女優・杏子
女優・杏子
2001年3月30日(金)放送終了

番組紹介

 この企画はマルチタレントとして、芸能界で大活躍する才人、うつみ美土理氏の小説「晩鐘」に拠っています。「晩鐘」は、ひとりのスター女優の凋落を彼女の恋の遍歴と重ね合わせて描いた話題作です。おそらく、作者自身、芸能界にあって見聞し、目のあたりにした体験ならではの鋭い視線が基調にあり、何時かは、その表舞台から去らねばならぬ女優たちへの鎮魂とも警鐘とも読むことができます。スポットライトを浴びて光り輝く女優、しかし、それは「虚構の花」で、実世界はまるで異なる人もいれば、「虚構」の世界にしか自分を見出せない女優もいる…その虚実の内側を描くこと、それが大きなテーマであります。

 ドラマはヒロインの女優香月杏子(荻野目慶子)が36歳に達し、その絶頂期から暫く下り坂を意識せざるを得ないころから始まります。スターという「華」との別れの意識を自分の内側でどのように折り合いをつけられるのか…。杏子はその<試練>に果敢に挑みます。それは、女優としての矜時と誇りを維持するための「戦い」でした。しかしその「戦い」は彼女に意に反し却って彼女が守ろうとしたものを際立たせ、失わせる…。そして、誰より自分自身を傷つけ、他人をも巻き込むことになります。ついには、その座を降りると覚悟を決めた時、全く予期せぬ背信、裏切りが追い打ちをかけてきて…。

 このドラマはそんな「女優であること」に執着した香月杏子という女優の凄まじくも、はかない戦いの足跡を彼女の忠実な付き人、友子(渋谷琴乃)の視線を通して描いていきます。21世紀第1作目の昼ドラマに、どうぞご期待下さい。
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