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<第1回>
 麻美は高校2年生。生まれつき赤い髪のせいで、周囲から好奇の目で見られていた。
 麻美の父・光彦は足の怪我がもとで酒に溺れ、麻美に対しても辛くあたる。麻美の祖母・ミチが野菜の行商をして、細ぼそと生計をたてていた。
 麻美の一つ違いの兄・克彦は高校受験生。麻美を避けていた。母親は事情があって家を出ていた。
 麻美は家計を助けるため、明代の美容室でアルバイトをしていた。
 ある夜、アルバイトの帰り、麻美は3年生のサッカー部員・富田ら3人に待ち伏せされる。彼らは、麻美は母親が外国人と不倫してできた子だと言いふらし、麻美に襲いかかる。

<第2回>
 高3の富田らに襲われそうになった麻美は、明代の所に逃げ込み、助けてもらう。
 麻美は克彦に、富田らのことを訴えるが、克彦は、麻美が隙を見せるから悪いのだ、と冷たい。
 翌日、麻美は自宅の納戸で偶然、自分宛の母からの小包みをいくつも見つける。2歳のときに別れて以来、毎年誕生日に届けられたもので、光彦の目を恐れて、ミチがこっそり保管しておいてくれたのだ。
 母親の話はタブーだったが、麻美は思いきって光彦に母の消息を聞く。とたんに光彦の機嫌が悪くなり、手がつけられなくなる。
 翌日、麻美はミチに母のことを尋ねる。決意して、語り始めるミチ・・・・・・。

<第3回>
 ミチの話―――。東京でサラリーマンをしていた光彦は、洋子と社内結婚。克彦が生まれ、一年後に麻美が生まれるが、麻美の赤い髪を見て、洋子の不倫を疑う。
 そして、二年後、身の潔白を主張し、自殺未遂までした洋子と別れて、実家に戻ってきた。
 麻美は高校を辞め、美容師になる決意をする。明代に相談すると、東京の知人の美容院を紹介してくれるという。
 麻美の東京行きを知った光彦は、烈火の如く怒る。麻美は、何でも言うことを聞くから、東京へ行かせてほしい、と懇願。
 すると、光彦は麻美に乱暴しようとする。
 体をはって、ミチが光彦を止める。

<第4回>
 麻美は高校に退学届を出す。
 その帰り、富田らが再び待ちぶせしていて、麻美は校舎の裏に連れていかれる。
 そこへ、克彦がやってきて、麻美を逃がしてくれる。克彦は富田らに痛めつけられる。
 麻美は自分のために怪我をした克彦に謝る。克彦は麻美の存在をうとましく思い、出ていけ、と怒鳴る。
 その夜、麻美がアルバイトを終えて家に戻ると、門の所で富田らが待ちかまえていて、無理矢理林の中へ連れ込まれる。克彦も了解済みだというので、麻美は愕然。
 必死の抵抗もむなしく、麻美は富田にレイプされる。涙も出ないほどの衝撃に打ちのめされる麻美。

<第5回>
 富田にレイプされた麻美は、心も体もボロボロになって帰宅する。麻美の無残な姿を見て、光彦は何が起こったか推察するが、麻美が男を誘惑しただろう、と冷やかだ。また、克彦も麻美をさらに傷つけるような冷酷な言葉を浴びせかける。絶望した麻美は翌早朝、家を出る。母からの17歳の誕生日プレゼントのブラウスを大切にボストンバッグにしまって。
 麻美は明代に別れを告げる。明代は東京の知人の住所のメモを渡し、麻美を励ます。
 麻美は始発電車に乗り込む。
 そのとき、置き手紙を見たミチが、懸命に駆けてきて、手を振る。

<第6回>
 単身上京した麻美は、明代から紹介された美容院を訪ねていくが、そこは「カフェ・ルージュ」という店だった。
 その店のオーナー・雪の話によると、美容院のオーナーは五年前に亡くなり、雪が今の店――昼は喫茶、夜はカフェ・バー――をオープンしたと。
 麻美は思いきって、飛び込みで美容院を何軒かあたってみる。
 が、どこにも雇ってもらえなかった。
 途方に暮れた麻美は雪に雇ってほしいと頼み込む。麻美の切羽詰まった様子に同情した雪は、承知する。
 麻美は雪の息子・冬樹と知り合う。デザイナーの冬樹は、麻美の髪を見て、綺麗な色だとほめる。

<第7回>
 麻美は雪の店で働くことになる。冬樹のガールフレンドで、モデルの成子も店を手伝っていた。
 その夜から、麻美は雪のマンションに泊めてもらう。冬樹は独立していて、麻美は冬樹が使っていた部屋を提供してもらう。
 翌日、麻美がファッションに関心のあるのを知った雪は、成子と一緒に冬樹の仕事を手伝ってもらう。原宿にある冬樹のアトリエを訪ねた麻美は、わくわくしながらアイロンかけなどを手伝う。
 冬樹が突然、バイヤーに見せるための洋服のモデルに麻美を指名する。麻美の赤い髪が服を引き立てると思ったのだが、その狙い通り、商談はスムーズに成立する。

<第8回>
 ある日、麻美は母の消息を知るため、両親が勤めていた会社を訪ねる。父親が在職していたことは確かめられるが、母・洋子については該当者が見当たらなかった。
 それからまもなく、冬樹のアトリエで春夏ものの展示会が開かれる。洋服の好きな麻美も、手伝いにいく。
 そこへ、世界的に有名なデザイナー・竜也の息子・直也が現れる。直也が冬樹の腹違いの兄と知り、驚く麻美。
 小さい頃、竜也に冷たくされたのを恨んでいる冬樹は、同じデザイナーとして竜也父子に激しいライバル心を燃やす。
 展示会は大成功だった。お礼として、麻美は冬樹から口紅をもらう。

<第9回>「悲しい似たもの同士」
 展示会から一ヵ月後、麻美は冬樹に頼まれて、商品の発送を手伝う。
 そのとき、届いたばかりの雑誌を何気なく開いた冬樹の目が釘付けになる。それは直也の特集グラビアで、直也デザインの服を着ているモデルは、成子だった。「竜也と直也とだけは関係を持つな」と、成子に命令していた冬樹は、激怒。成子に一方的に別れを告げる。
 冬樹を愛している成子は、雪に泣きつく。麻美は、冬樹との約束を破った成子を思わずなじる。
 麻美は冬樹に、父親から拒絶され、家出してきたことを打ち明ける。
 冬樹も雪と竜也の関係を告白。父親から無視され、ずっと竜也を憎み続けてきたことを語る。

<第10回>「新人デザイナーの夢」
 麻美が家出してきたのを知った冬樹は、麻美の将来を気にかけ、もしデザインの仕事がしたいのなら、自分が協力する、と申し出る。
 冬樹が、服飾雑誌の主催する新人デザイナーコンテストに出品することになる。ターゲットはフォーマルウェア。冬樹は張りきる。
 成子がふらりと雪の店に現れ、麻美にからんだあげく、泥酔する。麻美は成子を自分の部屋に泊める。
 深夜、麻美がふと目を覚ますと、成子が声を殺して泣いていた。冬樹を愛するあまり、直也と関係を持ってしまった悲しい胸のうちを語る。
 翌日、麻美は冬樹に成子の気持ちを伝える。
 が、冬樹は、愛など信じないと・・・・・・。


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