2012年06月02日 ザ・コンパスで放送
政治・政策

こうなったのはナゼ!?「決められないニッポンの政治」を打破せよ!

現在、開催中の国会は会期末まで1ヶ月を切りました。
首相が政治生命をかけると表明している消費税増税法案も、与党である民主党と、野党第一党である自民党の間で、成案に向けた協議は行われておらず、国会外では、今週、同じ民主党同士の、野田首相と小沢元代表の会談が行われることに注目が集るなど、最大の重要法案は
足踏み状態を続けています。

5月23日付のワシントン・ポスト紙は、「日本の決められない政治 “the central government‘s inability to make decisions”が『大阪維新の会』の支持につながっている」と分析するなど、米国のメディアは引き続き、日本の政治の停滞に憂慮の念を示しています。
さらに、野田政権が今国会に成立させた法案は、81本中20本(5月25日現在)とこれまでの通常国会での法案成立率と比較して約半分であり、飽くまで途中経過とはいえ日本政治の歴史上、最も低い状況にあります。

こうした日本政治停滞の現状は、どういう方向、方法で、解消、解決を図るべきなのでしょうか。あるいはまた、解決する必要はないのでしょうか。
たとえば、政治のスタイルとしては、二大政党制を突き詰め、勝った政党が強い 主導権を持つ「対決型」が良いのか、さまざまな政党が調整のもとに合意形成を行う「コンセンサス型」が良いのか。あるいは、強く確かなリーダーを育てるシステムが必要なのか。
やはり、選挙制度の問題に行き着くのか。様々な論点を含んだ大きな問題ではありますが、野田・小沢会談で、日本の政治の現状をいやが応にも考えさせられる今週は、「決められない」日本の政治状況をどう捉えるかをテーマとし、特に現在の状況をもたらした要因と、現状を転換するプロセスについて考えることができればと思います。
皆様からの自由、率直なご意見をお待ちします。

オピニオンリーダーへの問いかけ

※コンパスで掲載された全ての意見・回答は各氏個人の意見であり、各氏所属の団体・組織の意見・方針ではありません。
Q1:ニッポンの政治は、やはり「決められない」状況だと思いますか?
Q2:問1の回答理由をお答えください。
Q3:現在の政治状況を生み出した原因についてどう考えるか、《最大の原因と思われるもの》を1つ お選びいただき、回答理由をお答えください。
Q4:どうすれば「決められない」政治から脱却していけるでしょうか。
その方法について、可能な範囲で具体的にお答えください。

オピニオンリーダーの回答

( 34件 )
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1. 思う

小幡績
慶應義塾大学ビジネススクール准教授
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
この20年、国の課題は何も変わっていない。解決していないということは決めていないということ。しかし、それは政治の責任というより社会、人々の責任。
この10年、いやこの20年、日本の課題は同じままだ。私が当時大蔵省に入省したときから、財政も年金も破綻必至で改革が必要だと議論された。公務員改革も必要と言われていた。構造改革も叫ばれていた。円高でもやっていける経済が必要と言われてきた。英語を話せないといけないと言われてきた。教育も改革が必要と言われてきた。政治のリーダーシップが足りない、外交下手だと言われていた。

何も変わっていない。ということは何も決断してきていない。ということだ。

しかし、それは必ずしも政治だけの責任ではないだろう。そういう社会であり、そういう人々だ、ということだ。日本は。
Q3. 国民
そんなに決められない政治が嫌なら、別の政治を選べ。選べていないのは、自分たちの責任だ。もちろん、私も。
Q4. 回答する
決断するトップの足を引っ張るのは止めよう。自分の、個人レベルの決断を明示しよう。

具体的には、政党の組織運営を正常化する。政党のトップには、政党政治である以上従う。党首に従わない党員、議員を非難する世論がない以上、それは政党内はまとまるはずがない。

国家として決断したことは、個々人の決断である。他人事として捉えてはいけない。しかし、そんなことを言っても始まらない。人々は無責任であり続け、政治をエンターテイメントと捉え、自分たちが清涼感を得るために、あるときは叩き、あるときは絶賛し、しかし、その結果には関心を持たない状態が続くだろう。

したがって、国民世論とは無関係に、淡々と、世論がまじめに政治を考えるようになるときのために、きちんとした政党政治が行えるよう、政党の組織マネジメントの基礎を固めておくべきだ。そのためには、現在の二大政党の組織がまともな組織として、統一した意思決定ができるよう、経験を積ませ、組織がまとまることをメディアが評価してやることで、実績を積ませるしかない。そうなってくれば、各政治家個人も組織に従うようになるだろう。
 
 
坂野尚子
株式会社ノンストレス社長
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
非常に残念ながら、現在の日本の政治、経済の状況は踏みとどまっているというより、悪化している状況だと思います。その理由として、日本では傑出したリーダーを育てる風土に欠けており、他人と違う意見であるとか、考え方を表明することを憚る体質が小さい時からあり、自分の意見を言うことも戸惑う人が多いと思います。その背景として、横並び的、寄れば大樹という風土があり、意見を表明する人に批判、批評をだけする評論家的カルチャーが蔓延していると思います。

反対意見を言うということについても、言葉尻を捉えて批判するというよりは、異なる意見については尊重しながら、議論を重ねて一定の方向性が出れば良いのですが、反対意見には子供じみた感情的な反応をすることも多く見られることが残念です。ただ、この場で政治家を批判するだけでは批判している人と同じことを言っているに過ぎないので、自分の中で、日本を変えうる活動は地道にも一歩ずつやっていきたいと感じております。
Q3. 上記の複数の要因(選択肢) 
国民、政治家、メディア全部だと思います。制度・仕組みより、まずは意識の問題を感じます。
Q4. 回答する
まず、経済再建を軸に、労働力低下、少子化、エネルギー問題など、政策毎にこの指とまれで政党を超えた形で2020年までにゴールを決めて財政再建プランのアクションプラン及び政策実現計画を描いてほしいです。そのためにも船頭は多くないほうが良い。国会議員の数は半分以下に。また、そもそもお金のかかる選挙はやめ、ネットを活用しましょう。総理大臣は国民投票で。所謂、政争はやめること。
 
 
山田吉彦
東海大学海洋学部海洋文明学科教授
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
 外交においては、中国の海洋侵出、欧州の政権交代・経済不安。内政では、原子力発電、米軍基地問題など解決の糸口すらつかみきれず先送りされた問題が山積している。震災復興も速やかな意思決定がなされていれば、被災地のインフラ整備も進み、景気回復の原動力にもなり得た。
 決められない政府は、国会審議すら停滞を続けていることに象徴される。
 首相は政府の責任者であることを認識し、威厳を持つことである。
 政府が威厳を持たない国では、侵略者の餌食になる。既に東シナ海は脅かされている。
 マニフェストが未実行であるのは、ひとえに決めることができないためである。また、マニフェストに見切りを付けることも決められない。
Q3. 上記の複数の要因(選択肢) 
 政党の意味をはき違えている政治家が多い。国会議員候補書が、選挙のたびに政党が変わるのでは、次の政権になっても期待できない。
 政党内の意思集約ができないのでは政党の意味がなく、政党再編が必要。
 
Q4. 回答する
 中選挙区制への回帰と国会議員の削減。国会議員に政治への責任を持たせる。
 人気投票ではない国会議員選びの体制を構築する。
 国家公務員の役職者に民間企業の経営経験者を採用する。
 首相の辞任は、即座に衆議院の解散を意味することとする。
 
 
土居丈朗
慶應義塾大学経済学部教授
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
これまでの戦後日本政治において、与党内で権力分散が作用する構造が埋め込まれてきた歴史がある。その歴史から見ても、よほど工夫しなければ、現行の制度や慣行を尊重する限り「決められない」状況が続くと考える。
自民党長期政権の下で、保守合同の経緯や「八個師団」、「三角大福中」などと派閥の対立や合従連衡が繰り返され、自民党総裁=首相に、権力が集中しないようにする政治力学が作用してきた。佐藤栄作、中曽根康弘、小泉純一郎といった同世代のライバルがいなくなるという稀な状況でない限り、派閥の合従連衡の上に成り立った首相は、各派閥の意向を無視できない状況の中で政治判断を強いられた。もちろん、派閥間での対立が顕著でない案件はきっぱりとした決断ができたとしても、対立が顕著な案件は明確な決断ができないことがしばしばあった。この対立には、時として、参議院議員があたかも1つの派閥のような態度を示すこともあった。

こうした自民党長期政権期の権力分散作用は、今の民主党にも存在する。民由合併を経た今の民主党は、あたかも保守合同後の自民党のように、旧政党がグループを構成し、参議院議員があたかも1つの派閥のような態度を示して、民主党代表=首相に権力が集中しないように牽制している。

与党内で権力が分散する状況では、利害が対立する案件では明確な政治決断は困難である。これは、現行の制度や慣行を変えなければ克服できないだろう。
Q3. 制度・仕組み
現在の政治状況を生み出した最大の原因は、与党内の権力分散にある。与党内の権力分散を助長した主因は、選挙区の候補者選定の方法と、国会における参議院の過剰な権限にある。

