数々の有力選手を指導する長光歌子先生が
フィギュアスケート界を楽しく語ります!

歌子の部屋

vol.14

2016-17シーズン始動

歌子先生に2016-17シーズンについて伺ってきました。

■2016-17シーズンのルール変更は選手にとって影響が出ると思いますか―

長光歌子先生

 そうですね。演技の評価に関するルール改正は、特に気にしてはいないのですが、転倒に関するルール変更は大きいですね。

転倒に関するルール改正

【2015-16シーズン】:
男女シングルの転倒による減点は、これまで「1回転倒する毎に-1点」

【2016-17シーズン】:
「1回目・2回目の転倒はそれぞれ-1点」、「3回目・4回目の転倒はそれぞれ-2点」
「5回目以降の転倒はそれぞれ-3点」

 今までは転倒しても、回転が足りていれば点数にそこまで響かなかったのが、これからは転倒が大きく点数に響いてしまいます。それでも、プログラムを一つの作品とした場合、何回も転倒するのは美しくはないので当然と言えば当然の変更かもしれません。選手たちにとっては過酷ですよね。後半で難しいジャンプへの挑戦を考えるかもしれませんから後半で疲れていると、バランスを崩して転倒しやすくなってしまいます。
でもフィギュアスケートならではの芸術的な作品を観たいという観客の皆様にとっては、大変良い変更ではないかと思います。

■ルール改正は選手やコーチにとってどういうものですか―

 競技や得点計算方法の変更は過去に様々ありましたが、混乱することはあります。ルールが確定するのがオフシーズンの6月くらいですので、それまでにプログラムを作っている選手は変更を余儀なくされるケースがあります。今回は得点が1.1倍になる後半が昨シーズンよりも5秒早くなりましたけど、(髙橋)大輔もいつのシーズンだったか、プログラムを作っていく過程でルール変更があり、後半の1.1倍になる時間にジャンプの着氷が1秒足りず曲の編集をやり直したり、ジャンプへのアプローチを変更したりと、色々悩んだ思い出があります。昔はショートプログラムでは、体力に余裕がある前半にジャンプを3本跳んで、後半にステップやスピンっていう流れが多かったのですが、おそらくISUはそれを嫌ってプログラムのウェルバランスをより良くするよう、後半の得点が1.1倍というルールに変更したのだと思います。

長光歌子(ながみつ うたこ)
長光歌子(ながみつ うたこ)