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<第31回>
中塚という中年の男が、仲居頭の定子を探してやってくる。
中塚の顔を見たとたん、とりつく島もなく追い返そうとする定子。昔、定子は中塚と暮らしていたが、酒を飲むと暴力をふるう中塚に愛想を尽かして、悦美から手切れ金を借りて別れたのだった。
中塚は、酒はやめたからもう一度やり直したい、と定子に訴える。はるの仲立ちで、定子は中塚の言葉を信じることに。
が、中塚が一ヵ月前、酒が原因の暴力事件で勤め先を解雇されたことを黒岩が暴露。
やけになった中塚は、はるの止めるのも聞かずに、やめたはずの酒に手をつける。

<第32回>
定子にふられたショックで、あびるように酒を飲んだ中塚は、包丁をふり回したあげく、清子に怪我をさせる。
しらふに戻った中塚は意気消沈。はるは中塚を励ます。発奮した中塚は、いつか必ず定子を迎えに来る決意で帰っていく。
新聞社の仕事で海外に行っていた田中が十年ぶりに帰国。妻の美子とともにみさき亭にやってくる。
悦美が古い顧客名簿を処分してしまったので、清子は馴染み客の田中夫妻をもてなすために、記憶をたよりに夫妻の好みの料理や酒を用意する。
夫妻は喜ぶが、田中が言った「明日の朝、一番楽しみにしているもの」が清子には思い出せない。

<第33回>
田中の朝一番の楽しみを思い出せない清子は、常吉に相談。常吉はキビナゴの干物ではないかという。
翌朝、特別に取り寄せたキビナゴを朝食に出すが、田中は喜ばなかった。清子ははるとの会話から、田中の楽しみが「富士山と玉子焼き」であることを思い出す。厨房に駆け込むと、自ら玉子焼きをこしらえる。
深い思い出のある玉子焼きを味わった田中夫妻は、心から満足して帰っていく。
悦美は客によって料理に差をつける清子を非難。板前は清子に勝手に厨房に入られたことを怒り、客からは玉子焼きがついていないことでクレームがつく。
女将としての自信をなくした清子は、黙ってどこかへ行ってしまう。。

<第34回>
清子は「玉子焼き事件」で自分の力不足を感じるが、以前のように酒には逃げず前向きに気持ちをきりかえる。
そんな清子のもとに、久夫の昔からの知り合い、大津が訪ねてくる。久夫が亡くなったのを知り、愕然とする大津。大手旅行代理店の台北支店長だという大津は、新しい企画の調査に来たと。
清子は友達として、大津を歓待。亡き夫の思い出話に話を咲かせる。
一方、悦美は仕事の上でプラスになると思い、大津にサービスする。
その夜、はるは、大津が携帯電話で怒鳴っているのを目撃する。そのときは、何も気にかけなかったのだが・・・。

<第35回>
みさき亭に泊まった次の朝、大津が財布をなくしたと言いだす。これから仕事だというので、清子は幾ばくか用立てる。
旅人が空っぽの大津の財布を拾う。おかしなことに大津自身が橋の上から落としたという。さらに、板長の浩司がその日、競輪場で大津の姿を見かけたと。
その夜、大津が、新しい商談のために四百万円融通してほしい、と清子に申し出る。清子は女将の座を担保に、悦美から借金する。
翌朝、大津は清子の用意した金を持って帰っていく。
その直後、大津の娘・由美が現れ、大津が債権者に追われていると語る。大津を信じる、という清子。
そこへ、大津が戻ってくる・・・。

<第36回>
清子が手作りの果実酒を出してきて、従業員たちに試飲してもらう。評判は上々なので、食前酒として客に出そうとするが、黒岩から待ったがかかる。酒税法に違反すると。
日本橋の呉服問屋の若旦那・祐介がみさき亭に宿泊する。
その日から土肥でデビューすることになった芸者のお吉が、祐介の座敷に案内されるが、祐介の顔を見たとたん、お吉は嫌な顔をして帰ろうとする。
必至にお吉をひきとめる祐介。
が、お吉は祐介の頬を張り飛ばして行ってしまう。どうやら二人は、訳ありの間柄らしい。
三泊した祐介が、自分は無一文だと打ち明ける。

<第37回>
無銭飲食を認めた祐介は父親と喧嘩して勘当されたことを語る。そして、お金を返すために、みさき亭で働きたいという。
その日から祐介は居残りとなって、下働きを始める。ちゃらんぽらんな祐介をはるは好きになれないが、客あしらいはうまいので、思わぬチップをもらったりする。旅人もすぐに祐介になつき、はるは面白くない。
はるはお吉から、祐介と結婚の約束をしていたことを打ち明けられる。
が、結局、裏切られたと・・・。
夜、お吉が座敷に遅れたので、客が怒りだす。祐介がかわりにカッポレを踊り客を喜ばせる。座敷をキャンセルになったお吉は、祐介に殴りかかる。

<第38回>
祐介が無銭飲食のまねをしたのには理由があると思った清子は、祐介から事情を聞く。祐介は父親から政略結婚を強いられていると言い、それに反発して芸人になると。はるは、祐介が今でもお吉を愛していることを知る。
仲居の幸恵とミキが急に辞める。黒岩は本人たちの意志だと主張するが、どうやら二人が黒岩と悦美の噂をしたことと関係あるらしい。
祐介の父・飯野が、祐介に見合いをさせるためにやってくる。祐介ははるを婚約者として紹介。はるは妊娠していると告げる。
二人の芝居を見抜いた飯野は、婚約を認めるから、今すぐ仮祝言を挙げるよう言いだす。

<第39回>
飯野から今夜、仮祝言を挙げるように言われたはるは、式を明日に伸ばしてもらうよう交渉する。
お吉が明日、土肥を出ていくという。はるはお吉を引きとめるよう祐介に訴え、「一生をお吉と芸の道に捧げる」という誓約書を書かせる。
翌日、仮祝言の席に、お吉が花嫁として現れる。飯野は激昂して、席を立つ。
絶望した祐介とお吉は心中も考えるが、お吉は芸の道に精進するよう祐介を励ます。一人で芸の道を行く覚悟を決める祐介。
飯野は祐介を見直し、二人を見守ることに。二人は芸の修業のため、大阪へ旅立っていく。
はるの前に、不良っぽい一人の若者が出現する。

<第40回>
板前見習いとして、大輔がみさき亭で働きだす。
黒岩は、大輔が少年院帰りで、保護観察処分中であることを調べあげる。婦女暴行罪だという。
はるは大輔の歓迎会を企画する。
が、大輔に偏見を持って、誰も集まらなかった。
やけになった大輔は、みさき亭の宿泊客に喧嘩をふっかけ、こてんぱんにやっつけられる。
はるは大輔と二人だけの歓迎会を開く。
翌日、ハーモニカを片時も離さない大輔が、はるのためにブルースを吹く。それを見た板前のトシとケンが、大輔をからかう。逆上した大輔はトシを蹴倒し、ケンの首筋に包丁を突きつける。


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