数々の有力選手を指導する長光歌子先生が
フィギュアスケート界を楽しく語ります!

歌子の部屋

vol.35

全日本選手権2018を終えて

5年ぶりの出場となる髙橋大輔選手と共に臨んだ全日本選手権。終了後に振り返っていただきました。

髙橋大輔選手について―

長光歌子先生

■4回転ジャンプに挑んだことについて―

 復帰してからの4回転ジャンプは以前より上手くなったと思います。本田、林先生はもちろんですが、濱田先生までもがジャンプのアドバイスをしてくださり、大輔を支えてくれるんですよね。私とは違う視点での指摘を頂き本当に有難かったです。
 12月に大阪プールで田中刑事選手たちと合同練習をしたのですが、そこで4回転を成功させたんですよね。たまたま本田先生が撮影をしていて、私は嬉しくていろいろな人に動画を送ってしまいました(笑)。

■キスクラではどんな話をされたのですか―

 「アクセルちょっと危なかったけどよく耐えたね」とかそういう軽い話をしました。以前はリンクインの時、そういった一連の行動をあまりテレビで映されたくないと言って、早くに握手を済ませ名前を呼ばれるまでリンクを周回して待っているのですが、今回は珍しく「行ってきます」「行ってらっしゃい」みたいな軽い感じですがやり取りがありましたね。
 近畿ブロック大会と西日本選手権は本田先生と3人でキスクラに座ったんですが、全日本では本田先生が解説に入るので、2人きりで座ったのは本当に5年前の全日本以来でした。だから凄く感慨深いというか、こんな日が来るんだなと不思議な感覚でいました。
 そしてお客さんでいっぱいの一体感のある会場に大輔と座らせてもらっているという状況が、本当に幸せだと感じました。フリーはあんな演技になってしまいましたが(笑)。

■現役として大事な事―

 他の選手をリスペクトするところだと思います。大輔からしたら全員が年下ですし、まだ経験の浅い選手もいますが、彼らの滑っている空間をしっかり認めている。そういった価値観をちゃんと持っているところが私は大輔を誇らしく感じるところです。関大の普段の練習でもそうなんですが、近畿ブロック大会も西日本選手権も、大輔が練習に入ると良い気が流れ、素敵な空間になると感じました。

長光歌子先生

■ミハル・ブレジナ選手やセルゲイ・ボロノフ選手など、同年代の選手が活躍しています―

 それはもう心から嬉しいですよね。ボロノフ選手はニコライ(・モロゾフ)コーチの所で一緒に練習をしていたこともあって、活躍しているのが本当に嬉しいです。大輔も先日、NHK杯に出ているボロノフに会って少し話をしたと言っていました。4回転もきれいに跳んでいますし、本当に勇気づけられていると思います。ボロノフと言えば昔、彼がスケートアメリカに出場していた時に、大輔は会場近くのリンクで練習していたので二人で見に行ったのですが、試合翌日に近くのショッピングモールに買い物に行き、モールから帰ろうと車に乗ったらそこでヒッチハイクしているボロノフを発見!(笑)。友人が運転してくれていたのですが、私たちが車を下りてモールで待機、友人がボロノフを彼らのオフィシャルホテルまで送って行った(笑)。そんな思い出話もあります。
 ミハル選手も昔馴染みですよね。多くの大会で大輔と一緒になりました。平昌オリンピック選手村のダイニングで最初に会ったのがミハルでした。その後、練習しているのを見たら、凄く練習の質が上がっていてびっくりしました。彼は余りある程の才能の持ち主なのに、試合で結果が出せないことが多く、練習にムラがあるのかなと当時思っていましたが、平昌での練習を見て、これからは結果がついてくるのではないかと思いました。頑張って欲しいです。

長光歌子(ながみつ うたこ)
長光歌子(ながみつ うたこ)