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<第56回> <第57回> <第58回> <第59回> <第60回>


<第51回>
七海が姿を消して、三カ月。陽一郎は無事を信じて待ち続けるが、その消息は全くわからない。敬介は七海のことが頭から離れず、仕事にも集中できない。
 ひかりは、七海のことで自分を責める陽一郎を励ます。
 が、ふっと不安が胸をよぎることも……。
 七海は、喜代美の経営するスナックを手伝いながら、写真を撮り続けていた。七海の仕事仲間で、小さな広告会社の企画部員・吉村が七海に好意を持ち、結婚を申し込む。
 七海は断ろうとするが、吉村は、返事はすぐでなくていい、とあきらめない。
 そんなある日、腰を痛めた喜代美が、ひかりの病院に運ばれてくる。

<第52回>
 ひかりは緊急入院した喜代美の担当になる。喜代美に記入してもらった連絡先を見て、ひかりはぎくりとする。そこに、七海の名前と電話番号が書かれていたのだ。
 ひかりは七海のアパートを訪ね、陽一郎が七海を待ち続けていることを伝える。七海は陽一郎を信じきれない苦しさを訴え、今はそっとしておいてほしい、と頼む。
 ひかりは七海に会ったことを誰にも言わなかった。
 七海は敬介に無言電話をかける。相手が七海だと確信した敬介は、七海の無事を喜ぶ。
 七海は吉村に自分の過去を打ち明ける。それでも七海への愛は変わらない、と七海を抱きしめる吉村……。

<第53回>
 七海と吉村が抱き合っているところへ、ひかりがやってくる。七海は吉村を婚約者だと紹介し、このことを敬介や陽一郎に伝えてほしいという。
 ひかりは陽一郎に七海の消息を伝える。七海の幸せのためなら、自分が身を引こう、と決意する陽一郎。
 ひかりは、そんなのはまやかしの愛だと怒り、七海をつれ戻すべきだと訴える。
 陽一郎は七海に会いにいく。七海は昔の自分に戻るつもりはない、と陽一郎の愛を拒絶。離婚届を突きつける。
 そんなとき、ひかりは七海の妊娠に気づく。陽一郎の子どもだ、と喜ぶひかりに対して、七海は吉村の子どもだ、ときっぱりと答える。

<第54回>
 陽一郎は辞表と離婚届を敬介にさしだし、七海に婚約者がいることを告げる。
 陽一郎以外の男を息子として認めない敬介は、七海に会いにいき、父娘の縁を切ると言い渡す。
 七海のお腹の子の父親が吉村だとは思えないひかりは、吉村に直接会って、確かめる。吉村は素直に自分の子どもではないことを認めるが、自分の子として育てるつもりだという。
 陽一郎が白川家を出ていこうとする。敬介がひき止めているところへ、ひかりが現れ、七海の妊娠を告げる。
 陽一郎は再び七海に、やり直そうと訴える。
 が、七海は子どもは処置したと嘘をつく。絶望した陽一郎は家を出る。

<第55回>
 自分一人で子どもを育てる決心をした七海は、アパートを出ていこうとする。
 が、吉村に見つかり話し合っているうちに、突然下腹に激痛が走り、ひかりの病院へ運ばれる。
 流産の危険があり、絶対安静を言い渡された七海は、うわ言で陽一郎の名前を呼ぶ。吉村は、七海と陽一郎の幸せを祈って、去っていく。
 その頃、陽一郎は行くあてもなく、バーで酔いつぶれていた。偶然その姿を見かけた吉村は、七海が流産しかけていることを知らせ、七海の心を癒せるのは陽一郎しかいないと語る。
 陽一郎は七海のもとへ駆けつける。七海は流産の危険を乗り越え、退院。陽一郎とやり直すことに。

<第56回>
 1997年初夏。七海は臨月を迎え、赤ん坊の誕生を心待ちにしていた。陽一郎も七海の体を気遣いながら、親子三人で、世界一幸せな家族になろう、と語りかける。
 ひかりは、七海や陽一郎の良き相談相手だった。そんな自分に満足しながらも、時どきふっと、昔の辛い流産のことを思い出して、涙ぐんだりする。
 七海の予定日の十日前検診の日、ひかりは七海を家まで迎えにいく。 すると、七海は全身痙攣を起こして倒れていた。
 病院へ運ばれた七海は、ただちに分娩室へ。妊娠中毒症を起こした七海は、かなり危険な状態で、万一のときは子どもをあきらめなければならないという。

<第57回>
 七海の命をかけた出産に、ひかりは立ち会い、七海を励まし続ける。
 まもなく、無事女の子が誕生。
 が、自分にはもう時間がないことを悟った七海は、ひかりにまっ先に赤ん坊を抱いてもらい、母親として陽一郎と一緒に赤ん坊を育ててほしいと言い残して、静かに息を引きとる。
 「明日海」と命名された赤ん坊は、陽一郎に抱かれて白川家に帰ってくる。ひかりは陽一郎と話し合った結果、自分はあくまでも明日海の叔母として、見守っていくことに決める。
 陽一郎はお手伝いの民子の力を借りながら、一人で明日海を育て始める。
 そして、またたくまに二年の歳月が流れる。

<第58回>
 七海の忘れ形見の明日海は二歳。ひかりになつき、母親のように甘えていた。
 ひかりの病院の外科のドクター・倉沢が、ひかりにプロポーズ。故郷の長野に帰って、ホスピスで診療にあたるという。
 朋子は、陽一郎と結婚してけじめをつけるか、それとも新しい人生へコマを進めるか、どちらかを選ぶべきだとひかりに忠告する。
 一方、敬介も陽一郎に、ひかりと夫婦になるべきだとすすめる。
 陽一郎はある決意を持って、ひかりに会う。ひかりも陽一郎に話があるといって、倉沢からのプロポーズを打ち明ける。
 陽一郎はひかりを祝福し、自分の話は言い出せないまま別れる。

<第59回>
 最近しばしば胃の痛みを感じる陽一郎は、病院で検査を受ける。
 すると、大病院での入院が必要だという。
 ひかりの家で、倉沢と陽一郎が偶然、顔を合わせる。ひかりを幸せにしてやってほしい、と倉沢に頭を下げる陽一郎。
 その夜、ひかりは陽一郎に会いにいき、明日海の母親になってくれ、という陽一郎の言葉を待っていたと打ち明ける。そして、今でも陽一郎を愛していると。
 が、陽一郎は、自分の妻は生涯七海一人だ、と答える。
 ひかりは倉沢に自分の過去を全て告白。ひかりへの愛は変わらないという倉沢に、ひかりは倉沢との結婚を決意する。

<第60回>
 倉沢との結婚を決意したひかりは、敬介に報告する。今月一杯で今の病院を退職して、長野へ行くという。これからも朋子のことを頼む、と敬介にいうひかり。
 陽一郎の体調の変化に、敬介が気づく。陽一郎は自分がガンであることを打ち明ける。手術をしても生き残る可能性は五分と五分だと。敬介はひかりに知らせようとするが、陽一郎は止める。
 ひかりの結納の日がくる。その日は陽一郎の入院の日でもあり、入院の前に陽一郎は明日海と思い出の山に出かける。
 結納が交されている途中で、敬介がひかりを呼び出し、陽一郎の病気のことを知らせる。ひかりは結納の席に戻るが……。

(完)

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