2003年8月14日(木)放送 みどころ

#19 カフカ「城」

冒頭部分を朗読してタイトルを当てるという小説イントロクイズがあれば解答率No.1になること間違いナシの「朝起きたら虫」(たぶん2位は「トンネルを抜けると雪国」)、そのクイズの正解『変身』を始め、20世紀文学界、最大の衝撃ともいえる不条理小説を生み出した作家カフカ。今回のテーマ本は「お薄い」のが多い彼の小説でも珍しく「お厚い」作品である『城』。
ちなみに『城』とはこんな話、城に辿り着こうとする男、城はもう目の前にある、でも道が見つからない、辿り着けない男・・・、「わかった、主人公は極度の方向音痴なんだ!」そんな解釈は甘い!甘過ぎる!それでは文学の講義で可をとるどころか不可をくらってしまう(これがホントの可不可(カフカ))。
と、しょうもない冗談はさておき、番組では、後に20世紀を代表することになる思想・実存主義を小説という形でいちはやく表現したと称されるカフカの作品を、「占い」を喩えにわかりやすく解説します。

<豆知識>
●「俺が昔、夕焼けだった頃、妹は小焼けで、オフクロはしもやけ、そして親父は胸焼けだった、わかるかなぁ~、わっかねぇだろうなぁ~」と松鶴家千とせ師匠が得意にしていたネタの数々は、ある意味強烈にカフカ的。とはいえ、カフカが髪型パンチアフロ、グラサン、ヒゲ、指はダブルピースという異様な姿形をしていたわけでなく、多数残されている写真を見る限り、童顔(本人も気にしていた)&神経質な顔立ちの地味な人である。
●現在、不遇のまま執筆活動をしている人に、またまた朗報! 番組上、全く珍しいことでも何でもありませんが、カフカも生前、成功とは縁のない作家生活をおくっております、というか、彼の場合、本業は公務員で、仕事の合間にコツコツと書いていた兼業作家だった。

キャスト

本の案内人:白井 晃
読書界の寅さん:石井正則
今週のマドンナ:佐藤ゆりな
ナレーター:服部 潤

スタッフ

企画:小山薫堂
構成:山名宏和
ディレクター:石川北二

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