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2024年1月15日更新

世界文化賞

第34回高松宮殿下記念世界文化賞 授賞式・特別番組を放送


華子さまご出席の式典 盛大に開催

世界の優れた芸術家を顕彰する「高松宮殿下記念世界文化賞」(主催・公益財団法人 日本美術協会=総裁・常陸宮殿下)の第34回授賞式典が10月18日、明治記念館で行われました。式典には各界からの来賓などおよそ200人が出席し、4年ぶりにコロナ禍前の規模で行われました。フジテレビは趣旨に賛同し、創設以来、社を挙げて支援しています。

授賞式典は、常陸宮妃華子さまのご出席のもと行われ、絵画、彫刻、建築、音楽、演劇・映像の各部門の受賞者5人に功績をたたえるメダルが贈られました。

受賞者を代表し、演劇・映像部門の演出家、ロバート・ウィルソン氏が「政治や宗教は、常に私たちを分断します。しかし、芸術は人をひとつにする可能性を秘めているのです」と謝辞を述べました。式典後に開かれた祝宴では、世界文化賞国際顧問のヒラリー・クリントン元米国務長官が「芸術は私たちの思考を広げ、人間性への理解を深めます」と述べ、乾杯の音頭をとりました。また、政財界の要人も数多く出席し、岸田文雄首相も祝辞を述べました。

今回の受賞者は下記のとおりです。


(写真左から)
絵画部門:ヴィヤ・セルミンスさん
彫刻部門:オラファー・エリアソンさん
建築部門:ディエベド・フランシス・ケレさん
音楽部門:ウィントン・マルサリスさん
演劇・映像部門:ロバート・ウィルソンさん (演台でスピーチ)


若手芸術家奨励制度:ハーレム芸術学校/ルーラル・スタジオ


フジテレビとBSフジで特別番組を放送

この世界文化賞の授賞式の模様とともに第34回の受賞者の功績を紹介する特別番組が、2023年11月17日(金) 24:55~25:55フジテレビ地上波及び2023年12月3日(日) 17:00~18:00 BSフジにて放送されました。


話題の麻布台ヒルズにオラファー・エリアソンさんの作品が展示されている

11月24日に開業し、日本一高いビルとして注目を集める麻布台ヒルズ。ここに展示されているのが、彫刻部門の受賞者オラファー・エリアソンさんの作品です。リサイクルした金属を使っているのが特徴で、サステナビリティの考えを表現しています。「環境問題」を強く意識した作品を発表し続けているエリアソンさんは、芸術が社会を変えると確信しています。

また、音楽部門の受賞者は9度のグラミー賞に輝いた世界的ジャズトランペッターのウィントン・マルサリスさん。“完璧”と絶賛される演奏技術で人々を魅了してきたマルサリスさんの音楽の原動力は人種差別への怒りでした。1997年に発表された「Blood on the Fields」はこの問題に正面から向き合い、ジャーナリズム界で最も権威があるとされるピューリッツア―賞の音楽部門を受賞。ジャズ界初の偉業でした。授賞式のあとマルサリスさんが披露した演奏には、会場から惜しみない拍手が送られました。


祝宴で演奏を披露するマルサリスさん

演劇・映像部門は舞台演出家、ロバート・ウィルソンさんが受賞しました。彼の芝居には“沈黙の演劇”とも言うべき、独特の演出があります。2015年に上演された「アダムの受難」。およそ90分間、一言もセリフがありません。時として「言葉」は壁になる…ウィルソンさんは“沈黙”によってさまざまな分断を超える演劇表現ができると考えたのです。それこそ、彼が信じる芸術の力。授賞式の最後にウィルソンさんは、こう語りました。

「私の舞台作品は世界共通の言語でもある“沈黙”で始まります。政治や宗教は、常に私たちを分断します。しかし、芸術は人を一つにする可能性を秘めているのです。」

建築部門の受賞者は、ディエベド・フランシス・ケレさん。2022年、建築界最高の栄誉とされる「プリツカー賞」にも選ばれ、今最も注目される建築家の一人です。環境への配慮と美しさを両立する彼の建築の原点は、ふるさとにあります。ケレさんは、アフリカ最貧国の一つブルキナファソの出身。乾季には40度を超える暑さ、そして雨季には豪雨…最悪の住環境で育ったケレさんの夢は、涼しくて明るい日が差す学校の建設でした。その夢を叶えた「ガンド小学校」では、児童数が120人から700人に増え、子供たちがのびのびと学んでいます。ケレさんの活動は「建築の分野の領域を超えた素晴らしい贈り物」と称賛されています。


2022年、建築界最高の栄誉「プリツカー賞」も受賞したケレさん

絵画部門を受賞したのはヴィヤ・セルミンスさん。その作品は写真と見まがうほど精緻な絵画です。「ヒロシマ」という作品は、一瞬で焼け野原となった原爆投下直後の広島を描いたものです。「私はいわゆる政治的なアーティストではありません。けれど、言葉ではうまく言えませんが、幼少期の戦争体験の影響があったことは否めないと思います。」そう語るセルミンスさんは、戦争で生まれ故郷のラトビアを追われ渡米。英語を話せなかったこともあり、ひたすら絵を描いて過ごしたと言います。その姿を見た教師たちが、彼女の才能を見出し芸術の道へ進むよう背中を押してくれました。


「言葉では言い表せないものを描いている」と語るセルミンスさん

世界文化賞では、才能ある若者の育成を目指し「若手芸術家奨励制度」を制定しています。
今年はアメリカの二団体が選ばれました。 「ハーレム芸術学校」では、1,600人の生徒が学んでいます。1960年代、暴力と麻薬がはびこる街として知られていたハーレム。ソプラノ歌手のドロシー・メイナーさんはハーレムの一角にあった教会の地下で、子どもたちにピアノを教え始めます。その活動が共感を呼び1964年に創設されたのがこの学校…以来、子どもたちの夢を後押しし続けてきました。
もう一つは「ルーラル・スタジオ」。アメリカ南部のアラバマ州、貧困が問題になっている小さな町で、安全な建物を安価に提供できるよう、地元大学が創設した建築事務所です。設計から施工、そして完成まで学生が責任を持って取り組んだ住宅や公共施設は、地域の活力となってきました。

“文化・芸術のノーベル賞”と言われる世界文化賞…
番組では、今回の受賞者5人が作品に込めた思いと情熱を描き、争いが絶えず分断が深まるこの時代に、芸術がもつ力を伝えました。

世界文化賞の詳しい内容については、公式ホームページをご覧ください。
高松宮殿下記念世界文化賞 (https://www.praemiumimperiale.org/)

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