ワンダフルライフ
#8 小さな命が消えた
真哉(熊谷知博)の容態が急変したとの連絡を受け、桐島(反町隆史)とみずき(長谷川京子)は病院へ急いだ。竜崎の会社の従業員が二人を責める。だが竜崎(沢村一樹)は真哉の病状は、胆道閉鎖症という肝臓の病気で、これまでにも急変を経験している、深刻ではないと二人を慰める。帰路に着いた二人だが桐島は責任を感じ病院に戻ろうとする。
キッズリーグの地区予選が間もなく始まる。桐島は子供たちを集め、決起集会を開くと共に、真哉の病状を説明した。桐島は真哉の分析ノートを手にして、「真哉はベンチに入れないが、このノートで一緒に戦うぞ」と、みんなの意気を上げる。
初戦が始まった。真哉ノートの指示通り、相手チーム投手の弱点を突き逆転勝利だ。ナインは病院の真哉を訪ね、初戦突破の報告。みずきが全戦、試合のビデオを撮って持って来ると約束し、真哉も大喜びである。もちろん保(西村雅彦)ら桃の木商店街の仲間も大感激。竜崎夫婦も真哉が楽しんでいることが安らぎになった。
桐島やナインのやる気と真哉ノートのおかげでジャガーズはまさかの快進撃。だが、桃の木ショッピングモールの拡張計画でジャガーズのグラウンドが潰される青写真は刻々と進められていた。竜崎は複雑な気持ちにさいなまされた。真哉はジャガーズの一員として大きな活躍をし、それを生きがいとして充実した入院生活を送っていたので、難病でドナー待ちだったが、手術できる体力を回復していたからだ。
「龍苑」で祝宴が行われていた。なんと決勝戦まで駒を進めたのだ。もちろん保のおごりである。決勝戦の相手は強豪デビルズだが、保も幸枝(濱田マリ)も涙ぐんで子供たちを見守る。その期待に応えようと子供たちも深夜の自主特訓に励んだ。真哉も竜崎と一緒にベッドでビデオを見ている。就寝時間になり竜崎が帰ろうとすると、真哉が「買って欲しいものがあるんだけど……」と言う。竜崎はその意外なおねだりに応えるのだった。
決勝戦を明後日に控え、練習に励んでいたジャガーズの元へみずきが放心状態で歩いてきた。桐島たちはその普通でない様子にみずきの周りに集まった。「真哉君が亡くなった…」。一同絶句し、病院に走った。だが、真哉のベッドはすでに片付けられていた。放心した桐島は、夜になって、肩に走る痛みも構わずバットをフルスイングし、悲しみを忘れようとするのだった。仲間も練習に身が入るはずもなかった。
明日決勝戦という夜、翔(川口翔平)は食事がのどを通らない。怒鳴りつけて食べさせようとする桐島。それをいさめる妻坂(八嶋智人)とのいさかい…と「龍苑」が緊張でピリピリしている。
そこへ竜崎がやって来た。みずきにビデオカメラを返しに来たのだ。そして竜崎の顔を見られない桐島に「お礼を言いにきた」と切り出した。意外な言葉に顔を上げた桐島に竜崎は続けた。「ドナーが見つからない限り、死は免れなかったんだ。俺は何もしてやれなかったが、真哉が『人生は短かったけど幸せだった』と言ってくれたなら少しは救われる」と荷物を出した。「死ぬ前にこれを買ってくれと言うんだ」。それはバットだった。「野球があいつを幸せにしてくれた。決勝戦に真哉も連れて行ってくれ」とグリップに「真哉」と書いてあるバットを桐島に渡す。受け取れない桐島に、竜崎は「頼むよ」とさらに懇願する。やっと手を出した桐島。竜崎は「ありがとう」と、安心したように微笑みながら出て行くのだった。
だが、桐島はみずきに「明日は俺の代わりに監督をやってくれ」と言い出す。「俺が無理をさせたから早死にしたんだ。何で辛いって言ってくれなかったんだ。野球なんかしなけりゃ、もっと生きられたんじゃなかったのか」とバットを見つめ泣き崩れるのだった。しかし、みずきは「辛いって言わなかったのは、そう思ってなかったからよ」と桐島を慰める。そしてビデオのスイッチを入れた。
画面にはジャガーズの試合シーンの後に録画された真哉の顔が現れた。
「ジャガーズは絶対勝ちます。監督、来年はこのバットでバッターボックスに立ちます」
そこには、真哉の明るい命の喜びがほとばしっていた。
ジャガーズとデビルズの決勝戦が始まった。真哉の遺志が乗り移ったように好ゲームが展開されている。6回表が終わって0対0。この裏で点が入ればサヨナラ勝ちだ。博文(伊藤拓也)がバッターだ。博文は真哉のバットを指差して桐島に言った。「そのバット、使っていいですか」。桐島が渡す。見つめる一同。会議を抜け出してやって来た竜崎も凝視している。バットをしっかりと握り締め博文はバッターボックスに立った。