選挙区の候補者選定では、同一選挙区で当選を重ねる議員をそのまま同じ選挙区から立候補させる慣行がある。これが、与党内の権力分散を助長する。なぜなら、同一選挙区で当選を重ねられれば(重ねられるだけの票田を確保できれば)、別の選挙区へ「国替え」させられることはないからである。そして、当選を重ねる限り、党執行部の意向を多少無視して選挙に臨んでも、特別な懲罰や制裁はない。そうなると、候補者は、党執行部の意向に従うよりも自らが独力で再選のための票田確保に熱心となり、政党内での求心力が弱まることになる。小選挙区制の導入により、こうした政治力学はかつてより弱まったとはいえ、依然として「国替え」はないので、こうした慣行は温存されている。これに対して、イギリスやオーストラリアなどの政党は、党内で有望な人材は、「楽勝」選挙区に「国替え」して選挙に煩わされず党の政策立案能力や実務経験の育てる慣行があり、その人選を党執行部が司っていることから、党内の権力集中を促している。

参議院が、予算関連法案について、通常の法案と同様の権限を持っていることも、与党内の権力分散を助長する。予算案には衆議院の優越がありながら、予算関連法案にはそれがないため、否決されれば予算執行に支障をきたす。これを逆手にとって、予算案における衆議院の優越の実効性を弱めている。予算執行に支障をきたすことは、政権運営にとって重大事である。こうしたことから、予算案と必ずしも関係ない案件に対しても、ある意味での拒否権を参議院が持つことになる。これは、衆参ねじれ状態では当然そうだが、ねじれ状態でなくても、与党内での政治力学からそうした権力を与党参議院議員が持つことになる。
Q4. 回答する
党内集権化と衆議院の優越の強化が必要である。

まず、与党内で党首=首相に権力を集中させて、たとえ党内で異論があったとしても、一旦選出された党首が自ら推進したい政策を妥協なく実行できるように、制度的にも担保することが必要である。

また、予算案にある衆議院の優越の実効性を担保するためには、予算関連法案についても衆議院の優越を認め、政権にとって重大事である予算執行に支障をきたさないようにする必要がある。

こうした改革は、既得権益を考えると容易ではないように見える。しかし、「決められない」政治を続けても与党としての便益が享受できない、と多くの議員が理解すれば、与党になった時に与党として政治決断をきちんと下せて政策を実行することで便益が得られることになる改革を実行するインセンティブが生じるはずである。

参議院側が、衆議院の優越を強化することには容易に同意しないとの見方もあろうが、与党参議院議員にとって、現行制度のままで衆参ねじれ状態になっては、(与党が少数派になる)参議院で与党議員として影響力行使をしようにもできない状態に陥る。それよりかは、衆議院の優越を今以上に認めたとしても、与党議員として与党内で予算や政策の立案に影響力を行使して、衆参ねじれ状態でも与党として予算執行に支障をきたさない状態になる方が、与党議員として便益を得られると考えられる。
 
 
伊東乾
作曲家・指揮者 ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
第一次世界大戦後、ワイマール共和国憲法下のドイツを想起させられる。歴史上稀に見るリベラルなワイマール憲法が「決められない政府」状態を作り出し、強力なリーダーを求める大衆の票がナチス政権を選ばせるに至ったのと類似した状況を感じる
第一次世界大戦後、ワイマール共和国憲法下のドイツを想起させられる。歴史上稀に見るリベラルなワイマール憲法が「決められない政府」状態を作り出し、強力なリーダーを求める大衆の票がナチス政権を選ばせるに至ったのと類似した状況を感じる。同様の構造的な問題があるように思われる。同様の結果を導くべきではない。
Q3. 制度・仕組み
生み出した原因、という以上に、現状を打破する意味でも、特定のセクターに原因を集中させても改善には近づかないように思われる。各々のステークホルダーが蛇・蛙・ナメクジの三スクミのような動けない状態にある面があり、制度面からのアプローチが現実的と考える。
Q4. 回答する
個別の政策課題を巡る状況の「見える化」。議席を持つ人間を含め、本当に何が有効な施策なのか、実効性を評価できる人が極めて少ないために、腹の定まらない同志の合従連衡を繰り返している面があるのではないか? 議席の保守などに執着せず、捨身で仕事する「ステイツマン」の献身的な努力が必要。
 
 
南淵明宏
医療法人社団 冠心会 大崎病院 東京ハートセンター  心臓外科医
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
妬みによるpolicingの結果、逸材がつぶされ、カスばかりが議員を続けている。そういった人材不足が一番の原因。
政治家が無能で卑怯で臆病者だから何も決められない。時代の変遷のせいにしたり制度のせいにしたり、奸僚のせいにしたり。ところが要はとにかく政治家度もが小粒で不勉強で意気地がない。生意気で向こう見ずで無鉄砲。失敗を怖がらない逸材が出てこない、というかそういう奴が当選しない社会に問題があると思う。上り調子の人間の足を徹底的に引っ張る世の中が悪いのだと思う。そうやって、結局足の引っ張りどころのない、どうでもいいやつ、軟体動物な奴、話をするのも意味がなさそうな空気みたいな奴、そういうクズばかりが国会議員になっているのだと思う。とにかく会えば必ず奴らは「行政の壁は厚い」「役人がいうこと聞かない」など周りのせいにばかりする。自分の不勉強、情報収集力のなさ、理解力のなさ,かんのわるさ、外国語のできなさを自覚しない。
そんなだから法案でも議題でも内容の理解や展望はそっちのけで、「これに賛成すると結局自分の立場はどうなの?」というところで議論し決議に参加している。
誰か一人まともな奴が出てくればスピルオーバーすると思うがその前に嫉妬でつぶされるのがオチだろう。
そういうったpolicingが働きすぎる社会であることが日本の悲劇を生んでいるのだと思う。
Q3. メディア
独善的で偏見に凝り固まった偏狭で矮小な社会に安住して生息するマスゴミの人間が政治の世界を徹底的にゆがめていると思う。とにかく奴らは知ったかぶり。先見性のかけらもない自分独自の価値観と基本は嫉妬の感情で逸材をつぶし、、結果巨悪をのさばらせている。個々政治家の活動を持っとpositiveに捉え、それを伝えてあげるべき。とは言うものの、先に述べたようにそんな形で「人前に出せる」人材は非常に乏しい現況にあるのだが・・・。
Q4. 回答する
決めようと思えばそれで済むこと。ところが誰もしない。そのほうが楽だから。楽なのに仕事していると言う雰囲気を醸し出せるから。自分の利益とか立場だけ考えているのだから。もっと捨て身で自己犠牲的で、リスクをとる国会活動古そホンモノだと、個々の議員が自覚すればいいだけのこと。
ただ一点、党の力で法案の賛否をきめさせる戒律を廃止することでだいぶ変わるのでは。
個々の議員がどの法案にどう賛成、あるいは反対したか、しっかりと国民が評価できる仕組みを作ったら「もっと決められる」はずだ。とにかくまだまだ危機感がない。
 
 
上山信一
慶応大総合政策学部教授
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
 3,11以後の復興支援や原子力行政など危機に瀕した状況でも迅速にものが決まらない。超党派でやろうといっても党利党略に走る。結果的に大事なことがなかなか決まらない。さらにいえばTPPや普天間の問題も決まらない。
 3,11以後の復興支援や原子力行政など危機に瀕した状況でも迅速にものが決まらない。超党派でやろうといっても党利党略に走る。結果的に大事なことがなかなか決まらない。さらにいえばTPPや普天間の問題も決まらない。決まらない原因は単純ではないが現時点についていえば、衆参ねじれ、民主党の人材不足(閣僚に実務経験が少ない)、議員と党首の選挙が頻繁すぎるためすべてが目先の選挙対策になる(解散するしないも含めた攻略も含めて)こと等だろう。さらにいえば国会議員があまりに多すぎる。新人素人の議員がたくさんいてやる気があるのはいいが余計な仕事を産み出し、役所の負担が増す。そのため役所が機能障害を起こしている。
 
Q3. 制度・仕組み
要は人の問題、政党の能力の問題、さらに統治機構、制度の問題が複合的に作用している。
 高度成長期には利益を分配すればよかったし、政策も欧米追随でよかったから利害対立はあまりなかった。政治家は地元で集票活動にいそしみ、政策は官僚に任せていた。平和な分業状態。それが成熟時代になり利害対立が表面化した。そこで総理のリーダーシップ、国会の調整機能、党の利害調整機能への期待が高まるのだが、いずれも機能しなかった。総理の権限の弱さは明治憲法以来の制度的欠陥だし(憲法、内閣法)、国会は2院制のねじれを克服するすべをしらない。そして2大政党は名前だけで単なる寄せ集め集団にすぎず、党のガバナンスがきかない。
 
Q4. 回答する
要は全ての制度をシンプル化する必要がある。近道は国会も役所も仕事と権限を地方に譲り、自らをダウンサイジングすべきである。参議院は廃止、総理は公選制、憲法は過半数で改選できるように変えるべきだ。だが、それを決めるのも今の国会。世が世なればクーデターのような手段か恐慌でも起きない限りなにも変わらないだろう。唯一の期待は既存で無い政治勢力の進出である。だから大阪維新の会のような地域政党に期待をしたい。
 
 
山村武彦
防災システム研究所所長
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
1、衆・参議両院で与野党勢力逆転のねじれ状況であること。
2、党の要(幹事長)が首相と対立する立場のため、党内が一枚岩となっていないこと
3、敗北を恐れ解散できない弱い政権では、国民の信を問うことも局面打開もできないたこと
Q3. 制度・仕組み
 一国の政治は、国民とメディアの見識を映す鏡である。国民とメディアは表面的事象に対する評論はしても、根本的な政治制度や仕組みを議論してこなかったことが三流の政治を招いている。
 たとえば、小選挙区制では人物より党を選ぶことになり、党や党の権力者に媚び、忠実なものが当選しやすくなる。国民とメディアが政治家や政権の無能ぶりに気付き批判しても、不人気であればあるほど敗北を恐れ解散できないため、任期満了まで永く続けることになる。
 また、党内がまとまっていない首相ほど、世論調査や内閣支持率に一喜一憂せざるを得ず、結果として国家国民のための長期的政策遂行などできず、超ポピュリズムに流されてしまう。 
Q4. 回答する
政治制度と仕組みの抜本改定(案)
1、憲法改正し首相公選制とする
2、参議院廃止、一院制とする
3、中選挙区制とする
4、比例代表制を廃止する
 
