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<第1回>
 昭和二十六年一月、国会議員・唐沢徳光の娘、瑠璃子は幸せの絶頂にいた。兄光一の友人・直也と婚約中で、結婚式を四月に予定していた。直也は父・直輔の経営する造船所の資材部長だ。
 ある日、直也は父の代理で、実業家・荘田勝平のパーティに瑠璃子とともに出席する。吉原で女郎屋を経営し、朝鮮特需で成り上がってきた勝平を、直也は軽蔑していた。
 その勝平が瑠璃子を子どもの頃から知っているという。瑠璃子は思い出せないが、光一に聞くと、唐沢家の別荘番をしていた男らしい。
 徳光が造船界と政界との癒着を暴く。直輔は直也の結婚に反対を唱える。

<第2回>
 正義派の徳光が、造船汚職にメスを入れる。業界から鼻つまみにされるのを恐れた直輔は、直也と瑠璃子の結婚に反対する。
 直也は母のはま子に相談。はま子は直輔と離婚して、小料理店を開いていた。
 はま子に励まされ、直也は瑠璃子との愛を貫く決意をさらに強くする。が、瑠璃子本人には、直輔が反対していることをどうしても言えなかった。
 別荘番をしていたとき、唐沢家に屈折した思いを抱いていた勝平は、直輔に、直也の結婚を破談にする協力を申し出る。
 勝平は自分のホテルのブライダル・コーナーに来た瑠璃子に、息子の種彦を紹介する。種彦は精神発達が未熟な青年だった。

<第3回>
 瑠璃子の兄・光一が、ダンサーの初美と結婚すると言い出す。家の格式を重んじる徳光は、猛反対。激しい口論の末、光一は家を出る。
 直輔が唐沢家に訪ねてくる。瑠璃子と直也の仲を認めていた徳光だが、直輔が瑠璃子の縁談相手として、種彦の写真を持ってきたので、激怒。瑠璃子に直也を諦めるよう言い渡す。瑠璃子はショックで泣き伏す。
 それを知った直也は直輔を殴りつける。
 勝平は徳光に莫大な借財があるのを調べ上げ、自分の会社の名で全額肩代わりする。
 そして、愛人のむら枝を唐沢家に出向かせ、瑠璃子に、肩代わりした借用書の束を見せつける。

<第4回>
 唐沢家に乗り込んできたむら枝は、勝平が肩代わりした徳光の借金を楯に、瑠璃子を種彦の嫁にほしいと要求してくる。徳光は怒り狂い、瑠璃子はおぞましさに身を震わせる。
 直也は勝平に会い、理不尽な要求を撤回するよう抗議する。勝平は歯牙にもかけなかったが、直也の必死の訴えにより、瑠璃子と種彦の結婚を諦めることを約束する。
 そして、ケジメをつけるために、瑠璃子に一度会いに来てほしい、ときりだす。
 勝平の娘・美奈子が直也に一目惚れする。
 光一が絵のグループ展を開く。そこへ、勝平がやってきて、光一が描いた瑠璃子の肖像画を高額で買っていく。

<第5回>
 種彦との縁談がなくなり、瑠璃子は勝平のところへ挨拶にいく。
 すると、勝平は、種彦から瑠璃子を譲ってもらった、自分と結婚してほしい、と不敵にもプロポーズする。瑠璃子は勝平を平手打ちして飛び出していく。
 徳光のもとに、以前秘書をしていた木下が、掛軸の鑑定を頼みにくる。調べてみると、五百万はする逸品だった。
 そこへ、むら枝が借金の取立てにやってくる。追いつめられた徳光は、掛軸を売って、返済にあてる。
 そして、木下には、掛軸は偽物だった、と嘘をついて言いくるめる。
 実は、その掛軸は勝平のもので、木下は勝平に頼まれて、一芝居打ったのだ。

<第6回>
 木下が、預けた掛軸を返してほしい、と徳光のもとに来る。徳光は何とか言い逃れようとするが、木下は徳光がそれを骨董屋に売ったことを知っていて、その掛軸の持ち主が勝平であることを告げる。勝平の仕掛けた巧妙な罠にはまったのを知り、慄然とする徳光。
 翌日、徳光は勝平に呼び出され、掛軸の件で脅迫される。徳光は土下座までして謝るが、勝平は意に介さず、瑠璃子を妻にほしい、と要求する。
 徳光は潔く罪に服す決心をするが、瑠璃子は父親を罪人にするのはいたたまれない。
 勝平が再び、光一の展覧会場に現れ、パトロン気分で、光一の絵を全部買っていく。

<第7回>
 むら枝が唐沢家に結納を持ってくる。徳光は追い返そうとするが、むら枝は言葉巧みに、結納金を押しつける。
 むら枝はその縁談が瑠璃子と種彦のものだと思っていたが、瑠璃子の相手が勝平とわかり、柳眉を逆立てる。
 思いつめた瑠璃子は、直也と駆け落ちすることを決意。はま子の知り合いの修善寺の旅館で落ち合う約束をする。
 翌日、旅支度を整え、瑠璃子が家を出ようとすると、徳光が猟銃で自殺を図る。幸い命に別状はなかったが、瑠璃子は動揺する。
 その夜、直也の待つ旅館を訪ねた瑠璃子は、「二年待ってほしい・・・・・・」ときりだす。

<第8回>
 瑠璃子は直也に、勝平と結婚することを告げる。驚愕する、直也。
 瑠璃子は徳光が自殺を図ったことを語り、勝平との結婚は復讐であり、二年後、奇麗な躰のまま直也のもとに戻ってくることを誓う。
 直也は瑠璃子の言葉を信じて、待つことに。
 瑠璃子は入院中の徳光に、結婚の決意を語る。慙愧に堪えず、徳光は滂沱の涙を流す。
 瑠璃子は勝平に結婚承諾の手紙を書き、数日後、光一とともに荘田家を訪問する。勝平は喜色満面で、二人の子どもたちも父親の再婚を祝福する。
 瑠璃子は勝平からダンスに誘われるが、手を取られた瞬間、躰が拒否反応を起こす。

<第9回>
 勝平が徳光の見舞いにくる。馴れ馴れしく「お父さん」と呼ばれ、虫唾が走る徳光。
 が、瑠璃子を人質にとられているので、逆らうことができない。
 まもなく、瑠璃子と勝平の結婚式の日がくる。経団連の会長を仲人に、ホテルで盛大に披露宴が行われる。瑠璃子は直也からプレゼントされた真珠の首飾りをお守りがわりに身につける。
 直也は居ても立ってもいられず、会場におしかける。
 そして、これ見よがしに瑠璃子にキスする勝平を思わず、殴りつける。
 その夜、瑠璃子は疲れたからといって先に寝室へひきあげ、眠ったふりをする。
 やがて、勝平が来て、瑠璃子の体に触れようとする。

<第10回>
 結婚式の夜、瑠璃子は気分が悪いと言って、勝平を遠ざける。
 そして、翌日から、徳光の看病を口実に、病院に泊まり込む。
 そんなある日、瑠璃子はひたすら自分を慕ってくれる種彦の純真さに打たれ、彼のためにマンドリンを弾く。勝平、美奈子もその美しい調べに、うっとりと耳を傾ける。
 そんな様子に、むら枝が嫉妬。勝平の止めるのも聞かずに、美奈子に、母親の名乗りをしてしまう。むら枝が娼婦をしていたときに、勝平との間に自分が宿ったことを知り、衝撃を受ける美奈子。
 その夜、瑠璃子は徳光の病室で偶然、直也と再会する。


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