<第21回> <第22回> <第23回> <第24回> <第25回>
<第26回> <第27回> <第28回> <第29回> <第30回>
<第21回>
桃子を引き取ってから一ヵ月、響子は夜中の授乳で睡眠不足の日が続いていた。桃子を入浴させるのも不慣れで、小児科医の大輔にアドバイスしてもらう。
ある日、子宮筋腫の患者幸枝が医院に来る。響子は子宮の全摘出手術の他に方法がないと診断。幸枝も手術を受け入れる。
幸枝は来月、結婚式を挙げることになっていたが、体のことを考え、自ら破談を申し入れる。
手術の前夜、幸枝はウエディングドレスを抱きながら、彼に会いにきてほしかった、とすすり泣く。
響子は幸枝の婚約者・谷川に会い、幸枝の気持ちを伝える。
手術の当日、谷川が幸枝を励ましにくる。
<第22回>
息子の義明と二人でリンゴ園を営む良江が、卵巣腫瘍で入院。
たまたまフィリピン人の妊婦・マリアが診察を受けにくるが、マリアの顔を見た良江の顔がひきつる。
マリアは、お腹の子は義明の子だ、という。
が、義明が騙されていると思い込んでいる良江は、信じない。良江は響子に、マリアの子どもを処置してほしいと頼む。
良江の手術が終わった夜、響子はバーで偶然、義明と会う。義明はマリアを愛していると打ち明けるが、母とリンゴ園のために別れたと。
マリアが突然、中絶すると言いだす。良江と金銭的な取引をして、フィリピンへ帰るというが……。
<第23回>
響子は良江から、マリアと義明のサインがある中絶同意書をさしだされる。
納得のいかない響子は義明、マリアそれぞれに会い、本心を聞く。二人ともその選択しかなかったと。響子は手術をする決意をする。
マリアの中絶手術の日。いよいよ手術が始まろうとした瞬間、マリアが「赤ちゃんを殺さないで」と泣きだす。響子は手術を中止する。
マリアは良江にお金を返し、フィリピンで子どもを産むことを告げる。そして自分の大切なお守りを渡す。
響子はマリアの方から義明と別れたことを良江に告げ、マリアが家族思いの女性であることを訴える。
良江はマリアと和解して明るい顔で退院していく。
<第24回>
桃子が一歳の誕生日を迎える。子育てに追われているうちに、響子の離婚の傷もいつのまにか癒されていた。
四人目の子どもを妊娠した郁子が、今度も女の子であることがわかると、中絶してほしいと言いだす。旧家に嫁いだ郁子は、姑から跡取りの男の子を産まなければ離縁すると言われているという。
響子は中絶に反対。それを知った郁子の姑・千代が怒鳴り込んでくる。
響子に励まされた郁子は離婚しても子どもは産む、と千代に反発する。
命の大切さを響子が訴えていると、千代が突然泣き崩れる。実は千代も、跡取りを無理強いされた辛い過去があったのだ。
<第25回>
転倒して腹部を打った妊婦・順子が、救急車で医院に運ばれてくる。子どもは無事だったが、順子はなぜか哀しそうだった。
響子は順子の夫・信夫から事情を聞く。信夫と順子は再婚で、先妻の子・ちひろは、子どもを作らないという条件で、父親の再婚に承知した。
が、順子の妊娠を知り、怒って順子を突き飛ばしたという。
響子はちひろに会い、順子の優しさや命の大切さについて語る。
順子がちひろのために子どもをあきらめることを決心。それを知ったちひろは順子に謝り、子どもを産んでほしいと訴える。
そして、初めて順子を「ママ」と呼ぶ。
<第26回>
三年後――。桃子は四歳。明るく元気なヤンチャ娘だ。
桃子と同じ保育園の翔太の母・勝美が、二人目を妊娠したが、中絶を希望する。新聞記者をしている勝美は、子育ては翔太一人で十分だという。
勝美の夫・秀行も同じ記者だった。秀行は二人目が欲しかったが、勝美の意見を尊重すると。
普段仲良しの桃子と翔太が喧嘩。原因は、桃子の父親不在…。響子は再婚について考えてみる。
仕事よりも大切なものに気づいた勝美が、二人目を産むことを決心。夫婦の心が通い合う。
響子の友人・美里のもとへ、美里の別れた夫・松村が突然訪ねてくる。とりつく島もなく追い返す美里。
<第27回>
元音楽教師で、四十三歳の祥子が更年期の相談にやってくる。診察の結果、祥子の妊娠が判明。独身で、恋人と別れたばかりの祥子は、産むわけにはいかないとうなだれる。
響子は祥子の恋人・淳と会う。淳は祥子の元教え子で、一回り以上も祥子より年下だった。淳の将来のために祥子が身を引いたことを訴える響子。
祥子と淳は和解し、二人で子どもの誕生を待つ。
松村が再び美里を訪ねてきて、もう一度やり直したいという。
が、美里は結婚前からずっと好きな人がいたと……。
その夜、美里が泥酔。マンションまで送ってもらった大輔に、「抱いてほしい……」と迫る。
<第28回>
祥子が切迫流産しかかり入院する。
淳の母・千栄子が祥子のところに怒鳴り込んでくる。祥子を激しくののしった千栄子は、祥子に中絶を迫り、手切れ金を置いていく。
年齢差を考え、やはり淳と別れるべきだ、と苦しむ祥子。
そこへ、淳が駆けつけ、自分は祥子の見かけだけに惚れているのではない、と励ます。
桃子は大輔になつき、父親のように慕っていた。
そんなとき、響子は美里から、ずっと大輔を好きだったことを打ち明けられる。
響子は大輔に美里との結婚をすすめる。
大輔は響子の無神経さに腹を立てるが、思わず響子を抱きしめてしまう。
<第29回>
中絶同意書を持った美智子が医院に来る。配偶者の欄の名前を見て、響子は驚く。響子がよく行くワインバーのマスター・沢田だった。
響子は独身の沢田に事情を聞く。美智子は六年前に別れた沢田の妻で、美智子のお腹の子の父親は急死したという。
まもなく、美智子が手術に来る。美智子が本当は子どもを産みたいと思っているのを知った響子は、手術を中止する。
別の病院で手術をしてもらうことにした美智子が、子どもの理恵を沢田に預けにくる。
が、妊娠中毒症で倒れ、響子の医院に入院する。響子は美智子に心と体の休養をすすめる。
<第30回>
退院の決まった美智子がお腹の子どもの処置について迷い始める。
沢田の献身的な看病を見た響子は、理恵のためにも沢田と美智子が復縁してくれることを願う。
沢田が美智子に二度目のプロポーズ。お腹の子も自分の子として育てていきたいという。
美智子は嬉しかったが、六年の時間を戻すことは無理だと思い、プロポーズを断る。沢田に勇気づけられた美智子は、子どもを産む決心をする。
ずっと響子への思いを秘めていた大輔が、ついに響子にプロポーズする。響子が晃のことを忘れなくてもいい、今の響子を丸ごと愛していると。