第1回 2003年10月7日(火)放送 あらすじ

#1 死者ノ住ム町

 松本梓(夏川結衣)は、夫の欧太郎(ユースケ・サンタマリア)と、5歳になるひとり娘・鈴(山田夏海)とともに、都内の公団住宅で幸せな日々を送っていた。
 雑誌のモデルをしていた梓は、仲間と立ち上げたベンチャービジネスで成功を収めていた欧太郎と知り合い、6年前に結婚した。欧太郎の会社は、ネットを使った老人介護の仲介をしているが、ネットバブルの崩壊後、経営が行き詰まり始めていた。銀行の融資もままならない状況を何とか立て直そうと、現在、経営コンサルタントを探している最中だ。
 その一方で、欧太郎は社員の琴音(高樹マリア)と不倫関係を続けていた。

 夏の終りも近いある日のことだった。欧太郎は、訪ねてきた不動産業者・菅谷(谷津勲)から思いがけないことを聞かされる。それは、亡くなった欧太郎の父親が残した家があるので、それを相続してほしいという話だった。父親とは幼い頃に生き別れており、すでに死亡届が出されている、と母親からも聞かされていた欧太郎は、驚きを隠せない。
 欧太郎たちは、菅谷の案内で、とりあえずその家を見に行くことにした。それは、「希里が丘(きりがおか)」という、最近になって開発された住宅地にあった。古びた建物だが、かなり大きな邸宅だ。その家を気に入った欧太郎は、ここに住もうと提案する。梓は、あまり気乗りしなかったが、空気が綺麗だから喘息に苦しむ鈴のためにもいい、という欧太郎の言葉が決め手となり、引っ越しに同意する。

 2ヵ月後。欧太郎たちは「希里が丘」の新居で新しい生活を始めた。すると、滅多に顔を見せない欧太郎の母・志摩子(梶芽衣子)が突然やってきた。志摩子は、テレビでも活躍する料理研究家だった。時々遊びに来るから、と勝手に自分の部屋まで決めてしまう志摩子に、梓は困惑する。
 松本家の向かいにある車田家には、無愛想な主婦・美佐江(久保田磨希)と、中学生の娘・真子(石田未来)、双子の息子・智也(新井敬祐)と卓也(新井栄祐)がいた。主人の行生の姿は見かけたことがあるが、顔は見たことがなかった。なぜなら、行生の顔は、医療用の特殊なマスクと包帯で覆われていたからだ。
 一方、隣の澤村家は、いつも玄関に印象的な柄の傘がかけてある家で、若くて美しい女性・愛子(白石美帆)が住んでいた。

 奇妙な出来事は、すでにこの時から起きていた。引っ越したばかりの時、欧太郎は、家族で記念写真を撮ろうとして、通りがかった美佐江にデジタルカメラを渡してシャッターを押してもらったことがあった。が、その写真は何故か欧太郎たちの顔から上が切られていたのだ。撮り方がわからなかっただけだろうと欧太郎は言うが…。
 同じ日の夕方、車を走らせていた梓は、「ホテル・カリフォルニア」という古びたラブホテルの前を通った。すると、そのホテルの駐車場から1台のワゴン車が出てきた。その後部座席で、女が窓に両手をついてこちらを見ていた。なんとその顔は梓と瓜ふたつだったのだ。もう一度確かめる間もなく、走り去ってしまうワゴン車。気のせいだろう、と苦笑する梓だったが…。

 そんなある日、鈴とジョギングしていた梓は、異様な光景を目にする。近所の家から一斉にゴミ袋を持った主婦たちが出てきて、ゴミ出しを始めたのだ。梓も慌ててゴミ袋を持ってくるが、見張りをしていた主婦たちが現れ、注意されてしまう。
 梓は、その出来事を欧太郎に話した。しかし彼は、そんなことは無視しておけばいいんじゃないか、と真剣に取り合ってはくれない。
 すると今度は、町内会長の網川睦子(鷲尾真知子)が松本家にやってきた。無農薬野菜を一括して共同購入しているから、と梓にも半強制的に購入を勧めに来たのだ。さらに睦子は、毎晩交代でやっているゴミの見回りをさっそく梓にもやってほしいと言う。
 その夜、鈴を残して見回りに出かけた梓は、何かのシンボルマークのような不思議なデザインのシールが貼ってある家が何軒もあることに不審を抱く。その時出会ったのが、こっそりゴミを捨てようとしていた三好文子(山口香緒里)だった。梓は、文子のことを見逃すが、家に戻るとすかさず睦子から梓を叱責する電話が入った。まるで見張られているかのようだった。

 そうした出来事が続き、梓は、この町での生活に不安を感じるようになっていった。そんな折、買い物途中の梓は、近所にあるゴミ屋敷で見かけた老婆・布部サキ(森康子)に突然腕を掴まれた。サキは、「蟲ざぞ。あの家には蟲がついたのざぞ。蟲がついちまった家は、しまいざぞ」と意味不明な言葉を梓に浴びせた。そんなサキから救ってくれたのは、梓と同じように睦子たちのやり方に不満を抱いていた文子だった。
 その帰り道、梓は、道ばたに落ちているマッチ棒を拾った。それは、以前にも家の前で拾ったものと同じ、3つに折られたマッチ棒だった。それを見た梓に、忌まわしい記憶とともに、ある男性の顔がよみがえった。それは、久遠駿介(北村一輝)という男のことだった。

 同じころ、元判事の草間五郎(いかりや長介)は、ある葬儀会場にいた。そこで草間は、故人の夫人らしき女性から、1通の古い封筒を手渡される。その中には、色褪せた便箋と写真が入ってた—。

キャスト

夏川結衣
ユースケ・サンタマリア
北村一輝
白石美帆
佐藤藍子
  ・
戸田菜穂
高知東生
  ・
火野正平
梶芽衣子
  ・
いかりや長介
  ほか

スタッフ

■本
  坂元裕二
■音楽
  石田勝範
■プロデュース
  鈴木吉弘
■演出
  林 徹
  成田 岳

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