2025年度 支援国
マダガスカル
2025年度 支援国
マダガスカル
現地取材レポート
“世界最貧国の1つ”マダガスカル取材でみえてきたもの
株式会社フジテレビジョン アナウンス部
酒主義久
「マダガスカルってどんな国?」
取材前にもし聞かれていたら…浅い知識の私は、アニメ映画の影響もあり「バオバブの木、ワオキツネザルなど動植物の豊かな国」そう答えたでしょう。大きな島国で複数の自然保護区があるリゾート地。アフリカだから暑いのかな?なんて、少しウキウキした気持ちを抑えながらマダガスカルに向かいました。しかし、日本から23時間、離着陸を3回ずつ経て到着した私たちは、世界最貧国の1つと言われるマダガスカルの厳しい現実に強い衝撃を受けました。

マダガスカルの赤土の道を走る車
マダガスカルを訪問した5月は、季節で言うと秋から冬。標高1200mを越える首都アンタナナリボに到着し、初めて踏みしめたアフリカの赤土の大地に興奮しながら車で都心へ向かいました。立派なビルや陸上競技場、車やバイクの往来に人々の活気あふれるマーケット。ロープウェイの駅や鉄塔など完成・開通に向けて整備が進んでいる近代的なインフラに驚かされました。しかし一歩路地に入ると、靴を買えず裸足で、おもちゃ代わりにビール瓶の王冠で遊ぶ子供たち。我々を見るなり「お金をください」と必死な目を向ける人々。インフラ面では信号機が1つもなく、交差点で交通整理をする警察官。初日から貧富の差、マダガスカルの現在地が少しずつ目に飛び込んできました。
2週間の取材のうち約8割滞在した南部の貧困地域では『世界最貧国の1つと言われる“マダガスカルの生活”』『人々に与える気候変動の影響』『10年で変化したこと』を主な目的にとして取材しました。
その中で、農業を営む60歳の女性は、毎日片道2時間かけ、海岸の井戸に水を汲みにいきます。
しかも決してきれいとは言えない濁った水。飲んだら病気になるのでは、でも生きるために不可欠…各家庭に蛇口があり、いつでもきれいな水が飲めるわけではありません。幼い子供が濁った水を飲む姿を、ただじっと見つめる事しかできませんでした。

毎日片道2時間かけて水を運ぶ女性
その他にも、家計を支えるために川で洗濯をする少女や、家畜の牛の面倒を見る少年に会いました。いずれも学校に行きたいものの、生きるために働かざるを得ず、通うことができません。
さらに南部の地域では、ハリケーンや気候変動の影響で学校に行けなくなった生徒も取材させてもらいました。家はハリケーンで全壊、農家の父は干ばつで野菜が思ったように育たず、サイクロンが来ると水はもたらされるが他の被害が…年間に換算すると1000円にも満たないノート代が払えず教育が受けられない現状。マダガスカルの皆さんの役に立ちたいと思いつつも、このご家族には「なんて声をかければいいのか。水はもたらされる一方で甚大な被害も出るサイクロンに、希望を託すことも、拒むこともできない現実に、無力さを感じました。
10年前にFNSチャリティキャンペーンでマダガスカルを取材していたため、10年間での変化を取材することが出来ました。舗装された道は増えたと言いますが、国道の中でもほんの一部だけ。車を持てる人は経済的にほんの一握りのため、大きな荷物を運ぶのは主に牛車。移動は基本的に徒歩で、ビーチサンダルで10キロ以上歩くことも珍しくない。水は増えたけどきれいとは言えず、貧しい現実は変わらない。
原因は何か。気候変動か、政治か、それとも…気候変動の面では、先進国の影響も否定できません。さらに日本でも毎年のように異常気象という文字がテレビ、ネットなどに並びます。マダガスカルの未来、自分達の未来のためにも、国連が示す「個人でできる10の行動」を更に意識する必要があるのではないでしょうか。

家計を支えるために働く子どもたち

厳しい環境の中で暮らす家族
また、マダガスカルの皆さんに我々ができる支援。特に必要なのが水などのインフラ面です。綺麗な水をすべての人に届けたいが、きれいな水どころか水そのものが手に入りにくいのが現実です。これまでの支援によって所々井戸は掘られているものの、その数はまだまだ不十分だなと感じました。

人々の生活を支える水場
一方で、そんな厳しい暮らしでも快く迎えてくれた皆さんの『笑顔』が忘れられません。辛くても現実を受け入れ、今の環境の中で最大限生きる事を楽しむ。そんな姿に見えました。私たちの支援によって、もっと笑顔が増えたらという思いが日に日に増していきました。日本から距離が遠く、情報も少ない国ですが、私達の取材によって身近に感じてくださればとても嬉しいです。
最後に、今回尽力していただいた日本ユニセフ協会、現地ユニセフ関係者の皆さん、取材に協力してくださったマダガスカルの皆さんに御礼申し上げます。

マダガスカルの子どもたち