第7回 2003年5月27日(火)放送 あらすじ

#7 愛する者たちを引き裂く一発の銃弾

 拳銃の特別鍛錬を終え、拳銃を携えた加奈子(京野ことみ)は、夕暮れの街を自転車で本部へ向かっていた。ある倉庫街に差し掛かると、道路に紐を渡した罠が仕掛けてある。寸でのところで停まり、辺りを警戒すると、路地に怪しい人影が。加奈子は本部に「職務質問します」と連絡した瞬間、加奈子は安堵した。それは制服姿の警官だったのだ。だが・・・。
 その頃、瑞穂(仲間由紀恵)は、広報誌に載せた本部長の奥さんの写真が前妻のもので今村室長(近藤芳正)に大目玉を食らっていた。1冊回収されておらず、それを探し出せと今村は言う。そこへ内村(海東健)が現れ「僕が見つけたんだ。謝礼なんかないの?」と厚かましいことを聞いてくる。と、その時、青ざめた顔で七尾(田中律子)が飛び込んできた。「加奈子さんが襲われ、銃を奪われた!!」
 加奈子は鉄パイプのようなもので10回以上も殴られており、意識不明の重体であった。銃の安全装置が外されたあとがあり、発砲の用意をした直後に襲われたようだ。耕輔(オダギリジョー)らの捜査が始まった。刑事たちに緊張が走る。
 翌朝、瑞穂は一課に応援を命じられた。加奈子の代わりに指名されたのだ。鶴田(益岡徹)に、いかにも古参といった箕田刑事(佐野史郎)と組まされることになった。まずは、靴跡から割り出された靴の販売ルートを追うことから二人は捜査を始めた
 ある量販店で聞き込みをやっていると、瑞穂は万引き少年を見つけてしまった。「待ちなさい」と店外へ追い始める瑞穂。本部に帰るや否や、瑞穂は箕田から「捜査は時間の勝負だ。正義感の自己満足より仕事を優先させろ」と、烈火の如く大目玉を食らう。「少年犯罪は大きなことです。小さければ見逃せということですか」と口答えするが、箕田は「だから女は使えねえ」と言い捨てる。
 瑞穂は夜になって、犯行現場に向かった。特錬に向かう直前の明るい加奈子の姿を思い出し、辛くなる瑞穂。と、後ろから耕輔が声を掛けてきた。「油断するな。一課に来たら一時的でも今は刑事だ」と耕輔は注意を促す。二人は、加奈子が犯人をなぜ撃たなかったのか思いを巡らす。「相手が素早かったからか、撃てない理由があったからか・・・」。と、加奈子は現場を見通した先に駐車場があるのに気付いた。「きっとあそこに人がいたんです。だから撃てなかった。目撃者が見つかります」。瑞穂は勇んだ。
 目撃者探しが始まった。近くの学童保育所に通う園児が「僕見たよ。男と女の人が喧嘩していた」と言う。瑞穂は真剣に子供の言う「男」の似顔絵を描き始めた。
 その似顔絵は大々的にマスコミで流され、県警には多くの情報が寄せられた。事件は一気に進展するかと思われた。何人もの男が園児の面通しに同行させられたが、園児はなかなか特定できず、刑事や母親を悩ませる。そこへ木崎刑事(御子柴哲郎)が亀田(矢島健一)に漫画雑誌を差し出した。驚く亀田は、雑誌を開いて園児を問い詰めた。「ボクの見た人はこの人じゃないか」。似顔絵そっくりの変身ヒーローが載っているのだ。瑞穂も含め絶句する刑事たち。園児は泣きながら言う。「ママと一緒にいられるから、嘘ついたんだ」。以前の失敗と同じ轍を踏んでしまった瑞穂・・・。「これ以上素人に付き合えるか。どれだけ無駄をしたと思ってるんだ」。怒り狂う亀田。鶴田は「可能性は調べるもんだ」と庇うが、怒っているのは変わらなかった。また落ち込む瑞穂だった。
 その夜、樋口(余貴美子)が、加奈子が快方に向かっていることを瑞穂に教えに来た。落ち込む瑞穂を樋口は慰めるが、瑞穂は「あの子の気持ちが分かるんです。私も独りぼっちだから」と思い詰めた表情で話すのだった。
 本部に戻って始末書を書いていると、箕田が食事を誘ってきた。箕田は「何もしない奴は失敗もない。何かに向かう方が見所はあるんだ」と仏頂面で慰める。箕田に、瑞穂は好感を持った。
