2022年12月22日更新
世界文化賞
世界の優れた芸術家を顕彰する「高松宮殿下記念世界文化賞」(主催・公益財団法人 日本美術協会=総裁・常陸宮殿下)の第33回授賞式典が10月19日、明治記念館で行われました。新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、授賞式典の開催は3年ぶりです。フジテレビは趣旨に賛同し、創設以来、社を挙げて支援しています。
授賞式典は、常陸宮妃華子さまのご出席のもと行われ、華子さまは「コロナ禍において。人々の心を癒す芸術の役割が見直されている中で、受賞者の皆さまが力強く活躍されていることに敬意を表します」と、常陸宮殿下のお祝いのメッセージを読み上げられました。
また今年、新たに国際顧問に就任したアメリカのクリントン元国務長官は、「紛争と平和、パンデミックと回復の時代に、芸術は、私たち共通の希望、挑戦、挫折、そして勝利を確たるものとします」とスピーチしました。
今年の受賞者は下記のとおりです。
(写真左から)
絵画部門:ジュリオ・パオリーニさん(イタリア)
彫刻部門:アイ・ウェイウェイさん(中国)
建築部門:妹島和世さん+西沢立衛さん(SANAA)(日本)
音楽部門:クリスチャン・ツィメルマンさん(ポーランド/スイス)
演劇・映像部門:ヴィム・ヴェンダースさん(ドイツ)
若手芸術家奨励制度:クロンベルク・アカデミー財団(ドイツ)
授賞式の後行われた祝宴には、岸田首相や東京都の小池知事も出席し、祝辞を述べました。
この世界文化賞の授賞式の模様とともに第33回の受賞者の功績を紹介する特別番組が、2022年11月16日(水) 24:30~25:00フジテレビ地上波及び2022年12月3日(土) 16:25~16:55 BSフジにて放送されました。
番組では、三田友梨佳アナのナビゲートで受賞者たちの日本との結びつきや、受賞者同士のつながりなどを紹介しています。
これは、パチンコをするヴィム・ヴェンダース監督の貴重なプライベート写真。
30年前日本で撮影されたものです。実はヴェンダース監督は大の親日家で、日本を舞台に撮影されたドキュメンタリー映画「東京画」にもパチンコの描写がありました。
久しぶりの来日で、今でもマスクをする日本人について、公共の意識を重んじるとともに、他者を思いやる国民性を称賛していました。
また、音楽部門の受賞者クリスチャン・ツィメルマンさんは、日本人音響設計家・豊田泰久さんと深い結びつきがありました。豊田さんとの出会いで「脳細胞が活性化」し、「音響の観点からピアノを研究するようになった」と語り、豊田さんを“天才”と称しています。彼も日本を愛してやまない一人。特に奈良が好きで、今回の来日の際も家族で奈良へ行かれたそうです。
絵画部門のジュリオ・パオリーニさんの作品を間近に見ることができる場所が東京にあることをご存知でしょうか?1993年東京に完成した新宿アイランドタワーの野外美術館に、「カレイドスコーピオ」「メリディアーナ」「ヒエラポリス」「天文時計」の4作品が展示されています。
世界文化賞の受賞者の出身国は毎年多様ですが、今回は国を超えた受賞者同士のつながりもありました。建築部門の受賞者、妹島和世さん+西沢立衛さん(SANAA)の傑作と言われるスイスの「ロレックス・ラーニングセンター」の建物の特徴をヴィム・ヴェンダース監督が「もし建築が話せたら・・」(2010年)という映画で記録していました。
また、彫刻部門の受賞者アイ・ウェイウェイさんのドキュメンタリーもヴェンダース監督がかつて制作していたのです。授賞式では、互いに懐かしそうに言葉を交わす姿が見られました。
このように、芸術のノーベル賞とも言われる世界文化賞の受賞者たちの知られざる横顔を、具体的なエピソードを交えて紹介した貴重な番組となりました。
世界文化賞の詳しい内容については、公式ホームページをご覧ください。
● 高松宮殿下記念世界文化賞 (https://www.praemiumimperiale.org/)