2003年6月19日(木)放送 みどころ

#11 ~日光金谷ホテルで読み解く~プルースト「失われた時を求めて」

初夏の陽射しの昼下がり、オープンエアーのお洒落なカフェでマドレーヌを食べながら、時折眉間に皺をよせつつ倦怠感を漂わせてプルースト「失われた時を求めて」を読む一人の男、なんて光景をみたら、文学少女は一瞬にして恋に落ちるのではないだろうか。
が、しかし、本当にプルーストを読むつもりなら、貴兄はオープンエアーのカフェの椅子に雪が降り積もる頃まで座り続けることになるかもしれない。それほど長大な小説なのである、この本は。そこでオススメするのが今回の番組。この知的でエスプリの効いた本作を、大人の香り漂うスポット日光金谷ホテルに喩えて紹介します。番組で紹介するエッセンスを頭に叩き込んで適当に本を開いて、いかにも読んだかのようなウンチクを語れば素敵な出会いが待っているかも…。
逆に、この番組をご覧の婦女子の皆様、プルーストのウンチクを語る素敵な男性がこの番組で紹介した知識しか披露しないようなら、一度冷静になることをオススメします。

<「失われた時を求めて」豆知識>
プルーストは1908年頃から「失われた時~」執筆にとりかかり、22年に没するまで加筆・訂正を行っていたという。その間、どうやって生計を立てていたのか不思議。プルースト研究の第一人者・鈴木道彦氏の著書「プルーストを読む」(集英社新書)の年譜では、1917年に関しては「しばしば、ホテル・リッツで夕食をとる。十月、ガリマール社からの最初の校正刷が届く。」としか記載されていない。怠け者?

<番組豆知識>
番組メッセージでも問合せの多い番組の音楽(エンディング曲)を探し出すヒントをお知らせします。
ヒント:竹中直人さんが扮する得意キャラ「わたくしぃ~〇〇〇三郎太と申しぃ~ます」、この時、〇〇〇の部分に入る名前と同じ名前の作曲家の曲です。

キャスト

本の案内人:白井 晃
読書界の寅さん:石井正則
今週のマドンナ:大沢舞子
ナレーター:服部 潤

スタッフ

構成:小山薫堂
ディレクター:沼尾純也

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