 
江上剛
作家
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
日本の政治が決められないのは、何も今に始まったことではない。大正12年の関東大震災の後の復興計画を決める臨時議会でも山本権兵衛や後藤新平の震災内閣に対して、民政党ら政党は自分たちの選挙での利害を重視してなkなか復興計画を決めなかったし、決めたのも骨抜きだった。そうした状況を見た国民は軍部に大きく期待していくようになる。その軍部も戦争終結に際しては軍官僚は何も決められず、結局のところ天皇のご聖断を仰ぐことになった。何も決められない政治を繰り返していると、国民の苛立ちを背景にして滅びの道に突入していった過去の教訓がまったく生かされていないのが現在だ。
しかし、何も決められない中で、過去の政治家や軍部の記録を読んでいると、「陛下のご宸襟を悩ますな」だけは一致していたように思える。そこで彼らは決められない中でも決めようとするのだ。この思いをどう解釈するかは悩むところだが、これを大義と言えば、言えなくもない。過去の政治家、軍人もだらし無かったが、大義はあったと言えるだろう。その大義の下に一つになろうとは努力したのだ(結果はともあれ)
今の政治家には大義がない。まさか陛下というわけにはいかないが、国民のために何をなすべきかという大義を高らかに掲げ直すべきだ。
消費税を上げる、上げないが今や問題ではないく、何も決められないことが問題になるなど本末転倒もいいところだ。竹下内閣は消費税を決めた。小渕内閣は金融機関への公的資金注入を決めた。過去も大きな問題があったが、決めて来たのは、揉めても与党がまとまったからだ。野党との間にそれなりに政治が行われてきたからだ。今は与党が分裂し、野党との間にも政治が行われいない。だれもかれもがアマチュア過ぎるようだ。
大義を掲げて、与党がまずまとまるべきではないのか。そのためには野田首相と小沢氏は政治的に妥協を図るべきだろう。
Q3. 政治家
制度、仕組みが問題なのではない。民主主義には時間がかかる。政治家が政治家として機能していないのだろう。アマチュア過ぎるのではないか。
Q4. 回答する
今の状況が続くなら、再編しかないのではないか。
 
 
藤巻健史
株式会社 フジマキ・ジャパン代表取締役社長
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
資本主義国家では、政治家が決断できずにいると、市場が決断を迫る。たとえば財政赤字が巨大化すると長期金利が急騰して、政治家に「消費税を上げるのか上げないのか?」との決断を迫るのだ。決断しないと市場の反乱が起きる。しかし市場経済を否定しているこの国では市場が決断を迫って来ない。
ポピュリズム政治(衆愚政治)の蔓延で、政治家が国民の顔色ばかりみて「耳に心地よい」政策ばかりを行うから「国にとって真に必要な決断」が下せない。
通常ポピュリズム政治が蔓延すると市場が警告を与えてくれるが、この国は市場経済を否定しているから、市場が警告を与えてくれない。市場が警告を与えれば決断を迫られる。
たとえば、資本主義国家では「政治家がばらまきや財政出動をすると」資金需要で長期金利が上昇し政治家に「ばらまきを続ける」か「消費税を上げるか」の選択を迫る。市場が待ってくれずに反乱を起こすから政治家は早急に意思決定をせざるを得ない。しかし、日本の場合は長期金利が政府・日銀の介入によって長期金利が上がらない仕組みになっている。だから政治家に緊迫感がない、。そのうちに財政赤字がここまでたまってにっちもさっちもいかない状況になってしまった。
資本主義(=市場主義)の国では、政治家の判断に対して、市場が即座に通信簿をつける。市場原理が発達していないこの国にはその仕組みもないから政治家はノー天気となる。
Q3. 上記以外(選択肢以外の視点、考え方を含む)
日本が社会主義国家だから。すなわち市場というチェック機能が働いていないから。
また政治家も選挙に敗れると仕事がなくなる(資本主義国家では、労働市場が発達しているから選挙で敗れた政治家もすぐ次の仕事を見つけられる)ので、ポピュリズム政治にならざるを得ない。
Q4. 回答する
①日本を真の資本主義国家にすること。
②専門家が大臣になうような仕組み、国民の要望の盛り上がり。
ゴールドマンサックスの経営者で金融に最も通じたルービンやポールソン、ハーバードの教授だったサマーズ、財務官僚だったガイトナーが財務長官になる米国に対し、大臣になってからはじめて大学の経済の教科書を読んだり、日経新聞を読み始める人が財務大臣になる日本、リーダーシップや決断力の差ができても当たり前だ。ばりバリの文化系である私が脳外科手術の執刀指揮を執るようなものだ。誰か私の執刀指揮のもとで脳手術を受けたい人、いますか?
③年金問題等、将来の世代を担う人たちの利害が一番大きい問題を、高年齢層が決めている。
(現在の社会福祉は将来の世代の負担(大幅借金)のもとに現役世代が利益を享受している)
世代間の一票の差の是正が必要。超過激な意見としてはⅰ)18歳以下に選挙権がないのと同様80歳以上の選挙権をなくす。またはⅱ)子供の親権者に子供の数だけ投票権を付与する。
 
 
本田宏
医療制度研究会副理事長
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
 明治の渋沢栄一が指摘した官尊民卑と論語と算盤不足の官僚•経済界主導政治の日本。官僚主導打破を訴える政治家は検察が証拠捏造で政治の表舞台から葬りさられ、格差拡大自殺大国なのに消費税増税が最優先。メディアも官僚主導(各省庁記者クラブ)情報を発信。歪められた情報で政治が行われる限り政治の迷走は続く。
 明治の渋沢栄一が指摘したように「官尊民卑」による官僚主導政治と「論語と算盤」不足の財界の意向を最優先に日本の政治が行われている。今も「官僚主導打破」を訴えた政治家が官の一部である検察の証拠捏造によって政治の表舞台から葬りさられようとしており、格差拡大自殺大国社会なのに消費税増税•TPPの強行導入模索が行われている。
 そして残念ながらメディアも戦前戦中と同様、官僚主導(各省記者クラブ制度がその証拠)の情報をそのまま発信する存在となっている。
 日本の政治が戦前戦中と同様、歪曲された情報に基づいて行われている限り、いつまでも決められない決まらない政治は迷走を続けるだろう。
Q3. 上記の複数の要因(選択肢) 
 一番は政治家が互いの主義主張や政治の主導権あるいは利権の獲得にこだわって、官僚や経済界主導によるクリプトクラシー(盗賊政治)から脱却できないこと。もちろんお上の情報をそのまま報道するメディア、そしてそれを鵜呑みにしてきた国民の責任も重い。
Q4. 回答する
 民主政治は一部の高級官僚や財界のためばかりでなく、本来は一般の国民を第一に考えて行われるべき。日本の現在の政治システム上、官僚や経済界主導の政治体制を変えることは政治家にしかできない。その社会的責任を冷徹に認識すべき。
 さらに国民も日本が明治以来かかえた問題点から目をそむけず報道を鵜呑みにせず、官尊民卑と経済最優先の政治を変えることができる、高い理想と気概のある政治家を選択することが必要最低条件となる。
 
 
松田哲
松田トラスト&インベストメント株式会社 代表取締役
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
強いリーダーは、現在の日本の政治の世界にいない。
しかし、個人的には、強い、決断力のある政治家を渇望する一方で、
独裁的になることを忌避しています。

矛盾しているのですが、
『政治家に限らず、どの分野であれ、
正しい方向を示すことができる人間が、果たしているのだろうか?』
と、恐れているのだろう、と考えます。

「和をもって貴しとなす」を大義とする日本人気質が、
現在の政治にも表れているのだろう、と考えます。

日本政治停滞の現状は、外交で、日本が不利になることを意味します。
それは、説明不要だと考えます。
国民の生活にも、閉塞感を与え、困ったものだ、と思いますが、
そういった政治家を選出しているのは国民なのだから、仕方がないのかな・・・、
などとも考えます。
Q3. 国民
独裁や軍事政権でない場合、
国民のレベルに応じた政治家が選出されている、と考えます。

国民のレベルを上げるしか、解決への道は無いのだろう、と考えています。
Q4. 回答を控える
 
 
飯田泰之
明治大学政治経済学部准教授
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
参議院の力が強すぎる
参議院の力が強すぎる.
拒否権プレイヤーが多くなればなるほど何も決まらない.
Q3. 制度・仕組み
今年は衆院選をやってはいけない.
来年の衆参同日選をもって日本の政治システムの抜本的改革を行う必要がある.
憲法の改正によって,
・予算採決・法案審議における衆議院の優位の明確化
・条約・外交協定における参議院の優位の明確化
を行いたい.システムの問題が改善されれば十分に日本の政治は「決める」ことができるようになるはずだ.
Q4. 回答を控える
 
