 |
|
将来に向けて
騒乱から独立への一連の動きは、ある意味で国際社会に東ティモールの問題を印象付けることになりました。残念ながら、緊急援助期から通常の開発援助期に移行するのに伴い、国際的な関心が薄れる傾向にあります。緊急援助期には、ユニセフにも各国の政府や日本ユニセフ協会などの国内委員会を通じて民間部門から援助資金が集まり、大規模な校舎の修復プロジェクトや教員の復帰、教材の提供を行うことができました。開発援助期に移行するに伴い、開発途上国共通の根本的な問題が東ティモールでも顕著化する中で、これからはより中長期的な視点に基づく開発援助と国際社会からの恒常的なコミットメントが求められています。
独立の歓喜から醒めた時、国民がそこに貧困と失望しか見出すことのできなかった場合、社会は再び混乱の危険を迎えるかもしれません。国際社会からの支援を得て独立を勝ち得ることのできた今、東ティモールが最も必要としているのは自立であり、問題の自己解決能力です。政府や当事者、住民を含めたエンパワーメントには他の開発途上国同様に多くの時間と労力を要します。私達に求められているのは開発途上国が抱えている根本的な問題に対する理解と、東ティモールを含む開発途上国の将来に対する継続的なコミットメントではないでしょうか。
|