 箕田と別れ、本部に戻る途中、古美術店のショーウィンドウに飾ってある「古井戸を覗き込む女」という題の油絵に、瑞穂は引き込まれた。店に飛び込むと店主の山城(宇梶剛士)が「閉店だが気に入ったのなら見ていい」と絵を下ろしてきた。と、その時、七尾から携帯に電話が入った。瑞穂が「七尾・・・」という名前を口に出して切ると、山城は「あんた警察か」と尋ねる。「七尾は俺の後輩だ」。なんと山城は以前、鑑識で似顔絵を描いていたのだ。「なぜ辞めたんですか」という問いに山城は答えず、逆に「なぜこの絵が気に入ったのか」と聞いてきた。瑞穂は答えた。「ここに書いてある言葉が・・・」。そこには「MIZUHO 1980」とあった。そして寮に帰った瑞穂は、鏡に向かって自分の顔を描こうとした。だが、全くできなかった。描線を掻き消すだけであった。
 翌朝、瑞穂は樋口に「画家が自分以外の名を絵に描く心理は」と尋ねた。樋口は「単純に考えるなら、その絵の女性の名じゃない」と答える。納得する瑞穂。と樋口の電話が鳴った。「え、加奈子さんの意識が戻った!?」
 病室の加奈子に刑事たちの聴取が始まった。再び瑞穂の似顔絵の出番である。警官という供述だけでも驚きが走ったのに、「どんな男?」という問いに対する「女よ」という答えは一同をさらに驚愕させた。身長175センチ、ショートヘアの丸顔の女の似顔絵は、再度マスコミに流された。
 そんな朝、瑞穂に山城から「あの絵の買い手が出た。作者の身内らしい」と連絡が入った。瑞穂は「引き取りの時見に行っていいか」と懇願した。予定の時間に店に行くと山城はいない。だが、一人の女性・篠原房子(大塚良重)が絵の前に座っている。房子は、兄の親友の絵なのだと言う。画家を志したその親友は80年に交通事故で亡くなり、兄も昨年病死したが、その絵が写った写真があり、つい目に留まったのだと言う。その写真には「茜」という女性が写っていた。瑞穂は、その絵、作者、そして茜という女性に、大きく心動かされるのだった。瑞穂は80年、生後間もなく教会の前で保護され、以後、その教会の施設で18歳まで育ったのだ。
 箕田と瑞穂は、警察グッズを扱う店に聞き込みに出かけた。店員の芥川(内浦純一)は、似顔絵を見て一度来たことがあると言う。署に戻ると、どこからか電話を受けた箕田が「急用だ」とそそくさと帰る。と、鶴田が飛び込んできて大声を出す。「容疑者判明。鈴木真寿美。住所不定無職」
 瑞穂は芥川が真寿美に繋がるのではないかと、店の前に張り込んだ。が、そこへ耕輔がやって来た。以前からマークしていたのだ。二人は外へ現れた芥川の尾行を始めた。と、瑞穂の携帯が鳴ってしまった。逃げる芥川、追う耕輔。が、芥川は、耕輔を撒いたか、再び瑞穂の前に現れた。瑞穂は一人で追い始めた。
 人気のない道に来た時、芥川は改造銃を手に振り向いた。そこへ耕輔が追いついた。銃で威嚇する耕輔に向かって芥川は改造銃を発射した・・・。

キャスト

 平野瑞穂(23) 仲間由紀恵

 西島耕輔(27) オダギリジョー

 神崎加奈子(23)京野ことみ

 内村秀夫(25) 海東 健

 
 今村真一(39) 近藤芳正
 七尾友子(32) 田中律子
 本間英一(47) 升 毅
 亀田 賢(43) 矢島健一
 佐藤勇三(52) 河原さぶ


 相田咲子(28) 黒坂真美
 小松浩二(28) 田中哲司
 朝倉ちあき(21)立川絵理
 尾崎省吾(25) 品川 祐

 山城  (35) 宇梶剛士
 箕田 修(49) 佐野史郎
 篠原房子(45) 大塚良重
 芥川智行(28) 内浦純一

 鶴田 猛(45) 益岡 徹

 樋口京子(41) 余貴美子

スタッフ

■原 作
 横山秀夫(徳間書店)
■脚 本
 高橋留美
■企 画
 清水賢治
■プロデューサー
 高橋萬彦
 後藤博幸
■音 楽
 佐藤直紀
■演 出
 土方政人
■制 作
 フジテレビ
 共同テレビ

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