 
岸本裕紀子
エッセイスト,政治コラムニスト
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
野田政権は、これまでの民主党政権に比べて、かつての自民党政権のような、自由競争に基づく産業力の強化に重きを置いているように見えます。しかし、東日本大震災の被災者救済・復興問題もあり、日本が今後どのような道を行くべきかについての方向性やグランドデザインについて、いまひとつはっきりさせていない。当然、それに沿った一貫した政策が立てにくくなっているように感じられます。
「政策が政局になってしまっている」ことも、今の決められない政治の要因ですね。
政局にしないためには、リーダーの政策に賭ける熱意を説明・説得していくことしかないように思います。
政治生命を賭けるといった消費税問題も、子供たち世代に重い負担を残してはならない、という当たり前のことしか言っていませんし、もっと正面切って、消費税導入理由を、あらゆる角度から何度も打ち出せばいいのです。総理は衝突を避けるタイプかもしれませんが、ぶつかったほうが国民にわかることもあるし、支持にもつながるように思います。
もう一つは、政治家のあり方です。国会議員は、本来なら、何より国の進むべき方向について考え、次いで、自分の政治信念にそった所属政党の利益に沿うように行動し、最後が自分のはずです。それが、与党議員も野党議員も、まったく逆の優先順位になってしまっています。自分が次の選挙で当選することが何より優先され、そのために有利な政党やグループに寄り添い、有利な政策を支持する。国がこれからどうあるべきということは、最後どころか、どうでもいいことのように感じられるほどです。自分の当選のための政策ですから、きちんと説明できない。それで、同じことを何度も繰り返す、次元の低い政治になってしまっているように思います。
Q3. 政治家
前にも書きましたが、国会議員は本来、何より国の進むべき道を考え、それに沿う政策を打ち出す政党に所属し、政党の利益を考え、最後が自分のはずです。
が、現実にはその順序がまったく逆になってしまっています。自分が次の選挙で当選することが何より優先され、そのために有利な政党、政策に寄り添う。国がどうあるべきなどということは、政治家にとってどうでもいいことのようにも感じられるほどです。
そこに、政権支持率や政党への支持率が絡んでくる。当然、国民に人気のある政策寄りになっていく。
政治信念がないわけですから、国会で意味ある議論などできず、それを経てきちんと法案の形で成立させることなどできないのではないでしょうか。
Q4. 回答する
今は決められない政治、ではありますが、スピーディに決めることだけがいいとは思っていません。政局がらみの無用で低レベルの言い合いはやめてほしいですが、きちんと国会で意味ある議論がなされていれば、法案成立のスピードが鈍ってもいいと思います。むしろ、国民の知らないところで、どんどん法案が通ってしまうことにも不安はあります。
本当なら政治家が、選挙オンリーの思考から脱してほしいですが、それは難しいかもしれないので、政局重視の環境を変えるという意味で、二つ提案したいと思います。
一つ目は、支持率など世論調査の間隔をもう少し空けること、また、調査項目をもっと意味のある質問にすることです。二つ目は、マスコミが、政局ばかりを報道しないことでしょうか。
 
 
浜辺陽一郎
青山学院大学大学院法務研究科(法科大学院) 教授,弁護士
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
成立した法律の数だけではなく、その内容も既得権を擁護するだけの改革後退の印象が強い。
特に民主党政権になってから、ひどい状況になっている。
成立した法律の数だけではなく、その内容も、自民党時代より後退した感じ。
国民が期待していた改革は完全に裏切られ、既得権益を擁護するだけ、利益団体のいいなりの政策決定が目立つ。財務省に取り込まれた消費税増税の報道が多くて国民の注目を集めているが、細かいものも傾向はだいたい同じ。たとえば、会社法のガバナンス改革とか、法曹養成問題なども。
恐らく取り巻きの人たちに説得されたら、もう何も抵抗できないまま、操られる一方なのだろう。
Q3. 政治家
政治主導といって、政権をとったのに、これだけのことしかやれていないわけなので、言っていたことと違うことをやったのは、政治家だろう。

野田氏が「マニフェストに書いてないことはやらないんです」というビデオが流れていたが、あのビデオと違うことをやっている今の姿が、それを象徴的に表している。

あとの周囲の人たちには、それなりの事情があるわけで、少なくとも積極的に違うことをしたわけではない。いろいろと問題はあるが。

もちろん、その他の様々な複合的な要因がからんでいるけれども、最大の原因を一つに絞るとすれば、政治家の責任が重いことを自覚してもらう必要があるし、きちんとした政治家を選んでいく必要がある。
Q4. 回答する
政界再編をして、決められる政治家がリーダーシップをとって、現状を打破していくようにもっていくしかない。
 
 
山田昌弘
中央大学教授
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
政治家の官僚依存、官僚は反対が少しでもあれば新しいことは始めないから
政治家の官僚依存が続いている。
私は、審議会委員などを自民党政権時代から引き受けているが、小泉政権時代の一時期を除いて、
「一部でも反対があれば、前に進めない」
ということをいやというほど思い知らされた。
それは、政治家が自ら責任を取ること、つまり、文句を言われることを恐れているから。
官僚は、大野党を含め根回しをして、反対が少しでもあれば、新しいことを始めない(政権が変わるかもしれないから)。それは、官僚として当然のこと。
つまり、党内外の反対を押し切って進めるという「意志」が、政治家になければ、政策は進まない。
それがあったのは、政策の中身の是非はあるが、小泉政権時代だけである。
Q3. 政治家
自分や自分の仲間が落選しても、この政策だけは国のために必要だから実行するという意志がない。
つまり、自分や自分の党を犠牲にしてでも、国のために尽くすという自己犠牲精神がない。
だから、文句を言われるとすぐ政策を修正したり、元に戻したりする。
Q4. 回答を控える
 
 
夏野剛
慶応義塾大学特別招聘教授
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
経済成長が停滞する中、限られた予算と資源を何に配分するかということについて、割り切りと決断をしなければいけない時代になった。しかしながら、小選挙区制や、政党助成金による政党重視のシステムは、意志のある強いリーダーシップよりも、皆にいい顔をする利害調整型リーダーが選ばれやすい状況を産んでしまった。ITや自然環境の変化によって社会の変化が加速する中、政治システムが明らかに変化に対応し切れていない。
Q3. 制度・仕組み
個々の政治家は会って話しをしてみると、優秀で問題意識もあり、将来を憂えている人が多い。しかしシステムとしての政党の党首や首相、大臣などの役職に着くと、思い切ったことができない。選挙のことを考えると、大きな変化を要求する策を取れば敵を作り職を失う可能性がある。つまり現状打破のための思い切った行動をするインセンティブがない。制度疲労あるいはシステムが回っていないということであろう。
Q4. 回答する
リーダーシップの強いリーダーを選定し、澱のように溜まった過去のしがらみ、弊害を徹底的に取り除くことにつきる。橋下さんでもいいし、他の人でもいい。国の将来のために我が身を捨てられる覚悟のある人が事故犠牲でシステムを変更していくしか道はない。
 
 
中野晃一
上智大学教授
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
「ねじれ国会」の問題は、「コンセンサス型」と「対決型」が未整理のまま混在していて、現在の日本の政治の制度的要件に適合した新たな政治慣行・文化が生まれていないことに起因していると考えられます。
そもそも日本の憲法体制は、強い二院制をはじめとして多数政党制の下で調整や妥協をベースに合意形成を行う「コンセンサス型」を志向しています。しかしながら、1993年からの政治改革では小選挙区制の導入と二大政党制の形成などが推し進められ、ウェストミンスター流の「対決型」原理が追求されることになりました。

その矛盾の表出がいわゆる「ねじれ国会」ですが、ちなみに初めて与党・自民党が参議院で過半数を確保できなかった1989年の段階ではまだ「対決型」の政党政治となっていなかったため、全体として「コンセンサス型」政治が一応機能しており、こんにちのような「決められない」状況には至っていませんでした。

言い換えれば「ねじれ国会」の問題は、「コンセンサス型」と「対決型」が未整理のまま混在していて、現在の日本の政治の制度的要件に適合した新たな政治慣行・文化が生まれていないことに起因していると考えられます。
Q3. 上記の複数の要因(選択肢) 
「コンセンサス型」を指し示す強い参議院と「対決型」を志向する衆議院での二大政党制化傾向という相反する制度構造的条件を踏まえて、いったいどのような新しい政治慣行・文化を構築する必要があるのか、きちんと分析することが重要であると考えます。

政治家、メディア、そして国民にしてもこのことについて必ずしも正確に理解していないことに混乱の最大の原因があると思います。そしてその責めの一端は(私も含めた)政治学者が負わなくてはならないように思います。
Q4. 回答する
日本の政治を取り巻く制度的要件のなかの「対決型」的要素と「コンセンサス型」的要素をふまえ、両者の間の現実的なバランスを見出し、それに見合った政治慣行・文化を形成していくことが建設的だと思います。

「対決型」政治システムに見られる「Winner takes all」というような発想は、強い参議院の存在からして断念するほかないと考えられます。と同時に、このことは参議院側でも「対決型」ではなく「コンセンサス型」のロジックに従った行動を尊重することが要請されることを意味します。簡単に言ってしまえば、衆議院の過半数議席を確保した政権与党側は野党との妥協を前提に法案審議に臨むことが求められる一方で、参議院の過半数議席を政権与党側が獲得することを阻んだ野党側でも参議院の権限を「対決型」ロジックで濫用することは慎むことが不可欠です。コンセンサスは与野党の双方が歩み寄ることによってのみ可能となるからです。

いかなる憲法制度の下でもそれを補う政治慣行・文化は不可欠です。
現に「解散権は首相の専権事項」という言説が与野党を問わず広く日本では流布していますが、そのことを直接指し示すような憲法の条文は存在せず、この共通理解は明らかに政治慣行・文化として受け入れられているに過ぎません。

