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<第11回> <第12回> <第13回> <第14回> <第15回> <第16回> <第17回> <第18回> <第19回> <第20回><第11回>
瀬川との結婚をあきらめ旅に出たはるは、静岡県の沼津からフェリーに乗り、西伊豆の土肥温泉に降り立つ。
そこで、偶然、旅人と再会。旅人の家は由緒ある旅館「みさき亭」で、はるはひとまずそこに落ちつく。「みさき亭」の女将は、久夫の正妻・清子。
が、女将とは名ばかりで実権は常務におさまっている愛人の悦美が握っていた。
久夫は相変わらず優柔不断。清子と悦美のトラブルにも目をつぶっていた。
はるは清子に誘われて、念願の富士山を見にいく。富士の雄大な姿に、感嘆の声をあげるはる。
清子は、自分は旅館では一番邪魔な人間だ、と自嘲ぎみにつぶやく。<第12回>
清子はみさき亭の名ばかりの女将で、毎日遊び歩いては、飲んだくれていた。はるは清子の生き方に疑問を持つが、清子は裏切られても久夫のことをまだ愛していた。
その夜、みさき亭では、仲居の一人が足を捻挫し、客へのサービスが行き届かなかった。見かねたはるが仲居の仕事を手伝うが、そのプロの腕前に、悦美や支配人の常吉は、目を丸くする。
はるは山中の涼子のことを思い出し、感傷的な気持ちになる。
はるは久夫から、旅人を旅館の跡継ぎとして認知したいきさつを打ち明けられる。そのことで、清子と悦美の女の意地が激しくぶつかり合う。<第13回>
みさき亭に一泊した翌日、はるは悦美から、仲居として働いてもらえないかときりだされる。
が、はるは今日のうちに土肥を出ていくつもりだった。
旅人が万引きをして、駐在所の巡査に連れてこられる。「愛人の子」というレッテルを貼られていることへの屈折した思いが引き金だった。
はるはその日、旅人が子どもたちにいじめられているのを目撃する。
午後、はるがフェリーに乗るために埠頭まで来ると、旅人が待っていた。家も学校も嫌いだから、はると一緒に旅をしたいという。
はるは旅人を不憫に思うが、連れていくことはできない、ときっぱり言い聞かせる。<第14回>
旅人を追い返して、一人でフェリーに乗ろうとしたはるだが、やはり旅人のことが気になって戻ってきてしまう。
はるは旅人を励まして、いじめっ子たちと話し合いをさせる。はるのユーモラスな一言で、子どもたちは打ち解けあい、仲直りする。<第15回>
とっさの機転で客のトラブルを解決したはるに、久夫もみさき亭で働いてほしいと申し出る。
はるは断るが、翌日、田村や他の客たちから昨夜の踊りのことで礼を言われ、胸が熱くなってくる。
旅人にも、はるの顔を見るだけで元気が出る、と言われ、はるの心は揺れる。
清子から山中に帰ったほうがいいと忠告されたはるだが、ついにみさき亭で働く決心をする。
従業員たちは驚き、久夫の新しい愛人か、とはるを好奇の目で見る。
悦美はもてなしより金儲けを優先させていた。仲居頭の定子は悦美の味方で、自分たちの仲間になって清子を追い出すようはるをそそのかす。<第16回>
はるは土肥温泉・みさき亭で仲居として働くことになる。翠明で学んだように真心をモットーにするはるだが、みさき亭でそれが受け入れられるかどうか・・・。
不倫カップルで常連の近藤と美由紀が、みさき亭に来る。美由紀の妊娠をきっかけに、近藤の離婚が成立しそうだというので、悦美は羨ましい。
が、美由紀の流産が発覚。近藤は離婚にためらいを見せる。
清子が客の迷惑にもかかわらず、ラウンジでピアノを弾きはじめる。はるは毅然とした態度でピアノをやめさせるが、清子の行為には特別な意味があった。
近藤に愛想を尽かした美由紀が、一人で生きていく決心をする。<第17回>
旅人がウランジで遊んでいて、常吉から注意される。
それを根にもった旅人は客のアケミが大浴場に入っているすきに高級腕時計を盗み、常吉の上着のポケットにすべり込ませる。
腕時計の紛失に気づいたアケミは、従業員が盗んだと逆上する。
はるたちは旅館の中をくまなく探すが、腕時計は見つからない。ついに警察に届けようと、常吉が上着を取ったとき、そのポケットから腕時計がころがり落ちる。
犯人扱いされる常吉。はるがうまくとりなして、アケミに無事腕時計を返す。
旅人の仕業だと勘づいたはるは、旅人を本気で叱る。
旅人はすべてを話して、常吉に謝る。<第18回>
先代の女将の時からみさき亭を支えてきた支配人の常吉が、辞表を提出。久夫と清子を先代の女将の墓の前に呼び、昔のように二人で旅館を切り盛りしてほしいと訴える。常務が仕切るようになってから、常連客がほとんど離れていったことを嘆く。
久夫は夫婦の仲がよかった頃にたちかえって、清子のために川で「ズガニ」を取り、料理を始める。
仲睦まじい夫婦の姿を見た悦美は、逆上。旅人を連れて、旅館を飛び出していく。
一方、清子も離婚届けをはるに託し、出ていこうとする。
そんなとき、久夫が交通事故に遭い、意識不明の重体になる。<第19回>
交通事故に遭い、緊急手術を受けた久夫は、意識が戻らず、予断を許さない状態だった。
連絡を受け、悦美と旅人が病院に駆けつけてくる。取り乱す悦美に、清子は仕事に戻るよう忠告する。
その夜、旅行会社の長谷課長がみさき亭に来る。女好きの長谷は、新人のはるを自分の係に指名し、誘惑しようとする。
はるは長谷をそつなくもてなし、感心される。長谷は翠明に泊まったこともあるという。
はるは姿の見えない清子を探しにいく。悦美は、いつものように酒に溺れているのだろうと嘲笑するが、清子は久夫の回復を祈って寺で水垢離をして、お百度を踏んでいた。<第20回>
久夫の命が助かるよう、清子は自分の命を賭けて、三日続けて水垢離をしてお百度を踏んだ。
その祈りが通じたのか、久夫が意識をとり戻す。久夫は清子に、みさき亭を守ってほしいと頼む。そしてはるに、清子と旅人を助けてやってほしいと言いのこして、息を引きとる。
久夫の葬儀が粛々と執り行われ、初七日を迎える。
大野弁護士の立合いのもと、久夫の遺言が発表される。みさき亭の社長には悦美が就任。女将は清子で、権利及び代表権は社長、女将対等とすると。
悦美は清子に女将辞退を迫るが、清子は以前のみさき亭を蘇らせることを決意。はるは清子の下で働こうと心に決める。