数々の有力選手を指導する長光歌子先生が
フィギュアスケート界を楽しく語ります!
歌子の部屋
vol.17
1月の国内大会・四大陸選手権について
歌子先生に国内大会と四大陸選手権2017について伺ってきました。
■その中で日本から出場する選手たちに期待することは―

羽生結弦選手は、全日本選手権を欠場したことでGPファイナルから時間がたっているので、どんな演技を見せてくれるのか注目ですし楽しみですね。宇野昌磨選手や田中刑事選手は昨シーズンも出場しましたが、そこで結果を出すことができなかったので、燃えているのではないでしょうか。みなさん表彰台を狙える位置にいるので、ファンにとってはたまらない試合になりそうです。
女子は樋口新葉選手、三原舞依選手は今シーズンからシニアに上がって、四大陸選手権は初出場です。だから色んなことを肌で感じてきてほしいですね。大きな大会だからこそ味わえる雰囲気があるので、自分自身で見て、感じて、さらに成長していってほしいと思います。
でも皆さんに共通して言えることは怪我だけには気を付けてほしいですね。大きな大会になればなるほど無理しがちになると思いますから。三原選手の場合、今年に入ってからインターハイと国体に出場してかなり過密なスケジュールをこなしています。彼女は今シーズン難病から復活を果たして、今スケートができることをすごく楽しんでいると思います。ですからコンディション作りを上手くしてこれからの2つの大きな試合(四大陸選手権・世界選手権)を良い状態で乗り切ってほしいです。彼女は私の母校(兵庫県立芦屋高校)の後輩なので、心の中でいつも応援しているんですよ!
■四大陸選手権の後には冬季アジア大会も控えていますが、出場予定の選手にとっては過酷なスケジュールになりますね―
来年のオリンピックシーズンに向けてはピーキングの持っていき方など、参考になるかもしれません。
それでもコンディション作りはかなり難しいと思います。ずっと気が抜けないわけですから。
その中で、四大陸選手権が韓国、冬季アジア大会が札幌ということなので、移動距離がそれほどありませんし、時差もほとんどない点は良かったと思います。
■全日本選手権から世界選手権までの間にある四大陸選手権の意義は―
私は、ちょうど良い時期にある大会だと思います。全日本選手権から世界選手権まで約3カ月ありますが、選手たちにとっては、その期間ただ練習するというよりは、世界の大きな舞台でほかの国の選手たちと競い合う機会があるわけですから、四大陸選手権は重要な大会だと思います。それでも難しいところもあります。良い結果が出た場合その後の世界選手権への気持ちの持っていき方です。(髙橋)大輔の時もそうだったのですが、四大陸選手権で良い結果を出した後、達成感を持ってしまったり、「これ以上の演技ができるだろうか」など不安になったりしたこともありました。フィギュアスケートの競技は、メンタルがすごく重要になってくる競技です。だからメンタル面で見ても難しいところはありますね。
■今回の大会、歌子先生の中での注目選手は―
昨シーズン、パトリック・チャン選手が本当に素晴らしい演技をしましたし、彼自身の中でも良いイメージがあると思います。デニス・テン選手も世界を舞台に復活を果たしたいと思っているだろうし、とてもハイレベルな戦いを見せてくれると思います。
その中で、私はアメリカのネイサン・チェン選手に注目しています。彼は先日行われた全米選手権で優勝しましたよね。その演技を私も動画で見たのですが、本当に驚きました。彼は色々な種類の4回転ジャンプを完璧に跳べるばかりでなく、スケーティングの技術や表現力も素晴らしいと思います。まだ伸び盛りの若い選手ですし楽しみですね。
- 長光歌子(ながみつ うたこ)