<第51回> <第52回> <第53回> <第54回> <第55回> <第56回> <第57回> <第58回> <第59回> <第60回>

<第51回> 「八歳の腕白息子」
 昭和三十九年四月。瑠璃子は夕子の産んだ子・優を育てていた。夕子は出産後すぐに亡くなり、瑠璃子を母親と思っている優は小学三年生だ。父親は優が小さいときに亡くなったことにしてある。
 「振鈴館」は昭和三十三年の売春防止法で閉館。その後、瑠璃子は六本木で小さなバー「瑠璃子の部屋」を開いていた。
 美奈子はテレビに出演するようになり、民放の連ドラ出演が決まっていた。
 そのポスター撮りの日、ドラマのスポンサーが美奈子に挨拶にくる。美奈子は驚いた。やってきたのは社長に就任した直也だった。直也は今も独身だという。
 美奈子は瑠璃子に子どもがいることを告げる。

<第52回> 「九年ぶりの再会」
 美奈子は直也に会ったことを瑠璃子に話し、優に出生の秘密を打ち明けるべきだと忠告する。瑠璃子はまだ時期が早いと反対するが、直也に会うのが怖いのだろうと指摘される。
 仕事一筋の直也を心配した直輔は、知り合いの体育教師・頼子を直也に紹介する。気さくな頼子は、素敵なママがいる店に案内したいといって、直也を六本木のバーへ連れて行く。
 奇しくもそこは瑠璃子の店で、直也と瑠璃子は九年ぶりに再会する。
 美奈子の話から、直也は瑠璃子が結婚したものと思いこんでいた。瑠璃子は本当のことは言わずに、夫と死別して、女手ひとつで子どもを育てているふりをする。

<第53回> 「笑顔の記念撮影」
 美奈子は瑠璃子に無断で優を連れて直也のアパートを訪ねる。優と直也は自然に打ち解けて、美奈子は二人のツーショット写真を撮る。
 三日後、その写真が直也のもとに送られてくる。それを見た直輔は目を見張る。優が直也の子どもの頃にそっくりなのだ。直輔は直也の子どもではないかと疑うが、直也は一笑に付す。
 その夜、直也が瑠璃子の店に来る。直也が優と会ったことを知り、動揺する瑠璃子。直也はこれからもときどき優を連れて遊びにきてほしいと無邪気に喜ぶ。
 そんな折、瑠璃子は優の子ども部屋でのっぺらぼうの父親の絵を見つける。学校の宿題だが、父親の写真がないので描けないという。

<第54回> 「戸籍謄本の謎」
 頼子が瑠璃子の戸籍謄本を調べ、優を庶子として入籍していることがわかる。頼子は直也と瑠璃子の関係を疑う。
 日曜日、美奈子は優を連れて直也のアパートへ遊びに行く。はま子も来ていて、直也そっくりの優に呆然。優の父親について、美奈子にあれこれ質問する。
 美奈子の出生の秘密について週刊誌に暴露記事が載る。取材に応じたむら枝を、美奈子はののしり、絶縁を言い渡す。
 娘に冷たくされ、むら枝は瑠璃子の店でやけ酒をあおる。
 そこへ、頼子がやってきて、優の出生について、瑠璃子を追及する。むら枝は、優は美奈子と同じ娼婦の子だと暴露する。

<第55回> 「隠し通せぬ真実」
 頼子から、優の出生について聞かされた直也は、夕子が産んだ子ではないかと疑う。瑠璃子に聞くが、否定される。
 直也は興信所に夕子の調査を依頼する。果たして、夕子が男児出産後、亡くなったことがわかり、瑠璃子がその子をひきとったのだと確信する。
 直輔は望んでいた孫の出現に喜び、瑠璃子から早く取り戻そうと息巻く。
 父親参観日の朝、優が家からいなくなる。瑠璃子はうろたえるが、優は直也のもとへ行き、学校へ来てほしいと訴える。
 直也は感激。父親役を果たして、瑠璃子のもとに優を送り届ける。瑠璃子はついに、優が直也と夕子の子だと告白する。

