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<第11回>
 翠明が、六甲総合商事のバックアップを受けるようになって、半月が過ぎた。
 お酒の売り上げを伸ばすための仲居のサービスについて、涼子と和田が対立。儲けのためには多少押し売り気味になっても仕方がないという和田に対して、涼子は意地汚い商売はしたくないと。
 家電の安売りチェーン店の社長、鈴木が、芸者の竜子にプロポーズ。仲居たちは、玉の輿だとうらやましがるが、離婚歴のある竜子は、二の足を踏む。金持ちの奥様風の客、英恵が翠明にやってくる。はるを見た英恵は、いきなり抱きつき、はるの叔母だと自己紹介する。はるの母の妹だというが……。

<第12回>
 はるの叔母だという英恵が、突然訪ねてくる。亡くなった母は、天涯孤独で兄弟はいないはずだったので、はるは驚く。英恵の話によると、はるの母と英恵は異母姉妹で、英恵は母の若い頃の写真と手紙を持っていた。東京で画廊を経営し、ずっと独身の英恵は、はるを連れて帰り、結婚の世話をしたいという。
 瀬川が、旅館経営にプラスになるアイデアを皆から募集する。囲炉裏のある客室を提案するはる。和田は四万五千円分の宿泊券を仲居たちに渡し、売れ残った分は給料から差し引くと命令する。
 はるたちは反発。英恵に煽られて、ストライキを打つことに……。

<第13回>
 宿泊券の白紙撤回を求めて、はるたち仲居はストライキに突入する。涼子はストライキを中止するよう必死に説得するが、はるは耳を貸さない。
 ストライキを提唱した英恵が、問題の宿泊券を全部買い取り、ストライキをやめさせる。涼子は英恵を信用できない。英恵ははるに見合いを勧め、相手の男性を翠明に呼ぶよう段取をつける。
 その夜、英恵は竜子をお座敷に呼ぶ。鈴木も竜子に会いたいというので、はるは英恵の部屋に鈴木を呼んでもてなす。英恵と鈴木は、経営者同士話が合う。
 翌朝、鈴木は、英恵を金沢見物に案内するといって出かけていく。

<第14回>
 英恵が、三井屋で、仲居や板前たちに蕎麦をご馳走する。はるは涼子に遠慮して行かなかった。
 英恵は、地元で買い求めたという魯山人の高価な鉢を皆に見せた後、東京であるモネのオークションの話をきりだす。モネの水蓮を手に入れたいが、資金が少し足りないので、皆に共同出資者になってほしいという。
 翌日、英恵はオークションのために東京へ出かけていく。仲居たちは英恵を信じて、大金を彼女に預ける。共同出資者の話を聞いた瀬川は、典型的な美術品詐欺の手口だと直感。調べると、魯山人の鉢は偽物だった。騙されたと知った仲居や板前たちは、はるにくってかかる。

<第15回>
 英恵が翠明の従業員たちからお金を騙し取っていなくなる。明日帰ってくる、と言った英恵の言葉を信じたいはるは、明日一日だけ警察に届けるのを待ってほしい、と皆の前で頭を下げる。
 翌日、はるは涼子に辞表を預ける。英恵の居所がわかり、はるの叔母でないこともわかる。涼子は英恵に電話をかけ、はるが信じていることを伝える。
 その夜、英恵が山中に戻ってくる。皆にお金を返して、自首するという。鈴木が、英恵の身元引受人になり、仕事のパートナーになりたいときりだす。はるは、今後も叔母と姪の関係は変わらないと……。

<第16回>
 山中温泉に、春が訪れる。
 六甲総合商事から翠明に、半年間で利益が上がらなければ、旅館以外の事業に変更する、との通告がある。
 ワインブームに目をつけた涼子は、翠明の和風料理に朝倉のボルドーワインをセットした新しい企画を立てる。
 和田支配人や板長たちが乗気な中、はる一人がその企画に反対する。涼子と朝倉の仲が接近するのを心配したはるは、朝倉のワインに何かとケチをつける。
 朝倉は妻の病気で、急きょ福井へ帰る。
 その夜、はるは、三井屋で、旅館を探している満代、健太親子と会い、二人を翠明に案内する。満代は三泊の予定で前払いし、はるにチップもはずむ。

<第17回>
 はるが満代、健太親子を翠明に連れてきた翌日。
 温泉の掘削の仕事をしている夫に会いにきたといっていた満代が、しばらくすると、それは嘘だといいだす。実は夫は行方不明で、居所を探しているのだが、健太が一緒だと思うように動き回れないので、二日間健太を預かってほしいという。
 満代に同情したはるは承知。和田支配人は、はるの独断に苦苦しい顔。
 翌日、満代は夫探しに出かけていく。はるは健太の面倒をみるが、健太は反抗的だ。
 その夜、健太が体中をかきむしりながら転げ回る。医師の診察によると、根深いストレス性の皮膚炎だという。

<第18回>
 健太をはるに預けて、夫を探しにいった満代が、約束の日になっても帰ってこなかった。何の連絡もないので、“捨て子”だと騒ぎたてる和田支配人。
 満代を信じるはるは、健太を自分の部屋に移し、健太の経費も自分で支払う。
 他の仲居たちは健太を嫌い、はるに不満をぶつける。
 健太ははるにもなかなか心を開こうとしなかったが、意外にもじゃがいもの皮をむくのが上手で、いきいきと皮むきをしている健太の姿に、はるは驚く。
 また、金にならないものは切り捨てていく方針の瀬川が、なぜか健太にはやさしかった。
 まもなく、和田が満代の捜索願を出し、健太を施設に入れるといいだす。

<第19回>
 和田が満代の捜索願を警察に出そうとしたとき、満代が帰ってくる。はるはほっとするが、健太はあまり喜ばず、むしろ悲しげだ。
 瀬川の調査によって、満代の夫はすでに亡くなり、満代は愛人の良二を探していたことがわかる。
 良二との約束を信じて、翠明で良二を待ちたい、と訴える満代に、はるは同情。満代を仲居として雇ってもらうよう涼子に頼み込む。
 小料理屋をしていたという満代は、仲居の仕事をそつ無くこなす。健太は満代に見放されたと思い傷つく。
 そんなとき、三郎が良二を見つけだして連れてくる。
 良二は妻子がいることを打ち明け、満代とのことは出来心だったという。自嘲の笑みをもらす満代……。

<第20回>
 男に騙された満代は、健太に寂しい思いをさせたことを謝り、母子二人で再出発するため、千葉へ帰っていく。
 満代らを見送った仲居の友江が、突然泣きだす。未婚の母の友江は、名古屋の叔母に預けている健太と同じ年の勇一のことを思い出したのだ。はるのすすめで勇一に電話をかけた友江は、胸がつまって何も言えなくなる。
 翌日、勇一が一人で、友江に会いにくる。電話の友江の声が寂しそうだったから、励ましにきたという。
 はるたち従業員はみんなで勇一の誕生日を祝い、涼子は友江母子に一晩、旅館の部屋を提供する。
 ワインと料理の新企画がいよいよ実行にうつされる。


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