数々の有力選手を指導する長光歌子先生が
フィギュアスケート界を楽しく語ります!
歌子の部屋
vol.19
世界選手権について
歌子先生に世界選手権2017について伺ってきました。
浅田真央さんの引退について

■浅田真央さんの引退と思い出―
浅田真央さんには本当にお疲れ様と言ってあげたいです。よく最後まで闘い抜いたと思います。日本のみならず世界中の宝物と言って良い、本当に素晴らしいスケーターです。
(髙橋)大輔と真央ちゃんとは、多分大輔が中学2年生、真央ちゃんが小学校4~5年生くらいの時からの幼馴染ですね。ノービスとジュニアの大会でクロアチアに遠征したのですが、飛行機の中で真央ちゃんやノービスの選手たちが大輔と話をしようと、我々の席までやってきてくれたんです。でも、その時大輔はグーグー寝ていて、真央ちゃん達がちょっと残念そうにしながら自分たちの席まで戻って行ったのを覚えています。
その後真央ちゃんについて強く記憶に残っている場面と言えば、トリノオリンピックのシーズンです。大輔は荒川静香さんと一緒にロシアのタチアナ(・タラソワ)さんのところで練習していたので、国内事情には疎かったのですが、GPファイナルで優勝した映像を見てすごい選手になってきたなと驚きました。バンクーバーオリンピックのシーズンは真央ちゃんと真央ちゃんのお母様にはとてもお世話になりました。大輔がリハビリから復帰し、今日からジャンプの練習を始めても良いとなったその日に、関西大学が新型インフルエンザで閉鎖になって練習できず、それを聞いた真央ちゃんのお母様が快く中京大学のリンクでの真央ちゃんの練習時間に入れてくださったんです。「真央のためにも良いことだから」って言ってくださって、あの時は本当に助かりました。翌年のバンクーバーの選手村で彼女とお母様に会ったとき「大ちゃんおめでとう!」って、2人とも我が事のように本当に喜んでくれました。思わず「いえいえ真央ちゃんとママのおかげよ!」って言いました。本当にあの時練習に入れていただけなかったら、もしかしたらメダルは獲れていなかったかもしれません。今でも真央ちゃんのお母様にはずっと感謝の気持ちを持ち続けています。本当に語りつくせないほどたくさんの思い出が2人にはあり、大輔と真央ちゃんには何か兄妹のような絆を感じています。
彼女には、これから活躍する場所がたくさんあると思うので、のびのびとやっていってほしいと思いますね。競技ではないところでスケートの良さを伝えて行ってくれると思うので、これからの新しいスタートが本当に楽しみです。世間の方々にフィギュアスケートの素晴らしさ、面白さに興味を持ってもらえるような場面を作っていってくれると嬉しいです。
私がフィギュアスケートにはまり込んだのは、小学生のころ王子動物園の隣に作った特設リンクでアメリカのアイスショー、「ホリデー・オン・アイス」を観た時でした。以前はフィギュアスケートといえばコンパルソリー重視でつまらないなと思っていたのですが、あのショーではその華やかさに我を忘れ、隣の席で時折話しかけてくる父の言葉など一切耳に入らないくらいの興奮を味わいました。あの時間がフィギュアスケートの魅力にどっぷりはまるきっかけになりました。そういったきっかけをこれからの子供たちに作っていってほしいです。また大輔とそういう場面をたくさん作り、子供やファンの皆様にフィギュアスケートの魅力を存分に伝えて行ってくれたら嬉しいですね(笑)
浅田真央さん、本当にお疲れ様でした。
- 長光歌子(ながみつ うたこ)