<第56回> 「子どもの直感」
 瑠璃子から優の出生について打ち明けられた直也は、父親の名乗りをしたい、ときりだす。気持ちの整理のつかない瑠璃子は、しばらくそっとしておいてほしい、と頼む。
 そんな矢先、直輔が弁護士を通じて、優を引きとりたい、と言ってくる。瑠璃子は憤慨。直也も父親の強引なやり方に腹を立てる。
 優が、若い頃の直也と瑠璃子のツーショット写真を見つける。直也が自分の父親ではないかと直感した優は、瑠璃子にその疑問をぶつける。
 翌日、瑠璃子は優に父親のことを打ち明ける決心をして、学校からの帰りを待つ。
 が、時間になっても、優が帰ってこなかった。

<第57回> 「父親の名乗り」
 頼子が学校帰りの優をつかまえ、直輔のところへ連れて行く。感涙にむせびながら優を抱きしめる直輔に、優も無邪気になつく。
 直也は瑠璃子に謝りの電話をかけ、優と話をさせる。優は直也のところが気にいったらしく、帰りたくないという。瑠璃子は傷つき、眠れぬ夜を過ごす。
 翌日、瑠璃子は優の身の回り品をまとめて直也のもとへ持って行く。
 そして、意を決して、直也が父親であることを優に打ち明ける。優は素直にその事実を受け止め、直也のもとで暮らすことに同意する。
 その夜、優のいない空虚さに、瑠璃子は耐え切れず嗚咽。優を手放したことを後悔する。

<第58回> 「身を切られる別れ」
 優は直也のもとで暮らすことになる。最初の夜、優はなかなか寝つかれず、オネショをしてしまう。
 翌日、直也は優のために張り切って朝食を作り、学校まで送っていく。
 一方、瑠璃子は優のことが頭から離れず、虚脱状態。仕事もまったく手がつかなかった。
 優が学校から帰る。はま子が迎えてくれるが、直也がいないと居心地がよくない。
 まもなく、はま子は店へ出かけ、かわりに頼子が優の面倒をみる。すっかり母親気取りの頼子に、優はうんざりする。
 直也が帰宅。親子水入らずになってほっとした優は、瑠璃子と結婚すればいいのに、と直也に訴える。

<第59回> 「深夜の訪問者」
 翌日、仕事の都合で、直也の帰宅が遅くなる。頼子がまた優の世話を焼く。頼子のしつけは厳しく、叩いてでも優の嫌いなものを食べさせようとする。
 そこへ、美奈子が訪ねてくる。美奈子と頼子は口論になり、美奈子は優を連れて帰ろうとするが、優は直也が帰るまで待つという。
 美奈子は憮然として帰る。頼子も怒りがおさまらず、優に、瑠璃子は育ての親で、本当の母親は亡くなっていることを告げる。ショックを受けた優は家を飛び出す。
 その頃、直輔が瑠璃子のバーへ来ていた。優を直也の実子として入籍したい、と横柄な態度できりだす直輔に、反発を覚える瑠璃子。
 瑠璃子が帰宅すると、誰かが玄関の戸を叩いた。

<第60回> 「三人一緒がいい」
 頼子を嫌って、優が家出。瑠璃子のもとへ戻ってくる。瑠璃子は喜ぶが、優から、「もう一人の母親」について聞かれ、ドキリとする。
 直也は思いやりのない頼子に憤慨。結婚する意志のないことをはっきりと告げる。
 直輔はすぐに優を取り戻そうと焦る。直也は法律的にいっても勝ち目のないことを言い聞かせ、直輔が瑠璃子と自分の結婚を許してくれるなら問題は解決する、と提案する。
 直也は思い切って瑠璃子にプロポーズする。瑠璃子は多くの人たちを不幸にしてきた自分たちの恋愛を考えると、結婚には二の足を踏む。
 美奈子は二人の結婚を積極的に応援する。


戻る


[第1-10回] [第11-20回] [第21-30回] [第31-40回] [第41-50回] [第51-60回] [第61-65回]