キッズリーグの地区予選が間もなく始まる。桐島は子供たちを集め、決起集会を開くと共に、真哉の病状を説明した。桐島は真哉の分析ノートを手にして、「真哉はベンチに入れないが、このノートで一緒に戦うぞ」と、みんなの意気を上げる。
初戦が始まった。真哉ノートの指示通り、相手チーム投手の弱点を突き逆転勝利だ。ナインは病院の真哉を訪ね、初戦突破の報告。みずきが全戦、試合のビデオを撮って持って来ると約束し、真哉も大喜びである。もちろん保(西村雅彦)ら桃の木商店街の仲間も大感激。竜崎夫婦も真哉が楽しんでいることが安らぎになった。
桐島やナインのやる気と真哉ノートのおかげでジャガーズはまさかの快進撃。だが、桃の木ショッピングモールの拡張計画でジャガーズのグラウンドが潰される青写真は刻々と進められていた。竜崎は複雑な気持ちにさいなまされた。真哉はジャガーズの一員として大きな活躍をし、それを生きがいとして充実した入院生活を送っていたので、難病でドナー待ちだったが、手術できる体力を回復していたからだ。
「龍苑」で祝宴が行われていた。なんと決勝戦まで駒を進めたのだ。もちろん保のおごりである。決勝戦の相手は強豪デビルズだが、保も幸枝(濱田マリ)も涙ぐんで子供たちを見守る。その期待に応えようと子供たちも深夜の自主特訓に励んだ。真哉も竜崎と一緒にベッドでビデオを見ている。就寝時間になり竜崎が帰ろうとすると、真哉が「買って欲しいものがあるんだけど……」と言う。竜崎はその意外なおねだりに応えるのだった。
決勝戦を明後日に控え、練習に励んでいたジャガーズの元へみずきが放心状態で歩いてきた。桐島たちはその普通でない様子にみずきの周りに集まった。「真哉君が亡くなった…」。一同絶句し、病院に走った。だが、真哉のベッドはすでに片付けられていた。放心した桐島は、夜になって、肩に走る痛みも構わずバットをフルスイングし、悲しみを忘れようとするのだった。仲間も練習に身が入るはずもなかった。
明日決勝戦という夜、翔(川口翔平)は食事がのどを通らない。怒鳴りつけて食べさせようとする桐島。それをいさめる妻坂(八嶋智人)とのいさかい…と「龍苑」が緊張でピリピリしている。
そこへ竜崎がやって来た。みずきにビデオカメラを返しに来たのだ。そして竜崎の顔を見られない桐島に「お礼を言いにきた」と切り出した。意外な言葉に顔を上げた桐島に竜崎は続けた。「ドナーが見つからない限り、死は免れなかったんだ。俺は何もしてやれなかったが、真哉が『人生は短かったけど幸せだった』と言ってくれたなら少しは救われる」と荷物を出した。「死ぬ前にこれを買ってくれと言うんだ」。それはバットだった。「野球があいつを幸せにしてくれた。決勝戦に真哉も連れて行ってくれ」とグリップに「真哉」と書いてあるバットを桐島に渡す。受け取れない桐島に、竜崎は「頼むよ」とさらに懇願する。やっと手を出した桐島。竜崎は「ありがとう」と、安心したように微笑みながら出て行くのだった。
だが、桐島はみずきに「明日は俺の代わりに監督をやってくれ」と言い出す。「俺が無理をさせたから早死にしたんだ。何で辛いって言ってくれなかったんだ。野球なんかしなけりゃ、もっと生きられたんじゃなかったのか」とバットを見つめ泣き崩れるのだった。しかし、みずきは「辛いって言わなかったのは、そう思ってなかったからよ」と桐島を慰める。そしてビデオのスイッチを入れた。
画面にはジャガーズの試合シーンの後に録画された真哉の顔が現れた。
「ジャガーズは絶対勝ちます。監督、来年はこのバットでバッターボックスに立ちます」
そこには、真哉の明るい命の喜びがほとばしっていた。
ジャガーズとデビルズの決勝戦が始まった。真哉の遺志が乗り移ったように好ゲームが展開されている。6回表が終わって0対0。この裏で点が入ればサヨナラ勝ちだ。博文(伊藤拓也)がバッターだ。博文は真哉のバットを指差して桐島に言った。「そのバット、使っていいですか」。桐島が渡す。見つめる一同。会議を抜け出してやって来た竜崎も凝視している。バットをしっかりと握り締め博文はバッターボックスに立った。