同じように、衆参ねじれ状況が頻発する可能性(と現実)を前提に、新たな政治慣行・文化を築いていく政治的成熟が求められていると考えます。具体的には、参議院の問責決議案(これ自体が政治慣行・文化に過ぎません)による閣僚辞任要求と国会審議のボイコットを止めること、憲法が予算について衆議院の優越を明示的に認めていることを受けて予算関連法案についても参議院は衆議院の優越を認めること、などを考えることが必要でしょう。
 
 
有馬晴海
政治評論家
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
成案率が低くても、どうにかという行動が見受けられない。
ある民主党議員は、成るようになる、そのうち自民党が折れてくるとのんきなことを言ってます。
輿石幹事長も、そういう考えの持ち主です。
一度の幹事長会議で、一つしか決められない稚拙さも今更どうしようもない。

自民党時代は、与党としての責任感やプライドで、業界からの求めで、
年間約100本の法案のほとんどを成立させる努力をした。
Q3. 政治家
選挙制度、二大政党化で意見を二つに集約できない。
自民党時代は、多くの様々な意見があったが、
それを最後は一つにまとめた。
どんなことになっても政権が動かないと思ったから。
政権交代の可能性があると、国民の目が気になりリップサービスを主張するグループが半分の勢力になる。

求める国民もよくない。メディアの報道も政治家批判が強過ぎで世論形成をしている。

方針の違わない二大政党間の政権争いも、マニフェストもインチキ。
でも、最後は政治家がえりを正して「将来の国家」「どういう国にすべきか」
という理念を持っていれば、そういう議論を尽くせば、少子高齢化、財源不足、資源不足の国がどうあらねばならないかは、自ずとわかるのではないか。
Q4. 回答する
「衆参ねじれ」が起こる政治状況を考えれば、党議拘束を辞める工夫をする。
政党交付金をやめ、個人交付金に変え、党に所属したい場合は党に上納する、皆で持ち寄って党をつくる。
消費増税は、今採決すれば法案は通るだろう。
そして中身の議論二時間をとる。
小沢グループが造反しても除名しない。
有権者の代表としてそう考えた結果ということだ。
ただし、それが次の選挙の投票行動の要因になる。
全ての法案についてどういう投票をしたかで次の選挙で審判を仰ぐ。
政党政治家ら個人商店の政治に。全ては政治家個人の責任に。
そうすれば勉強もするし、有権者に訴えかける戸を遣り始める。

今は党の責任にして、自分は責任逃れでうまく選挙に当選しようと考えている政治家をつくりがちだ。

いろいろな考え、アイデアを持った国民から選ばれた議員が、国会に集まって小国の方針を決めることが政治の原点。
それを一部の権力者が自分の良かれと思う方向に強引に持って行こうとするからおかしくなっている。
 
 
沈才彬
多摩大学大学院フェロー(中国ビジネス研究所代表)
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
2つの問題があると思います。

1つは日本政治家の資質の問題。2つ目は民主主義制度上の問題。

1)に関して、日本の政治家は弁護士や社会活動家出身の人たちおよび世襲議員が多く、地方トップ経験者が少ない。法律に詳しいことは長所だが、空論が好きで、実際の経済がわかる人材が乏しく、組織マネジメント能力も欠如している。リーダーシップもリアリズムも欠如している。その典型は日本の総理大臣だ。ここ数年、1年に1人の総理大臣を量産体制で輩出するが、残念ながら決断できる名宰相が一人もいない。

2)関して、民主主義は確かに良い制度だが、老朽化の問題に直面しており、コストもかかり過ぎる。良い制度は常に外部から栄養分を取り、絶えずに自己改善しなければならない。残念ながら、今の日本政治はそういう努力が見られない。
Q3. 上記の複数の要因(選択肢) 
政治家個人の資質は確かに落ちているが、民主主義制度自体も老朽化している。総合的な改革をしない限り、日本の政治はあまり期待できない。
Q4. 回答を控える
 
 
長田渚左
スポーツジャーナリスト
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
50年後、100年先の未来のために、モノゴトに対応する姿勢が乏しい。
50年後、100年先の未来のために、モノゴトに対応する姿勢が乏しい。プライオリティーが分かっていない。政治のための政治、あるいは会議のための会議になり過ぎている。
Q3. 上記の複数の要因(選択肢) 
(2)政治と(5)制度・仕組みの要因であると考えます。
Q4. 回答する
人の生活、人の幸福、日本の国は、こうありたいと思う理念を確認して事を決めてゆく、理想とする柱を共有し、末梢的ことにイチイチ揺れない。
 
 
森信茂樹
中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
政治的駆け引きによる究極のチキンゲームに明け暮れ、国民生活に重要な法案審議はなされていない。
現実に法案が国会で十分審議されていない。マイナンバー法など、極めて重要な法律が、国会に提出されているものの、問責などの政治的な駆け引きにより何ら審議が始まらない状況にある。
Q3. 政治家
決められない原因は、一見、ねじれ国会にある、つまり制度的側面とする論調が多いが、本当にそうだろうか。これまで国会がねじれていたことはたびたびあったが、それなりに機能してきた(例えば89年の参議院選挙後)。こう考えると、問題は、今の政治家の資質の問題ではないか。

そもそもわが国には、米国のような、人種や宗教の対立があるわけではないので、民主党と自民党との間に深刻な考え方の相違があるわけではない。したがって合意形成のできる分野は、多いはずだ。それがそうなっていない原因は、今の政治家の資質に求めざるを得ない。
Q4. 回答する
 今の政治家には、政治というものは決定していくことだ、という認識が少ない。政治家の鍛錬の場や養成プロセスがないので、理念ばかり先行して、「合意形成に向けて汗をかく」と言ったタイプの政治家は本当に少ない。
 党に、皆がこの人は、と思う人をリーダーに選出していくような場を作ることを考えてはどうか。
かつての自民党の派閥を抜本的に改組した人材養成システムの構築、その中でリーダーを見極めていくプロセスの構築など。 
 
 
鈴木豊
青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科教授・公認会計士
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
政権与党は、国民のための政治であることを心から理解・認識しているとは、思えない。理由は、所属議員の言動に信頼性が見いだせない。また野党も、国民のための言動をとっているとは思えない。
1.政権与党は、国民のための政治であることを心から理解・認識しているとは、思えない。理由は、所属議員の言動に信頼性が見いだせない。
2.野党も国民のための言動をとっているとは思えない。
3.与党・野党とも大半は、議員自ら・所属派閥から・所属政党からの利害から政治活動を行っており、国民のための政治に専心しているようには見えないからである。
4.そのようになっている根源は多様であるが、一つには政治家としての職業的専門性と倫理性に欠陥があるからである。
Q3. 政治家
1.原因は国民にもメディアにも行政府にもあるが、もっとも問題なのは政治家としての素養・専門性・適格性に欠陥があるからである。
2.政党候補者として国民のためになるという観点で政治家候補選定しているようには見えない。目立つ存在を重視し過ぎているからである。
3.真に国民の心情・目線を本当に持っている者を候補者にすべきである。
Q4. 回答する
1.中長期的には専門的政治家を育てなければならない。
2.国民も目先の利害にとらわれないで政治家を選出すべきである。
3.議員も公務員も物事を長期的に国民の立ち位置で考えて行動をとるべきである。
 
 
中津孝司
大阪商業大学総合経営学部教授,国際問題評論家
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
日本の政界に足りないのはリーダーの不在とコミュニケーションの欠如。これは組織として機能していないことを意味する。機能しない組織に意思決定能力はない。
リーダーの不在が最大の原因だろう。問題はリーダーがその権限で指導力を発揮するか、あるいは責任で指導力を発揮するか、にある。ここ最近の首相は権限を基準として問題を処理してきたのではないか。ゆえに意思決定が遅れてきたのではないか。重要なのは権限ではなく、責任感である。首相が首相としての責任感を十二分に有していれば、その首相生命をかけて意思決定できるはずである。また、日本の政界の場合、リーダーとしての資質を備えた人物の層が薄いように思う。リーダーは首相だけではない。ありとあらゆる組織にリーダーが必要である。同時に、同じ組織内部でもリーダーは複数いなければならない。リーダーが中核となって組織をまとめ、リーダー同士の意思疎通を図れば、意思決定能力が強化され、その速度も速まる。リーダーの不在とコミュニケーションの欠如が今の日本の政治を機能不全に陥らせている。
Q3. 政治家
政治家が目先の戦術ばかりに振り回されて、世界の中の誇り高い日本のプレゼンスを意識していないところに大きな問題がある。政治家に哲学がないからだろう。軽量級の政治家ではなく、戦略家としての政治家が希求されているのではないか。
Q4. 回答する
リーダーとしての資質に乏しい政治家は今すぐに退場すべきだろう。自己顕示欲を前面に押し出す政治家ではなく、世界の中の日本の青写真を描ける政治家のみにまずは絞り込むことである。この際、既存の政党をすべて廃棄処分してはどうか。そのうえで、新たな政治家集団を構築すればよい。現状では同じ状況が継続するばかりだろう。既存の各政党は既に賞味期限が切れている。
 
 
武貞秀士
拓殖大学大学院特任教授
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
国会の会期末まで数週間しか残っていないのに、消費税増税法案が与野間で協議は行われないまま、膠着状態というのは異常な状態だ。野田政権が今国会に成立させた法案は、81本中20本(5月25日現在)であり、これまでの通常国会での法案成立率と比較して約半分というのも、異様な状態だ。立法府の機能が大幅に低下しているということであり、日本の政治が決められない状況であることを認めざるをえない。

