クニミツの政
#7 保育園を守って!
国光(押尾 学)はマスコミを連れて、五百人分の小学校移転反対の署名を五木田(斉藤 暁)に突きつけた。各紙に大きく取り上げられたおかげで、坂上(大杉 漣)の後援会への入会希望者は増えてきた。とはいえ組織力にまさる不破(佐々木蔵之介)との差は大きい。有権者の関心をひきつける公約が必要だ。
国光はパートで遅くなる桃絵(横山めぐみ)に代わって、娘の舞(山内菜々)を保育園に迎えに行って驚いた。建物の老朽化ぶりがひどい。しかも舞の様子がおかしい。「すごい熱!」。園長の民子(高林由紀子)とあわてて病院へ連れていき、夏風邪と分かってひとまず安心するが、それでもその夜は、国光は、寝ずに面倒みる桃絵に付きあった。桃絵の夫は舞がまだお腹の中にいる時に急死した。結婚を反対されていた夫の両親とは絶縁状態。「この子を守ろうと頑張ってこれたのはあの保育園のおかげなの」。採算ギリギリで子供たちの夜遅くまで預かってくれる。桃絵のような母親にとってかけがえのない保育園なのだ。
さっそく国光は保育園を訪れ、修理を始めた。民子によれば、市民団体の協力を得られずに今年は恒例のバザーの開催がむずかしい。「だったら俺が話つけてきますよ」「余計なまねしないで」。国光にクギを刺したのは民子の娘の法子(国分佐智子)。桃絵と同じく夜はお座敷で働いている。保育園の経営は赤字続き。しかも民子は心臓に持病を抱えている。法子は閉園を望んでいる様子だった。
桃絵にはもう一つ、気がかりなことがあった。亡夫の両親が今になって舞を引き取りたいと言ってきていた。「我々ならもっといい環境で舞ちゃんを育てられる」どんなに苦しくても桃絵は舞を手放す気はなかった。
国光は佐和(伊東美咲)に保育園の取材を頼んだ。「それはいいけど、大丈夫なの?」。市長選の告示まで3週間。坂上陣営では選挙参謀すら決まっていない。
「公約の件で相談にのってもらったんだ」。坂上が小百合(吉岡美穂)を連れて帰ってきた。いま教育の現場は学級崩壊という問題に直面している。小百合に相談にのってもらったという。「公立小中学校の改革。それが私の市長選の公約だ」。坂上の発表に一同は盛り上がった。
桃絵と国光は保育園存続の署名活動を始めるが、皆、無関心で通りすぎていくばかり。肩を落とす2人に吾妻高明(古田新太)が声をかけた。「ガキどもと違って、大人を署名させるのはむずかしいだろ」。「選挙参謀でもいてくれたらなあ」。かつて坂上の父親には当選請負人ともいうべき選挙参謀がついていた。それが目の前にいる高明だとは、国光はまだ知らなかった。
その夜、国光は不破から市長室に呼び出された。「こちらが吾妻高明さんだ」。ようやく国光は高明の素性を知ると同時に、不破もまた彼を必要としていることに気づいた。不破は1億円の報酬を用意するという。ところが高明の返事は「今回は坂上さんにつかせてもらう」。国光は喜んだのも束の間、高明の一言にカチンときた。「選挙はゲームだ。勝てるヤツを当選させても面白くないだろう…」
「冗談じゃない!そんな遊び半分でやられちゃたまんねぇんだよ!」。国光は「俺の力で当選させてみせる」と大見得をきって市長室を後にし、坂上家に戻った。
すると、幼なじみから夏祭りの誘いの電話がかかってきた。
「そっか、その手があった!」。
署名運動を盛り上げるアイデアがひらめいた—。
国光はパートで遅くなる桃絵(横山めぐみ)に代わって、娘の舞(山内菜々)を保育園に迎えに行って驚いた。建物の老朽化ぶりがひどい。しかも舞の様子がおかしい。「すごい熱!」。園長の民子(高林由紀子)とあわてて病院へ連れていき、夏風邪と分かってひとまず安心するが、それでもその夜は、国光は、寝ずに面倒みる桃絵に付きあった。桃絵の夫は舞がまだお腹の中にいる時に急死した。結婚を反対されていた夫の両親とは絶縁状態。「この子を守ろうと頑張ってこれたのはあの保育園のおかげなの」。採算ギリギリで子供たちの夜遅くまで預かってくれる。桃絵のような母親にとってかけがえのない保育園なのだ。
さっそく国光は保育園を訪れ、修理を始めた。民子によれば、市民団体の協力を得られずに今年は恒例のバザーの開催がむずかしい。「だったら俺が話つけてきますよ」「余計なまねしないで」。国光にクギを刺したのは民子の娘の法子(国分佐智子)。桃絵と同じく夜はお座敷で働いている。保育園の経営は赤字続き。しかも民子は心臓に持病を抱えている。法子は閉園を望んでいる様子だった。
桃絵にはもう一つ、気がかりなことがあった。亡夫の両親が今になって舞を引き取りたいと言ってきていた。「我々ならもっといい環境で舞ちゃんを育てられる」どんなに苦しくても桃絵は舞を手放す気はなかった。
国光は佐和(伊東美咲)に保育園の取材を頼んだ。「それはいいけど、大丈夫なの?」。市長選の告示まで3週間。坂上陣営では選挙参謀すら決まっていない。
「公約の件で相談にのってもらったんだ」。坂上が小百合(吉岡美穂)を連れて帰ってきた。いま教育の現場は学級崩壊という問題に直面している。小百合に相談にのってもらったという。「公立小中学校の改革。それが私の市長選の公約だ」。坂上の発表に一同は盛り上がった。
桃絵と国光は保育園存続の署名活動を始めるが、皆、無関心で通りすぎていくばかり。肩を落とす2人に吾妻高明(古田新太)が声をかけた。「ガキどもと違って、大人を署名させるのはむずかしいだろ」。「選挙参謀でもいてくれたらなあ」。かつて坂上の父親には当選請負人ともいうべき選挙参謀がついていた。それが目の前にいる高明だとは、国光はまだ知らなかった。
その夜、国光は不破から市長室に呼び出された。「こちらが吾妻高明さんだ」。ようやく国光は高明の素性を知ると同時に、不破もまた彼を必要としていることに気づいた。不破は1億円の報酬を用意するという。ところが高明の返事は「今回は坂上さんにつかせてもらう」。国光は喜んだのも束の間、高明の一言にカチンときた。「選挙はゲームだ。勝てるヤツを当選させても面白くないだろう…」
「冗談じゃない!そんな遊び半分でやられちゃたまんねぇんだよ!」。国光は「俺の力で当選させてみせる」と大見得をきって市長室を後にし、坂上家に戻った。
すると、幼なじみから夏祭りの誘いの電話がかかってきた。
「そっか、その手があった!」。
署名運動を盛り上げるアイデアがひらめいた—。