花にけだもの
タイトル

桜が舞い散るなか、蒲生田の葬儀が営まれている。蒲生田の親族は遠方に住む付き合いのない妹のみだったので、葬儀のほとんどは木島が執り行ったが、それを「財産目当て」だと口にする弔問客もいた。実際に木島が蒲生田から受け取ったのは遺作の権利だけ。葬儀を終えた木島は、その遺作の原稿を城戸に渡し、その遺作は、蒲生田は書き上げられず、自分が加筆して完成させた、と告げた。このことは一生誰にも言うつもりはない、その原稿を持ってどこへでも好きなところへ行けよ、と木島が伝えると、城戸は「会社は辞めない。続けることにした」と答える。結婚話も無くなった、と明かす城戸に、君はまともな奴で、そういうところが好きだと木島は告げる。2人は見つめ合うと、求め合う恋人のように濃厚なキスを交わし、蒲生田の遺影の前で身体を重ねた。数か月後、蒲生田の遺作が書店に並んでいる。病床で書かれたとは思えない筆致が絶賛され、話題作となっていた。木島は、蒲生田からもらった「鬼島蓮二郎」という名前で再デビューし、他社からの依頼も受け、順調に仕事をこなしていた。そんななか、木島と城戸は微妙な関係になり、城戸は合コンで出会った彼女と付き合って1年で結婚し、娘も誕生した。そして、現在。木島と城戸がバーで呑んでいる。木島は、付き合うことにしたと城戸に明かした久住のことを、大切そうに話している。もう自分が見ることのない木島の幸せそうな表情を見て、城戸は複雑な感情を抱く。だが、そんな城戸の気持ちに木島は気付くことなく、久住が待つアパートに帰って行った。

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