 他の分野では、日本人がどんどん「決めている」ので、政治の世界で「決められない」ことが際立っている。例えば、女子サッカー日本代表の沢選手が、ワールドカップ決勝戦で、絶妙の「かかとシュート」で起死回生の同点ゴールを決めた。欧米の音楽コンクールで、続々と日本の若手演奏家が入賞を決めている。ダルビッシュ投手やドルトムントの香川選手は決めるときに決めている。日本人だから決められないということではない。

日本の政治は長期的な視点で国家発展の構想を練り、政策にして実行に移すことが難しくなっているのではないか。5月23日のワシントン・ポスト紙が、「日本の決められない政治」という特集を組んだそうだが、日本の政治が決められない状態を、自分にとっての「好機」と考えている国々があり、皮肉を言うだけの論者が世界にいることも心配だ。何が問題なのか。具体的に指摘しよう。

・第一に、重要法案が決まらない。現在の消費税増税法案が通過しないから、「決められない日本」ということではない。消費税増税法案を含めて、国家財政の再建に向けて、国会議員が切磋琢磨して案を作り、国民全体が納得するような再建策を提示するという状態になっていない。

・第二に、あらゆる問題について、与野党議員が歴史の教訓に学び、国際社会の動向に注意を払い、国益を語り、そして、法案の長所、短所を議論するという内容になっていない。例えば、各国との自由貿易協定の問題にしても、5月、日中韓の自由貿易協定の交渉を年内に開始することが発表された。日本は交渉を進めたいのだが、韓国は中国と韓国の二国間の自由貿易協定の交渉を優先する方針であり、日韓の間に方針の違いがある。米国が主導するTPP(Trans-Pacific
Partnership)への加入との兼ね合いをどうするのか。韓国は二国間の自由貿易協定を推進してきたが、10年以上かけて韓国内の農業、畜産業の体質改善を図ってきたあと、二国間の自由貿易協定推進策を進めている。日本の場合は国内対策が遅れている。その他、外交課題についての議論は活発とはいえない。次期主力戦闘機の導入が遅れるとき、日本の防衛にどう影響するのかという議論もない。国家の安全保障や国際政治の視点に立つ議論が少ないだけでなく、「国内政治問題」というよりも、「国内政治家問題」の議論が多いのではないか。

・第三に、対外発信力が不足している。外国から日本を観察していると、政治の世界が国際社会をどのように見ていて、国益をどのように考えていて、対外的にどう発信しようとしているのかが、明瞭ではない。3月、韓国のソウルで第2回・核セキュリティーサミットが開催された。日本の首相が国内政治日程の関係で、参加するかどうか、会議直前まで決まらず、首相はようやく参加したが、個別の首脳会談ができなかった。各国の元首がすでに首脳会談の日程を組んだあとで、首脳外交を展開する機会を日本は失ってしまったのである。韓国で「ソウルでは主要国の中で首脳会談をしない国家が一つだけあった。日本だ」とまで報道された。各国の首脳が、東京から2時間のところに集まり、核テロ防止の首脳会議を行なうときである。北朝鮮が人工衛星を発射すると予告していた4月の直前である。国会が「外交の絶好の機会を活用してください」と首相を送りだすことができなかったということでもある。6月、シンガポールで、アジア安全保障会議が開催される。バネッタ米国防長官が参加し、韓国、豪州の国防相らも出席する。北朝鮮の核問題、弾道ミサイル脅威への対処、在日米軍再編計画の見直しに関する日米合意の確認、在沖縄海兵隊のグアム移転、沖縄の基地負担の軽減などについて、日本の防衛大臣が米国防長官と話し合える機会である。日韓の防衛・国防大臣の間で、日本と韓国の安全を脅かす事態に効果的に対処するための安全保障協力を話し合う良い機会でもある。各国の国防大臣が集まるときに、日本の防衛大臣が出張できないのは。もったいない話である。このように、日本が対外的に重要なことを発信する機会を逃しているケースが増えている。
Q3. 政治家
内閣が1つでもミスを犯すと、国民の政治不信が強まり、内閣と政党への支持率が下がる。「信頼できる政治家だから、少しくらいミスがあっても、しばらく様子を見るべき」という意見がでてこない。「また、首相交代だ」と世論も思うほど、政治家の地位が軽くなってしまった。もちろん、政治家だけの責任にすることはできない。少しのミスで支持を撤回する国民の意識、批判するマスコミ、簡単に首相交代を可能にする日本の政治制度のすべてに原因があり複合的なものだ。強いて言えば、政治の世界から大胆に改革を提示して、引っ張ってゆくしかない。
首相の支持率が人気投票のようになっているが、首相の実績を公約との関連で評価すべきだ。内閣支持率を気にしながら選挙後の議席の増減を心配する必要がない政治を実現すべきだ。政策を議論する雰囲気を醸成することができるのは、やはり政治家だろう。
Q4. 回答する
「決められない」政治から脱却するためには、「決めることができる」政治を遂行するように、首相の権限を強化する。権限を強化するときには民主主義の観点からチェック機能を持つシステム導入も重要だろう。決まらないことを決めるには、決断力、構想力のある首相が指導力を発揮して決める以外にない。そのためにも、ある程度の首相在任期間が必要になる。そのためには、3つのことが必要であろう。

・第一に、最低5年間は、首相が首相の職をつとめることができるように、首相公選制にする。総選挙を気にしながら、首相が政策を実行するということは終わりにする。大統領制に近い首相公選制である。首相公選制ではないが、米国、韓国は大統領を直接選ぶ。フランスの共和制も直接選んだ大統領の権限は大きい。台湾は、直接、国民が総統を選ぶ。日本が首相公選制をできないことはない。もちろん、そのためには、憲法改正が必要になる。首相公選制にはマイナス面があって、「議会の多数派と首相の所属政党が異なる場合、何もきまらない」という指摘がある。しかし、議院内閣制で「決めることができない」状態が続いているのだから、首相公選制だと何も決まらないという批判はあたらない

・第二に、公選制の下では首相を選ぶプロセスを透明にして、首相選出に時間をかける。首相は日本の国益を考え、近隣諸国への思いやりを持ち、自衛隊の最高指揮監督権を持つのにふさわしい指導力と決断力と愛国心を持った人でなければならない。自衛隊の最高指揮監督権を持つ自覚を持つ人が首相になる。危機管理能力も重要だ。原発事故のような究極の事態、危機的な状態に直面したとき、何をすべきかを自分の責任で決定することができる人かどうかを確かめる。できない場合は、選挙期間中に露呈する。政治家も選挙活動の過程で勉強をする。首相の資質があるかどうかを国民が判断して、直接選ぶのであるから、首相を選出する選挙準備には最低1年間を費やす必要がある。国民は候補者の討論を1年間の議論をじっくりと観察する。1年間を費やして首相立候補者の討論を行うために、テレビを活用する。これは、米国、韓国の大統領制のもとで普通に実施していることだ。国民の厳しい審判の目に対して耐えうる人のみが、最後の国民による投票の日まで残ることができる。このプロセスを経ることで国民の政治意識が高まる。人気投票を期待して出馬する人は、1年間の政策論議に耐えられないだろう。

・第三に、そのようにして選ばれた首相は、強い権限を行使することができるように制度、法律を改正する。国会議員の任期を4年とする場合、首相の任期は5年が理想である。4年を任期とした場合であっても、さらに4年をつとめるようにする。8年間を最大の任期とする。4年間では、国家の大事な政策を決めて実行をするには、短すぎる。日中韓のFTAを進めるにしても、研究の終了を待って、政策を検討して結論を出して、それから各国と交渉を開始するまでに二年以上かかっている。一、二年以内に日本の首相は交代すると見ている外国は、日本との真剣な議論を控えるかもしれない。戦後の歴代の首相で大きな仕事をした人は、岸信介首相を別とすれば、全員が4年以上にわたって首相の座で仕事をしている。吉田茂(首相在位2616日)、池田勇人(1575日)、佐藤栄作(2798日)、中曽根康弘(1806日)、小泉純一郎(1980日)である。現在の状態では首相の任期が短いために、任期の長い国家元首の国との交渉をするときには、明らかに不利である。任期が5年(韓国の歴代大統領)、4年か8年(米国)、5年(中国の国家主席)、任期6年だが再任可能(ロシアの大統領)に対して、日本の国益を堂々と主張して外交を展開することができなくなる。
 
 首相になった人は、国民に政見を問うて、国民の支持を得たのだから、政権交代に際して政策を実行するためのマシーンとしての官僚組織を大幅に入れ換える。5年間、政策を実行するために、新しい政治チームを引率して首相の仕事をする。米国、韓国では数多くの官僚ポストが、政権交代とともに入れ代わる。これにより政権と官僚組織の軋轢はなくなる。公選制で5年間の首相の座が保障されるので、支持率を気にしながら総選挙の可能性を考慮しながら政治をすることは不要になる。

