数々の有力選手を指導する長光歌子先生が
フィギュアスケート界を楽しく語ります!

歌子の部屋

vol.17

1月の国内大会・四大陸選手権について

歌子先生に国内大会と四大陸選手権2017について伺ってきました。

長光歌子先生

■少し話が脱線しますが、コンパルソリー用とはどういった競技なのですか―

 コンパルソリーは、規定の図形を氷上に描いて、図形やエッジの正確性を競うものです。スピードも最初から最後まで一定を保ち、滑っている時の姿勢なども採点されます。コンパルソリーの靴やブレードは、現在のフリースタイルのそれとはずいぶん違っていました。
 コンパルソリー用のブレードはジャンプを踏み切ったり、着氷する時に使うトゥが全くなく、研磨するのも溝を浅くするように研いで、図形を描いたりターンする時に正確なエッジでできるようにしていました。
 昔はショートプログラム、フリーに加えコンパルソリーもあったので、移動が大変だったんですよ。コンパルソリー用の靴、ショートプログラムやフリー用の靴、それにそれぞれの衣装、さらにコンパルソリーの練習の時、氷に円を描くコンパスを持っていかないといけなかったわけですから。

■荷物だけでかなりの量があったんですね―

 そうですね。昔、そのコンパルソリーのコンパスを巡ってちょっとした事件が起きたんです。私が選手たちのコンパスをまとめて車に積んで運んでいたのですが、その時たまたま検問にあって車の中を調べられたんです。そうしたらトランクからコンパスが大量に出てきて、そのコンパスがまるで機関銃のような形をしていたから、警察官に囲まれてしまいました(笑)

■えー!大丈夫だったんですか―

 私はその場でコンパスの脚を伸ばしたり、「これはフィギュアスケートで使うもので、こうやって使うんです!」って警察官の方々に使い方を説明したりしましたよ!それでやっと解放されたんです(笑)

■すごい経験をされているんですね―

 あの時は本当に焦りました(笑)

■話は戻りますが、女子ではロシアのエフゲニア・メドベージェワ選手が女子の最高得点をマークしましたが―

 ロシアのあの選手層が厚い中で、メドベージェワ選手は勢いがありますね。彼女は今、何をやってもうまくいく良い状態なんじゃないかと思います。彼女の場合、ジャンプも優れていますが、それ以外でもスピンやステップ、つなぎの動作にも工夫が見えます。所々の所作にまだ若さが見えますが、これから大人になっていってそのあたりも身につけば、今よりもさらに成長するのではないかと思います。

■欧州選手権を振り返って気になった選手はいますか―

 うれしかったのは、カロリーナ・コストナー選手の復活ですね。彼女は今シーズン復帰して、29歳。その中でいきなり3位ですから、本当に良かったと思います。彼女の演技は指先から足の先まで、最初から最後まですべてが美しいですよね。「これぞフィギュアスケート!」といった感じでゾクゾクします。彼女のアイスショーでの演技を、私たちの生徒に動画で見せて、参考にさせたりしているんですよ。今回の大会では、メドベージェワ選手などの若い選手たちの良いお手本になったのではないかと思います。

最後に

■四大陸選手権が終われば、すぐに冬季アジア大会が始まりますね―

 そうですね。冬季アジア大会には無良崇人選手や、本郷理華選手も出場しますよね。この大会はオリンピックの次に大きな大会です。日本の代表として頑張ってほしいですね。テレビやメディアでもたくさん放送されるでしょうから、ここで良い演技をして、存在感を大いにアピールしていってほしいです。

本日はありがとうございました。

長光歌子(ながみつ うたこ)
長光歌子(ながみつ うたこ)