数々の有力選手を指導する長光歌子先生が
フィギュアスケート界を楽しく語ります!
歌子の部屋
vol.19
世界選手権について
歌子先生に世界選手権2017について伺ってきました。
世界選手権について

■今大会の注目選手たちについて―
男子では、ネイサン・チェン選手は注目していた選手の一人です。ジャンプはもちろんですが、彼は表現力も素晴らしいものを持っていますよね。四大陸選手権の後に靴を変え、その靴がうまく合わなかったそうで、そういった万全ではない中で今大会、フリーではジャンプの失敗はありましたが、彼の器の大きさを改めて強く感じました。
ボーヤン・ジン選手は、昨年ジャンプだけが印象に残りましたが、今回は演技自体も印象に残りました。ローリー・ニコルさんの振付けも良かったですが、彼自身新しい表現が出来るように凄く努力したのだなと思いました。どんなスケーターになっていくか楽しみになりました。
ハビエル・フェルナンデス選手のショートプログラムは、荒々しい表現と男らしさ、絶対的な存在感を、見る者に与えた記憶に残る印象深い演技だったと思います。
パトリック・チャン選手は「さすが!」といった演技でしたね。スケーティングだけで言えば別格だと思いました。
あとは、ケビン・レイノルズ選手が復活したことは、個人的に嬉しかったです。それと、ミハル・ブレジナ選手など(髙橋)大輔と同じ時期から闘ってきたベテラン選手にもまだまだ頑張ってもらいたいと思いました。
女子では、エフゲニア・メドベージェワ選手が本当に圧巻でしたね。バレエの基礎が身に付いているからか、指先、つま先、顔の位置まで、全てに神経を張り巡らせていて美しいと感じました。動作と動作の繋ぎも一貫して集中していて、フリーはとても短く感じました。
ケイトリン・オズモンド選手やガブリエル・デールマン選手など、カナダの選手が上位にあがってきましたね。デールマン選手は今までは運動能力は抜群だけれどジャンプをよく失敗するイメージがあったのですが、今回はショートプログラム、フリーを丁寧に揃えられて嬉しい驚きで見ていました。
カロリーナ・コストナー選手のメロディーに頼らないフリーも良かったですね。彼女こそ、「これがフィギュアスケートだ!」と感じさせてくれる圧倒的なスピードと美しさ、全く難しさを感じさせない複雑な繋ぎのスピン。ジャンプのミスはありましたが、素晴らしかったです。
ペアでは、ウェンジン・スイ/クォン・ハン組がとても印象に残りました。特に女子のウェンジン・スイ選手はスケーティングが上手で、また、曲想や音に対する表現が非常にうまく、今回私の中で最も印象に残ったスケーターの一人になりました。パートナーのハン選手共々、ペアの滑りというよりはシングルの上手な選手が息を合わせているというような感じで、本当に素晴らしかったと思います。これからも注目していきたいです。
アイスダンスは、テッサ・バーチュー/スコット・モイアのダンスは本当に引き込まれました。大輔が出演したアイスショーで彼らの演技を観た時「復帰したら優勝できるだろうな」と感じたのですが、実際にその通りになりました。
- 長光歌子(ながみつ うたこ)