<第31回> <第32回> <第33回> <第34回> <第35回>
<第36回> <第37回> <第38回> <第39回> <第40回>
<第31回>
五月中旬のある日、六甲総合商事の管理部長・相田が翠明の経営状況を見にくる。本社では、翠明の評価はあまり良くなく、大手のパチンコチェーンから翠明買い取りの話もあるという。
起死回生のサービスのアイディアを相田から求められ、涼子らは頭を悩ませる。客に一円でも沢山お金を使わせるようハッパをかける相田に対して、涼子は、お色気路線は反対だと翠明の信念を守ろうとする。
朝倉が、次の日曜日福井で行われるお祭りに、涼子とはるを誘う。涼子は喜ぶが、はるは行かないとそっぽを向く。世間の噂を気にするはるは、福井に行かないよう涼子に忠告。涼子は耳を貸さない。
<第32回>
板長の祐治が、お昼を食べて温泉につかるだけの、デイパックを企画。はるはどんなワインを出したらいいか、アドバイスをする。
そんな相談をしているところへ、旅館「柊屋」の女将・慶子が声をかけてくる。翠明の芭蕉庵を女将さん会で見学させてほしいという。はるは涼子の福井行きをやめさせるため、見学の日取りを日曜日に決める。
日曜日、涼子と一緒に福井へ行く予定だった竜子が一人でお祭りを見にいく。
帰ってきた竜子は、朝倉と何かいいことがあったのか、はしゃいでいた。
医王寺で、はるは若い男から突然、モデルになってほしいと追いかけられる。男は新進気鋭の日本画家・田代だった。
<第33回>
はるに絵のモデルになってほしいと言った田代が、翠明に泊まりにくる。師匠から盗作者の烙印を押された田代は絶望して、流浪の旅をしているという。
六甲総合商事の本社の指示で、和子が新しい仲居頭代理としてカムバックしてくる。町田と結婚したばかりの和子だが、家庭のことはあまり話さず単身寮に住むという。売り上げを上げるために、和子が客に強引なサービスをするので、はるはついていけない。
福井から帰って以来、竜子が恋の病にとりつかれる。はるは、その相手がてっきり朝倉だと思い込むが、田代の姿を見かけた竜子が、感激したように田代の名を呼ぶ。竜子が熱を上げていたのは、田代だった。
<第34回>
福井の祭りで、田代と竜子は偶然出会い、竜子に母親のような懐かしさを感じた田代は、竜子に絵のモデルになってもらったという。一方、竜子も田代に初めて会ったとき、懐かしい気持ちがしたと。
その夜、若い女性・美保が、田代を訪ねてくる。美保は、田代に盗作者の烙印を押した恩師の娘で、田代の婚約者だった。はるは美保から、田代が二歳のときに両親が離婚して、田代は父親に引き取られたことを知らされる。美保は自暴自棄になった田代をなんとか立ち直らせようとするが、田代は美保をはねつける。田代の甘えを瀬川が非難。瀬川も田代と似たような生い立ちなのを知り、驚くはる。
<第35回>
婚約者の忠告も聞かずに、田代は酒で自分をごまかそうとする。はるはそんな田代を甘えていると叱り、竜子も同調する。
田代の身の上話を聞いた竜子に、動揺の色があらわれる。
翌朝、田代の寝煙草が原因で失火騒動が起きる。幸い、はるの活躍で大事にならずにすむ。
はるの仲介で、田代と美保の最後の話し合いが行われる。別れた方がいい……と、結論をくだす二人。そこへ、竜子が現れ、「目を覚ませ!」と、田代の頬を張りとばす。そして、自分が、両親の離婚と同時に生き別れになった田代の姉であることを告白する。
元気をとり戻した田代は、美保と出直そうと一緒に帰る。
<第36回>
新しい仲居頭・和子は、金の亡者で、なりふりかまわず客からチップを巻き上げようとする。
和子の夫・町田が和子の部屋に忍び込み、痴漢と間違えられる。大阪のキャバレーで働いていたという町田は、和子のそばに戻ってきたいと訴えるが、和子は大阪へ帰れ、とそっけない。
詐欺にあった町田は、多額の借金を背負い、それを六甲総合商事に肩代わりしてもらっていた。和子は、借金返済のめどがつくまで会えなくても二人で頑張ろう、と町田を励ます。
翠明の客・山田が、瀬川の顔を見たとたん、「お前は血も涙もない人間だ」と叫んで、飛びかかっていく。
<第37回>
はるは山田から、瀬川を恨む理由を聞く。
三年前、山田の経営する工場が倒産。莫大な借金を六甲総合商事が肩代わりしてくれたが、工場を再建不可能と判定した六甲は、一切合切を抵当に押さえて、売り払ってしまったと……。
六甲の実態を知ったはるは、翠明も同じ運命になるのではないかと危ぶむ。
倒産のとき、山田は妻子と生き別れになっていた。
瀬川は、山田の妻は亡くなり、娘の君枝は山代で仲居をしていることを山田に知らせる。
はるは、山田と君枝を対面させる。君枝は、母親が入院したとき、瀬川から個人的に金を借りて、世話になったことを語る。はるは瀬川という男がますますわからなくなる。
<第38回>
六甲総合商事の相田部長が、翠明に泊まりにくる。相田は、涼子の前ではさかんに翠明をほめ、利益が上がっていることに満足げな様子だったが、実は、裏で翠明をパチンコチェーンに売り払う話が進行中だった。
仲居の和子と康子が、相田の味方につく。
和田のもとに、母親が倒れたという連絡が、弟から入る。
が、今までに何度も弟の借金の尻拭いをさせられてきた和田は、信用しない。
翌日、和田の弟・耕作が客として翠明に来る。芸者を呼んでどんちゃん騒ぎをしている耕作に、和田は逆上する。
翌朝、フロントに財布を預けた客の寿子が、お金が消えたと騒ぎだす。
<第39回>
客の寿子が、フロントに預けた財布の中から現金二十万円以上がなくなった、と怒りだす。涼子が個人的に弁償して、その場をまるくおさめるが、相田部長は涼子の経営責任を問い、社長交代をほのめかす。
和田は、相田が和子と康子を使って事件をおこし、翠明を売りとばそうとしている、と涼子に忠告する。
涼子は和田に母親の見舞いにいくようすすめる。
が、和田は首をふり、耕作に対しても冷たい。
朝倉が仕事で上京。それを追うようにして、涼子も用事で東京へ出かけたので、仲居たちはあれこれと勝手な憶測をする。
涼子不在のその夜、翠明でボヤ騒ぎが起こる。
<第40回>
翠明のボヤ騒ぎは幸い大事にならずにすむが、内部の者の放火の疑いが強かった。和田は涼子の携帯に何度も電話するが、電源が切ってありつながらない。
翌朝、やっと連絡がとれた涼子が急ぎ翠明に帰ってくる。
相田は昨夜の涼子の行動を質問。答えるのを拒否した涼子は、謹慎処分になる。
そこへ、朝倉がやってくる。昨日涼子とは全く会っていない、と語る。
まもなく、涼子が和田の母親を大学病院へ転院させ、一晩中付き添っていたことがわかる。事情が明らかになっても、あくまでも涼子を切り捨てようとする相田に、和田が反発。引責辞任する。そして、母親の面倒をみるために山中を去っていく。