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<第21回> <第22回> <第23回> <第24回> <第25回> <第26回> <第27回> <第28回> <第29回> <第30回><第21回>
久夫の遺志を継ぎ、清子はみさき亭の女将として、心を入れかえて再出発する。はるは応援するが、悦美はじめ他のスタッフたちは、白い目で見る。
中年の主婦・青木、白川、赤城がみさき亭に泊まる。神経質な青木が、煙草の匂いが気になるから部屋をかえてほしい、と言いだす。カーテンに染みついた煙草の残り香が原因だった。清子が機転をきかせてハーブを部屋に飾り、青木の機嫌を直す。
翌朝、虫嫌いの白川が、ハーブに虫がついていたと大騒ぎする。清子は悦美から責められる。
まもなく、青木が散歩のとき、孫のために虫をとってきたことがわかり、一件落着・・・・・。<第22回>
現場の指揮をとる支配人の不在で、みさき亭の運営に支障が起きる。清子は常吉に戻ってきてもらうよう主張するが、悦美ははねつける。
ある日、みさき亭に予約なしで男が泊まりにくる。はるはその客の担当になるが、どうもそりが合わない。
男が、土肥でしか食べられない特別の料理を要求する。
はるは町じゅうを駆け回って、珍しい深海魚を探しだし、客に味わってもらう。
男は満足そうに料理に箸をつけていたが、深海魚と知り、烈火のごとく怒りだす。
清子はその客にひきとってもらおうとするが、男は悦美が呼び寄せた新しい支配人だった。<第23回>
新しい支配人・黒岩がみさき亭にやってくる。黒岩は仲居の加代を盗みの常習犯と見破り、旅館から追放する。
真心サービスを否定する黒岩に反発して、はるは客引きに出かける。
が、現実は厳しく、あきらめて帰ろうとすると、一人の女性・敬子から声をかけられる。
はるは張り切って敬子をみさき亭に案内。敬子の夫は後から来るという。
その夜、夫がまだ到着していないのに、敬子は二人分の食事を用意させる。不審に思ったはるが、様子を見ると、敬子は小さな骨壺に話しかけながら、食事をとっていた。
はるは敬子から目を離さないようにする。<第24回>
翌朝、敬子が骨壺を抱いて、外へ出ていく。
敬子の持ち物の中に遺書を見つけたはるは、敬子の後を追いかけ、海へ入ろうとしている敬子を必死にひきとめる。
清子は敬子から事情を聞く。敬子は二ヵ月前に夫を亡くし、夫の願いどおり遺灰を西伊豆の海に撒いたら自分も後を追って死ぬつもりだったと。
少し落ちつきをとり戻した敬子は、自分の気持ちを整理するために温泉に入る。
が、その間に、バスタオルに包んでおいた骨壺が、洗濯物と一緒に運び出されてしまう。
はるは洗濯屋の車を追いかけ、洗濯物が山のように積まれたリネン工場にたどりつく。<第25回>
はるは洗濯物の山と必死に格闘し、ついに骨壺を見つけだす。敬子は感激。壺を西伊豆の海に沈めると、生きる意欲をとり戻して帰っていく。
黒岩が、ラウンジのピアノを始末して、特産品のコーナーを作ろうとする。清子は猛反対。そのピアノが清子の父の形見だと知ったはるは、ピアノの必要性をアピール。ピアノの生演奏をいかしたダンスパーティーを企画する。
果して、パーティーは成功するかに見えたが、酔った客がピアノの足に頭をぶつけて、怪我をしてしまう。
責任をとってピアノを処分するよう、黒岩に責められるはる。清子は気持ちをふっきって、ピアノを片付ける。<第26回>
はるがみさき亭で働くようになってから、二カ月が過ぎた。
ある夜、新入りの仲居・ルミ子の歓迎会が開かれる。はるは、黒岩支配人の策略だとも知らずに、以前働いていた旅館のやり方―売り上げの10パーセントを仲居にキックバックする―を得意気に話す。
翌日、黒岩は経営方針の一大転換を発表。客室係の給料を一律に三分の一カット。そのかわり、宿泊費の10パーセント、飲み物代の20パーセントが客室係の収入になるという。
売り上げよりも心のこもったもてなしを重視したい清子は反対。
が、はるの話が火付け役になって、従業員たちはやる気満々だ。
<第27回>
はるの軽率な発言がきっかけで、仲居たちは売り上げを伸ばすのに目の色を変える。
ある日、はるの高校時代の同級生、由香と明美が、所属するソフトボールチームのメンバーとともに泊まりにくる。二人は高校のときからずっとバッテリーを組んでいる親友同士で、はるは当時のチームのマネージャーだった。
到着した夜から、由香の身に、次つぎと嫌がらせ事件が起きる。蒲団や味噌汁の中に画鋲が入れられていたり、入浴中に下着が切り刻まれていたり……。由香は激怒して、旅館の責任を追求する。
はるは困惑するが、まもなくそれらが、明美の仕業だとわかる。<第28回>
由香への相次ぐ嫌がらせの犯人は、明美だった。二人は十年以上のつき合いだったが、明美は人知れず、由香への反感を募らせていた。
はるは二人の中を何とか修復しようとする。
が、二人は罵り合い、つかみ合いの喧嘩になる。
「女の友情なんて幻だ」と失望するはる。清子はそんなはるを元気づける。
二人を仲直りさせる秘策を思いついたはるは、もう一度話し合いをさせる。その結果、消えかけていた女の友情が蘇る。
由香たちのチェックアウトのとき、飲み物代のことでトラブルが起きる。仲居が不正を働いていたとがわかり、売り上げ重視の新経営方式は取り止めになる。<第29回>
常連客だったもと会社社長の山崎が、妻の史子とともに三年ぶりみさき亭にやってくる。車椅子に乗っている史子を見て、清子はく。交通事故で足を悪くした史子は、ボケ症状も進行しているという。
バリアフリーに対応していないことを心配した黒岩は、山崎の息子・健太郎を呼び寄せる。
健太郎は史子を連れ帰ろうとするが、史子はしっかりとした態度で、土肥に泊まりたいという。
その夜遅く、史子が部屋からいなくなる。皆で探し回ると、史子は板場裏の路地で、嬉しそうに星空を見上げていた。
翌朝、健太郎は史子の介護を父親に託して、一人で帰っていく。<第30回>
その日、山崎夫妻は、はるの付添いで富士山見物に出かける。
夜、はるが夫妻の夕食の支度をすると、史子の前の料理が全部反対に集められていた。山崎はリハビリのためだと主張するが、史子の悲痛な泣き声を聞いたはるは、思わず山崎に反発する。はるは担当からはずされ、明朝の百二十人分の里芋の下準備を命じられる。
翌朝、山崎夫妻は出発。山崎から仲居失格と言われたはるは、一日の停職処分。
翌日、自信を失ったはるは、辞表を出す。
みさき亭を後にしたはるを、清子が追いかけてくる。山崎夫妻から速達が届いたと。手紙を読んで
自信をとり戻したはるは、仲居に帰する。