 首相公選制にすると、政治家が常に大衆のム-ドを気にすることになるという批判がでてくる。「ポピュリズムに陥る」という指摘である。現在の議院内閣制の下で、内閣支持率に政治が左右され、総選挙実施の恐怖の前に与党が縛られたまま、国益を踏まえた議論が影をひそめた状態は、すでにポピュリズム状態である。議院内閣制でポピュリズム的になってしまったのであるから、首相公選制でポピュリズムに陥ってしまうという批判はあたらない。
首相の出身母体である政党が国会の与党ではない場合どうなるか。何も決まらない政治になるのではないか。その通りである。このような「ねじれ現象」が起きたとき、政局は延々と膠着状態になる。いまの韓国は「ねじれ現象」の状態であるが、大統領の権限があまりにも強大であるので、外交、国防、同盟強化、対外発信、国際的舞台でのパーフォーマンスなどを、政権末期であっても無事にこなしている。したがって、首相公選制導入のあとは、いかに首相の権限を強化するかが鍵となる。首相公選制にしたあと、5年に一度しか首相が交代しないのであるから、首相はその地位にふさわしい人がならないと困ったことになる。国民の意識から乖離した政策をとり続ける人が首相の座にとどまるとき、どうすればよいか。リコールという制度も検討の余地がある。

 首相公選制は、資質に欠けた人を首相に選んでしまう可能性があるという批判があろう。しかし、議院内閣制であれば、もっとも首相にふさわしい人が首相になる可能性が高いのだろうか。国民の政治意識が低いので、首相公選制は危険だという議論は正しくない。日本国民の政治意識は実は低くない。例えば、裁判に直接一般の市民が関わる裁判員制度を導入したあと、国民意識は大きく変化してきた。自分の判断が人の生命を左右するという場合、裁判員に指名された一般市民人は、個人個人のレベルで的確な判断を下せるように、真剣に相反する者同士の主張に耳を傾け、感情を排して、悩みながら社会正義を考え結論を出してきた。政治の世界でも個人の投じる一票により首相を選出することになれば、国民は真剣に政治を考えて、国家の将来像を議論し、その職務に耐えうる人を選定するようになるだろう。「くろうと」であっても「しろうと」であっても、常識は一つしかないのだから。
 米国の大統領制はうまく機能している。議会の多数派を占める政党と大統領の出身の政党が異なる場合、大統領と議会の関係は、対立含みであるが、そこは民主主義の国家であり、大統領と議会が延々と対立したままにならないように、双方が議論して妥協点を見いだすプロセスが準備されている。双方が妥協点を見いだすための知恵を200年にわたって身につけてきたのが米国の歴史であったから、果たしてそれを日本ができるのかという指摘もあるだろう。国益と国家の将来像と歴史を踏まえて、対立する者同士で妥協点を見いだす能力を持った人たちを、首相と国会議員に選ぶ叡知を有権者が持つ必要があることは言うまでもない。最近、報道番組が多様化しており、スタジオへの視聴者からの質問、コメントを受け付ける報道番組が増えているが、そのいくつかに出演しながら思うことは、一般国民の判断力の的確さである。素朴な疑問の中に鋭い指摘や成熟した判断力を示すものが多い。
そして、長期的には国家的規模で構想し企画して実行できる資質のある政治家を輩出して、その政治家が首相の座を目指して国民の前で持論を展開するような国にするためには、人材育成のための教育改革も必要だろう。人材がないところで制度を改革しても、社会は改善できない。危機管理をするという事態に直面したとき、危機を切り抜ける能力を持った人が国家の最高責任者になるべきであるし、その傍らで補佐をする人々も同じ資質が求められる。そのような人材をたくさん育成して、国家を建て直すには、5年、10年では難しい。国際社会への関心を持ち、隣人と痛みを分かち合い、天下国家を論じる人材を育てることができるのは子供のときからの教育であろう。政治家を養成する機関での研修では遅すぎる。将来、国家を指導してゆく人材を育成するには50年はかかる。ここまで考えてきて、絶望的になってきたので、この文章はここで終えることにしたい。
 
 
熊谷亮丸
大和総研チーフエコノミスト
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
現実問題として「問題先送り」の連続で、「決められない」状況が続いている。
Q3. 上記の複数の要因(選択肢) 
様々な要因が複合的に作用している。

残念ながら、「国民」の民度には改善の余地がある。「朝三暮四」ではないが、ムードに流されやすく、中長期的な視点から論理的に物事を判断す
ることが得意ではない。

「政治家」は保身や出世が自己目的化しており、その結果としてポピュリズムが横行している。世論調査の通りに行動するのなら政治家はいらな
い。国民に将来ビジョンを提示し、説得した上で導いて行くのが、真のリーダーの使命である。

「メディア」は近視眼的で「あげ足とり」の様な報道が目立つ。

「制度・仕組み」という面では、①小選挙区制がポピュリズムを助長している、②参議院の権限が強すぎる、といった問題がある。
Q4. 回答する
政治家は国民の民度を映す「鏡」なので、一義的には、教育改革などを通じて「民度」を向上させるしかない。毎年交替する様な首相を選び続けてきたのは、我々国民であることを大いに反省すべきだ。

制度面では、①中選挙区制の復活、②衆参両院の権限を再考すること、などが課題になるだろう。一度民意を得た政権が、少なくとも4年間程度は腰を据えて政策を実行できる環境を整備する必要がある。
 
 
諸葛宗男
東京大学公共政策大学院特任教授
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
 今、起きている現象は世界共通の現象であり、後世から見れば「決められない」時代として、歴史的なひとつの時代として位置づけられるのではないか
Q3. 上記以外(選択肢以外の視点、考え方を含む)
1.日本だけの現象ではない
   政治にねじれ現象が起きているのは日本だけでなく、世界中で起きている。

2.なぜ世界的に決められなくなっているのか
    冷戦時代は明確な対立軸があったため、どちらの方向を目指す
   にせよ、対立軸との対比で指導者は目指すべき方向を比較的容易
   に示せたが、冷戦終了後はどの国の政党とも政策の対立軸が曖昧
   になり、政党間の政策の違いが小さくなった。どの国も政権党は
   現実的な政策を掲げ、野党は比較的斬新な政策を掲げる。国民は
   どの国でも常に痛みを伴う現実政策よりも斬新な政策に魅力を感じ
   るため、ねじれ現象が出現し易くなり、結局、意思決定が出来なく
   なる。
Q4. 回答する
1.政治システムを現代社会に適合させるべし
  今の政治システムはネットやスマートフォンのなかった時代に
  考えられたもの。社会の情報伝達スピードと政治システムの
  スピードに大きな乖離が生じてしまっている。この乖離を
  埋めるような変革が必要。

2.意思決定のスピードを速めるべし
  我々から見ると、中国や北朝鮮の国会のスピードのなさに
  違和感を感じるが、日本の産業界の意思決定スピードから
  見ると、政治の意思決定のスピードはひどく遅く感じる。もっと
  スピード感のある意思決定が行える仕組みに変えるべき。

3.国民の意向を汲み上げる方法も再検討が必要
  何年に一回の選挙を通じてしか国の政治に国民の意思を
  反映できない今の方式も見直す時期に来ている。ICT技術
  を駆使すればもっと頻度高く、しかもコストを掛けずに国民の
  意思を汲み上げられる時代になったのだから工夫すべきで
  ある。かといってなんでもかんでも国民投票で決めるのでは
  衆愚政治に陥ってしまう。やはり国の政治を舵取りは誰でも
  できる、という訳にいかず、国政を担う資質というものは必要
  である。その国政を担うステートマンが上述したような方法で
  頻繁に国民の意思を調査しつつ政策を決める方式が望ましい。
 
 
若狭勝
弁護士
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
法案成立率が極めて低いこと、原子力規制庁(原子力規制委員会)等の設置も大幅に遅延していることなどの現実を見れば 決められない状況は明らかである。
Q3. 上記の複数の要因(選択肢) 
 2の政治家と4の制度・仕組みが原因と考える。
 制度・仕組みの問題として、衆参のねじれ現象を生み出す点にある。
 政治家であるが、政治家は、政局重視となり、国とか国民の目線に立っていない。
Q4. 回答する
 決められない政治からの脱却は、制度仕組みを変えて、ねじれを解消することにある。 
 ねじれを解消するために、3つ考えられる。
その1は、政党政治の中に組み込まれている現状の参議院は廃止し、衆議院だけの一院制にする。
その2は、政党を超えた議員によって構成する参議院を抜本的に変更する。本来の趣旨・
     制度に戻す(政党を超えた議員で構成する。そうなれば、大所高所からの政策判断が
     可能になり、参議院のメリットは相当大きく、両院制度を維持すべき)。これは憲法
     規定を考慮すると一番実行性・現実味がある。
その3は、衆議院と参議院のねじれが起きにくくするように、できるだけ同日選挙とする
    (参議院の任期と参議院議員の半数選挙、衆議院の解散は3年以内を禁止し、
     衆議院解散時に参議院議員も選挙をするなどの憲法改正が必要)。

 政治家についていえば、すべからく、政治家は、任期一回で辞めるつもりで議員をすべきで
ある。ひとたび当選したら、再選したいという欲が生まれるから、国民目線からどんどん離れ、
政局が軸足となってしまう。

 いずれにしても、有識者で制度の変更・国の在り方を抜本的に議論すべきである。
 
 
江川紹子
ジャーナリスト
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
決めなければいけないことはたくさんあるのに、それよりも政局優先というか、権力争いというか、そんなことが先に立っている。
 メディアも、どうしたら合意を見つけて前に進めるかという観点より、対立を期待し、失言を見つけては引きずり降ろすことに熱心。
 議員、とりわけ野党議員たちはメディアに写る自分(すなわち、戦っている姿)を意識するため、メディアが報じる課題=優先度の高い課題ほど、激しく反対したりしてみせるので、なかなか決まらない
Q3. メディア
(問4のコメントを御覧ください。)
Q4. 回答する
 もはや、かつてのような揺るぎのない権力というのは存在しない。以前であれば、叩いても引きずり降ろそうとしても、そう簡単ではなかったが、今や自民党も民主党も、政治家たちはポストから簡単に降りてしまう。総理大臣も、短期間で辞めてしまう。それだけ弱体化している権力を、単に叩く、引きずり降ろすという旧式のやり方では、ダメなのではないか。
 メディアは、違いや対立点を強調したり、今日や明日のバトルを期待するのではなく、どうすれば合意を形成できるか、という観点から、あるいは、もっと長期的な視点に立った論評が必要だ。
 
