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<第11回>
 響子が父から引き継いだ医院は、徐徐に軌道に乗り始めた。
 ある日、三十五歳の康子が不妊治療にやってくる。夫婦のコミュニケーションがうまくとれていないと感じた響子は、康子の夫・秀一と会う。
 両者の言い分を聞いたうえで、響子は夫婦に、精神的な面でのアドバイスをする。
 実は、響子自身も夫婦の問題をかかえていた。松本で再スタートをきった響子と晃だが、晃の就職先がまだ見つからなかった。
 男として晃の焦りがわかる大輔は、響子に晃に気を配るよう忠告。
 響子はうなずくが、仕事が忙しくて、なかなかその余裕がない。

<第12回>
 真奈美が誕生日プレゼントを持って、和子を訪ねてくる。和子にいろいろ世話になっている礼を述べた真奈美は、殊勝な態度で、和子に取り入る。
 一方、響子は和子の誕生日を忘れていた。
 翌日、和子が突然、松本にやってくる。仕事も決まらず、家事を手伝っている晃の姿を見た和子は憮然。
 晃のことを踏みつけにしているといって、響子を非難し、その場で東京に帰ってしまう。
 このままでは晃はだめになってしまう、と心配した和子は、晃と響子を離婚させ、真奈美と再婚させたほうがいい、と考え直す。
 晃の気持ちを変えさせるため、和子は仮病を使って晃を東京に呼び寄せる。

<第13回>
 口実をつくって晃を呼び寄せた和子は、真奈美と一緒になったらどうか、とすすめる。
 晃はあきれるが、真奈美のことが気になってマンションを訪ねる。
 妊婦らしい体型になってきた真奈美は、晃の手をとって自分のお腹に当て、胎動を感じさせる。そして、今夜だけ泊まっていってほしい、と哀願する。
晃は真奈美の願いを聞きいれる。
 翌朝、真奈美は晃のために朝食を作ったり、シャツのボタンをつけたりして、幸福に包まれる。
 その日、晃は松本に帰る前にもう一度真奈美の部屋に立ち寄る。真奈美は晃にしがみついて、行かないでほしい、と訴える。

<第14回>
 晃はひきとめる真奈美をふりきって、松本に戻る。淋しさを感じた真奈美は、和子との親密度をますます深める。
 晃が建設会社への就職を決心する。響子は急な晃の決断をいぶかしく思う。
 そのうえ、響子にとって自分は必要な人間なんだろうか、と晃がつぶやく。
 医院に、独身の早苗が中絶を頼みにくる。早苗の体を考え、中絶を避けたい響子は、早苗の不倫相手・大島と話し合う。
 が、その夜、大島の妻・文子が響子のところに押しかけてきて、一悶着起こる。
 追いつめられた早苗と大島が、心中事件を起こす。自分のせいで二人を死なせてしまった、と愕然とする響子。

<第15回>
 三ヵ月後。響子の医院に入院した妊婦の栞が、出産真際になって、赤ん坊などいらない、と暴れだす。子どもは無事生まれるが、栞は赤ん坊を里子に出したい、と全く愛情を示さない。
 原因が栞の夫・哲にあると感じた響子は、哲を呼び寄せ、ぎくしゃくしていた二人の関係を修復する。
 栞は自分の母がシングルマザーだったことを打ち明け、自分は結婚できてよかった、と幸せそうに響子に語って、退院していく。響子はふと真奈美のことを思い、複雑な心境になる。真奈美も栞と同じく九ヵ月に入っていた。
 その夜、陣痛の始まった真奈美が、タクシーを飛ばして、響子の医院にやってくる。

<第16回>
 響子の医院に突然現れた真奈美は、晃に出産に立ち会ってほしい、と言いだす。晃が真奈美の部屋に泊まったり、子どもの名前を考えているのを知り、ショックを受ける響子。
 晃が真奈美を他の病院へ連れていこうとしたとき、真奈美が破水。響子は自分の手で赤ん坊を取り上げる決心をする。
 陣痛に苦しみながら、真奈美は晃の名を呼んだ。響子は晃を呼び、真奈美の手を握らせる。
 まもなく、真奈美は女の子を出産する。恍惚とした表情で赤ん坊を抱いている真奈美と、その姿に感動している晃の姿が、響子の目に焼きつく。
 晃から感謝の言葉をかけられ、響子の怒りが爆発。

<第17回>
 真奈美の出産の知らせを受けた和子が、松本にとんでくる。愛らしい赤ん坊を見た和子は、手放しの喜びようだ。
 赤ん坊のためにも響子と別れたほうがいい、と和子が再び晃を説得する。晃は反発するが、父親として赤ん坊をいとしく思う気持ちを指摘され、何も言えなくなってしまう。
 二人の話に傷ついた響子は、家を飛び出し、大輔に悩みを打ち明ける。
 晃は真奈美の病室に行き、初めて赤ん坊を胸に抱く。そして、「優子」という名前をつける。
 大輔に送られて帰宅した響子は、新生児室でむずかりだした優子を抱き上げると、「恨んだりしてごめんね」と涙をこぼす。

<第18回>
 和子が、退院後の真奈美の面倒をうちでみる、と言いだす。
 晃は和子に松本に来てほしいと思っているといい、二度と離婚のことを口にしないよう頼む。
 翌日、和子は真奈美たちを迎える準備のため一足先に東京へ帰る。
 その夜、退院を明日にひかえた真奈美が、優子を抱きしめながら嗚咽しているのを響子が見る。父親のいない子に産んでしまったことを赤ん坊に詫びる真奈美の姿に、響子は胸がつまる。
 響子は晃に離婚をきりだす。晃を愛しているが、優子にとって父親が必要だと……。
 翌朝、響子はためらう晃を説得して、東京に帰る真奈美に付き添わせる。

<第19回>
 子どものために晃と別れた響子は、悲しみを押し隠して仕事に打ち込む。響子の心中を察した婦長の佐藤は、しばらく休院したらどうか、と勧めるが、響子は仕事が生きる支えだと。
 そんなとき、晃から響子に手紙が届く。優子の一ヵ月検診を済ませ、響子との約束どおり、幸せな家庭を作ろうと思っている……と綴られていた。
 響子を励ますため、大輔が幼馴染みの美里も誘って飲み会をする。響子と同じバツイチの美里は、いつまでも過去にこだわるな、とアドバイスする。
 急患ののぞみが医院に運ばれてくる。異常分娩の末、のぞみは死亡。響子は取り乱すが、元気な赤ん坊の顔を見て、正気をとり戻す。

<第20回>
 のぞみは自分の命と引きかえに女の子を出産。響子は自分と同じ境遇の赤ん坊に思いを寄せ、のぞみの身寄りを探してもらう。
 まもなく、のぞみの唯一の肉親、姉の清美が響子を訪ねてくる。妹は不倫をして家を飛び出した、と清美は言い、赤ん坊を引き取る話になると、激昴して貧血を起こしてしまう。
 医院のベッドで一晩休むことになった清美は、その夜、のぞみの子どもを殺そうとする。
 響子が間一髪のところで清美を止めるが、清美は妹の不倫相手が自分の夫であることを打ち明け、号泣する。
 響子は自分が赤ん坊を引き取る決心をして、「桃子」と命名する。


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