料を払っても良かったのでは? と、発言。すると、松永は判決を下した裁判官、つまり自分の父親を否定し“権利の濫用”を用いるべきだったと反論する。楓たち仲間も、おじいさんXを思いやる発言で応援する。重松は、事件を深く掘り下げた楓たちを評価し、講義を終えようとした。その時、羽佐間は森乃と桐原の紛争も和解が成立したことを告げて…。

キャスト

楓 由子    … ミムラ
羽佐間 旬   … オダギリジョー
桐原勇平    … 堤 真一
松永鈴希    … 奥菜 恵
田家六太郎   … 我修院達也

山本宗司    … 金田明夫
田中一朗    … 岡田義徳
野佐木恍也教官 … 石橋 凌(今回登場せず)

重松教官    … 大杉 漣

黒沢圭子    … 横山めぐみ
崎田和康    … 北村総一朗
森乃 望    … 松雪泰子

スタッフ

■脚本
  水橋文美江
■演出
  川村泰祐
■プロデュース
  山口雅俊

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