 
稲増龍夫
法政大学教授
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
二大政党制と言っても、その目指すところは根本において大差がないので、政策論争ではなく、「政局」をにらんだ模様眺めが前面に出てしまい、そもそも、「決められない」のではなく「決めさせたくない」のである。現在のねじれ国会が続く限り、「決められない」状態は続くだろう。
Q3. 上記の複数の要因(選択肢) 
社会科学的に言うと「ポストモダン」状況ということで、有権者の価値観が多元化し、政治的に明確な対立軸が喪失した流動的社会状況が生む必然的帰結で、たとえ、一時的に「小泉劇場」のような「わかりやすさ」が出現しても、やがては、再び「曖昧な未決状態」に回帰してしまうだろう。
Q4. 回答する
とりあえずは、「美辞麗句」ではないガチの「マニフェスト」を掲げて選挙を繰り返すしかないだろうが、本当に、現状を打破するには大統領制を導入するしかない。劇薬ゆえの危険と、ますますポピュリズムが進行するだろうが、現時点で知事/首長レベルの改革がもっとも勢いがあることを勘案すると、そこまでしないと日本は変わらないだろう。
 
 
竹中治堅
政策研究大学院大学教授
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
主に二つの理由がある。
一つは参議院で与党が過半数議席を確保できない、いわゆる「ねじれ」の状態に国会がなっていること。
1994年に行われた選挙制度改革の効果が参議院にも及んだ結果、衆議院と参議院を横断する形で二大政党化が進んだ。このため、「ねじれ」国会になると野党第一党は「江戸の敵を長崎で討つ」ような行動を取りがちとなった。すなわち、与党と野党第一党は政権を巡って熾烈に争っているため、野党第一党は「ねじれ」を利用して内閣・与党の政策立案を妨げることで国民を内閣・与党から離反させ、次期総選挙で自らが有利になるようにしようとするのである。
もう一つは日本の政治システムの下では内閣に対し与党議員が法案を成立させる上で強い権限を持っていること。日本の国会制度の下では、内閣は国会に法案を提出した後、例えば、法案審議時間を予め設定してしまったり、法案の優先順位を決めるといった権限を全く持っておらず、国会に対して法案成立を即すことがほとんどできない。このため、法案をいかに成立させるかは特に閣外の与党議員の影響力が大きい。にもかかわらず、現在の民主党政権は法案を準備する過程で十分与党議員の意見を取り込む仕組みを構築することができておらず、法案提出後与党議員の消極的姿勢のために法案審議が進まないということが頻繁に起っている。
Q3. 制度・仕組み
「ねじれ」国会のために政策立案が停滞する背景には衆参両院を横断する形で二大政党化が進んでいることがある。参議院で二大政党化が進んだ要因の一つとして参議院の選挙制度がある。参議院の選挙区の多くは1人区と2人区であり、二大政党に有利だからである。
また、すでに述べたように与党議員が法案の成立を大きく左右できる背景には内閣と国会の関係があり、内閣が国会における法案審議を即す権限をほとんどもっていないことがある。
Q4. 回答する
参議院の選挙制度を変更し、例えば、地域ブロック毎の大選挙区制度を導入すれば、参議院における二大政党化は緩和され、中小政党に所属する議員や無所属議員の数が増え、妥協が成立しやすくなると考えられる。
また、法案成立を図る上で内閣の国会に対する権限を強化すること(法案審議の優先順位決定権の付与など)を検討すべきである。
 
 
にしゃんた
羽衣国際大学教授/落語家
Q2. 「1 - 思う」の回答理由
争いをケガレと考え、和を重んじ、調和をはかれる事を美徳としてきた日本人。
素晴らしい事でもあるが、反面何かを決断し、行動するときには負の要素に変わる。何かを決断しようとすれば、多かれ少なかれ反対勢力は生まれ、争いが生まれる。政治家に信念がないのではなく、和こそ彼らの理想だからである。その結果、前例主義者や話し合い至上主義者を生んでいる。

必要なのは、この国をどんな方向に引っ張っていくか、国民をどう引っ張っていくか、言葉を武器に国民に訴えて支持を得ようとするのが政治家なのだろうが、今の政界にその手の政治家は何人存在するのだろうか。国や国民ではなく、票や金を見つめ、長い間、決断を先送りにし、曖昧にすることで難を逃れてきた国が、今になって、少なくとも現状では何かを決断できるわけがない。
Q3. 上記の複数の要因(選択肢) 
現状は、国民、政治家、メディアの3者の『複合汚染』がもたらした結果である。そして、「現状維持バイアス」の存在。

吉田茂、鳩山一郎、岸信介、池田勇人、佐藤栄作、田中角栄、三木武夫、福田赳夫、大平正芳、中曽根康弘などの戦後の歴代総理大臣は、大物というイメージがあり、近づきがたい存在だったようだ。彼らは、良くも悪くも表や裏での権力闘争で自分のカネと子分を増やし、地位と権力を勝ち取っていった。彼らによって大枠を作られた日本社会は、経済的に発展を遂げた。

心身ともに飽和状態になった日本人からは、ハングリー精神が消え、その結果、彼らは考えることを止め、諦めることを覚えた。絶好調の時代が終わって久しいにもかかわらず、人々には変化に対する警戒を示す「現状維持バイアスが働いている」

その変化を求めない国民が持つ票が政権を維持する事だけに固執する政治屋を生み出した。
高い志をもち政治家になっても、多数派原理に巻き込まれ、いつの間にか、自分を守るための政治をするようになっている。票や政権維持しか興味のない政治屋は新しい制度・仕組みを生み出すことができず、メディアは広告主や利権の顔色を窺って悪影響のあるニュースは核心にまで迫らない。

その結果、国民も政治家もメディアも、最大公倍数を選択するようになった。つまり、決めないことが、コストやリスクを最小限に抑える合理的な方法であり、生き残る術と捉えるようになっている。絶えず悪循環が続き、我々は皆共犯者である。

現状維持バイアスがもたらす、機会費用が大きい!
Q4. 回答する
「国民、メディア、政治家が己の使命を自覚し各々の立場で互いと良き関わりをもち、未来に向けた好循環を作っていく必要性がある。」

決められない政治に、今の国民は不満を抱いているのだろうか?
そもそも、本当に興味をもって不満を抱き、別の道を模索しようと国民が考えているならば、選挙の投票率や選挙結果にも反映されるはずである。しかし、国民の意思が見えてこない以上、脱却すべきかどうかすら、結論を出すことができない。

基本に立ち返ることになるが、政治は政治家だけが行うものではないという自覚を国民がもち行動に移すことが最も必要である。

メディアの使命として、政治家以上に国民に課題を示し、未来を示し、国民が考える為の種を撒き続けなければならない。

政治の粗を探し、面白おかしく突くだけでなく、政治を変えることでどれだけ生活が変わっていくのか、政治がいかに自分たちの生活と密接に関わっているのかということを広く深くさまざまな方法を使って周知していくべきであると考える。

決められない政治なら決められない政治なりの未来が決まって訪れる。しかし、それでいいのかという事を各々の立場で考え、行動することから始めよう。
 
 
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2. 思わない

木村太郎
ジャーナリスト
Q2. 「2 - 思わない」の回答理由
民主主義は時間がかかる
多様な民意を反映するのに「即断」「即決」の政治などあり得ない。
時間はかかったが、消費税増税など懸案も解決に向かっている。
Q3. 制度・仕組み
民主主義は最悪の政治形態だと言われる。ただしこれまで何度も試みられた全ての政治形態を除けば(ウィンストン・チャーチル)
Q4. 回答する
何事にも直ちに決断するリーダーシップを求めるのであれば「将軍様」を拝戴するのがよいだろう。私は嫌だが・・・
 
 
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3. どちらとも言えない 

潮匡人
国際安全保障学者,拓殖大学客員教授
Q2. 「3 - どちらとも言えない 」の回答理由
かつてのサンフランシスコ講和条約や日米安保改定、自衛隊PKOやイラク派遣など、必要に迫られれば、時々の政権は重大な決断を下してきた。いまは、別に急いで決める必要はない――皆が思っている。そうである限り、一見「決められない」状況は続く。
Q3. 上記以外(選択肢以外の視点、考え方を含む)
あえて言えば「戦後」。戦後日本の平和と繁栄が、無責任体質を生み、根無し草の漂流をもたらした。戦後日本は、守るべき歴史伝統と価値(判断基準)を見失った。何が日本の国益なのか、その国民的なコンセンサス(共通了解)もない。決断は犠牲を伴う。マスコミ世論は、それに耐えられない。現在の「決められない政治」は自然な帰結であろう。
Q4. 回答する
〝有事〟になれば、否応なく決断を迫られる。だが、それでは遅い。取り返しのつかない犠牲が生じる。だからこそ、守るべき国益を見据え、決断を支える価値(判断基準)を取り戻さなければならない。もはや戦後の平和と繁栄はなきに等しい。だから決断が求められている。みなが「今そこにある危機」を直視する、危機感を共有する。脱却への出口は、そこにあると思う。
 
 
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