第1回 2003年10月6日(月)放送 あらすじ

#1 人生も恋も新人

 司法研修所で、初日の講義が始まった。楓由子(ミムラ)はあらかじめ決められているはずの自分の席を探していた。もと、某会社の苦情処理センター勤務のOLだった楓は、期待に胸を膨らませていた。刑事裁判担当の野佐木恍也教官(石橋凌)が入ってくると授業が始まる。野佐木が出す事例に対し、修習生が法的判断を下し答えていく。野佐木は“野良犬に噛みつかれそうになったので、近くに落ちていた棒で叩きのめした”行為の正当防衛の成否を羽佐間旬(オダギリジョー)に問う。羽佐間は、答えよりも“誰が犬を叩いたか?”に固執し、野佐木から相手にしてもらえない。そんな時、野佐木は携帯電話を見ていた松永鈴希(奥菜恵)を注意。松永は、素直に従うが野佐木から“迷惑メール規制法”についての説明を求められると、即答できない。野佐木は、元財務省エリート官僚の桐原勇平(堤真一)を指名。桐原は答えをすらすらと述べるが、野佐木から“ツユダクは?”と尋ねられると、言葉に詰まる。野佐木は桐原を例に、法律家が相手にするのは生身の人間だと修習生に語る。この場にも様々な人間がいると。崎田和康(北村総一朗)は元会社員。田家六太郎(我修院達也)は、バイトをしながら苦節18年の末やっと司法試験に合格。黒沢圭子(横山めぐみ)は、元専業主婦。と、野佐木と森乃望(松雪泰子)の目が合う。森乃は野佐木に前歴を問われるが、なぜか言葉を濁す。野佐木は才能を発揮できない人間には辞めてもらうと、言い放って講義を終えた。

 次に修習生たちは、沢口裕子教官(もたいまさこ)の講義で課題に取り組む。喫茶店のアルバイトを無断で辞めた女性を、ナイフで脅して服を脱がせ下着姿の写真を撮影した経営者にどんな罪が成立するか? というもの。沢口は、午後5時までに課題を提出するよう言い残して教室を出て行く。修習生たちは次々と仕上げて席を立つが、楓にはなかなか答えが見つからない。

 その日の夜、修習生たちの入所パーティーが行われた。しかし、ようやく楓が課題を仕上げて、教務課の職員を探して会場に現われた時、パーティーは終了していて修習生たちは2次会に向かおうとしていた。楓に応対したのは、教務課長の山本宗司(金田明夫)。楓は、書類を提出しようとするが、山本は締切時間が過ぎたと受け取らない。しかも、山本は渡された書類を放り、書類は床に落ちてバラバラに…。その行為を見ていた羽佐間が山本に食ってかかる。羽佐間を止めたのは森乃。時間を守れなかった楓に非があると言う森乃だが、散らかった書類を優しく拾い楓に差し出した。年長の崎田も手伝ってくれた。森乃は、気分を変えて楓、羽佐間、崎田に2次会へ行こうと提案。ところが、場所がわからない。森乃は、居残っていた桐原に尋ねる。実は、桐原も知らなかったのだが見栄を張ってこれから行こうと思っていたと答える。打開策を探す桐原は、黒沢と田家、松永に声をかけて誘い出す。これだけ居れば、誰か知っているハズ…。8人は、桐原を先頭に歩き出すが、2次会の場所は誰も知らず、会話もない。と、突然、楓が昼間の課題を口に出した。楓は“強制わいせつ罪”が成立すると書いたことを話すと、他のみんなも同意した。

 しかし、翌日の講義で8人の見解は沢口によって見事に覆される。男が『許さない』と発言していることから、最高裁判例によれば、わいせつが目的とは判断されないというのだ。被害者の気持ちに思いをはせる楓は納得できないが、沢口は次の事件に移る。あるOLが、サラ金業者から借りた金を返さず脅迫されたというもの。沢口は、脅迫罪の成立の有無を課題として講義を終える。教室には、楓たち8人が居残って課題について議論を始める。金を貸す側、借りる側の気持ちや背景、供述から様々な意見が飛び交う。そんな時、楓はOLの供述に矛盾点を見つけ出す。だが、なかなか意見はまとまらない。それどころか、羽佐間と桐原は小競り合いまで起こす始末。森乃の機転で、なんとか収まると一息入れて議論を再開。最後の注目点は、OLに送られた電報。脅しとも取れる電報だが、受け取り方によってどちらとも取れる。しかし、文面はともかく送られたのはお悔やみの電報だった。これを持って8人は、サラ金業者側に脅迫罪が成立することで一致。だが、楓は電報にこだわる。なぜ、脅迫まがいの電報が届けられたか? だ。楓は、以前の自分の仕事を思い出し、電報を受けたオペレーターの気持ちに思いをはせる。楓は、オペレーターの気持ちをすくえない事にガッカリしていたのだ。 そして、翌日。沢口は、脅迫罪が成立することを発表。喜ぶ8人だが、沢口はオペレーターの気持ちを書き記したと楓を責める。しかし、羽佐間や森乃、桐原たちが、法律がカバーしない弱者に心を砕く楓を必死にかばって…。8人組の「ビギナー」は、いつの間にか“仲間”になっていた。

キャスト

楓 由子    … ミムラ
羽佐間 旬   … オダギリジョー
桐原勇平    … 堤 真一
松永鈴希    … 奥菜 恵
田家六太郎   … 我修院達也

山本宗司    … 金田明夫
田中一朗    … 岡田義徳
野佐木恍也教官 … 石橋 凌
沢口裕子教官  … もたいまさこ

黒沢圭子    … 横山めぐみ
崎田和康    … 北村総一朗
森乃 望    … 松雪泰子

スタッフ

■脚本
  水橋文美江
■演出
  水田成英
■プロデュース
  山口雅俊

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