ワンダフルライフ
#11 こんなつらい別れ
桐島(反町隆史)は、パイレーツからのバッティングコーチでの復帰申し入れに、心を揺らしていた。みずき(長谷川京子)は「おめでとう」と言うが本心からとは感じられないし、自分もそれで一件落着とは思えなかった。そんな折、「龍苑」で子供の家族達が桐島にユニホームをプレゼントしてくれた。現役時代と同じ背番号23。桐島は、何も言い出せず、ユニホームを重く感じた。その時、桐島に電話が入った。パイレーツの三田社長(升毅)である。「我々の熱意もわかってくれ」。三田の手には本物のパイレーツ23番のユニホームが握られていた。桐島は、自分の手元のユニホームを見つめ「トーナメントが終わるまでここを離れるわけには行きません。もう少し考えさせてください」と断るのだった。みずきは物陰からそのやり取りを聞き、桐島の苦悩を思いやった。
一方、妻坂(八嶋智人)は、父・憲明(小林勝也)の命令で嫌々ながら見合いをしていた。おためごかしで進む見合いであったが、相手の可奈子(大石恵)は清楚な美人であった。妻坂は「龍苑」に帰って、すぐ、「どうすればいいの」と桐島に相談したが、桐島は「愚痴たれるくらいなら、とっとと結婚して出て行け」とけんもほろろ、取り付く島がない。桐島も自分のことで精一杯なのだから。
決勝トーナメントが始まった。みずきが「龍苑」で準備をしていると、日下部(金子昇)が現れた。桐島の説得にやって来たのだった。日下部は「パイレーツの件ご存知ですよね」とみずきに声をかけた。さらに「あいつ、返事を保留しているんです。少年野球の大切さも、周囲の方々への気持ちも分かります。でも、あいつは野球界の宝なんです。どうか気持ちよく送り出してやってください」と頭を下げる。みずきには答えようがなかった。
グラウンドでは桐島が「ここからは遊びじゃない。負けたらこれまでのことが、全部無駄になるんだ」と子供たちに厳しく檄を飛ばしていた。これまでの桐島とは雰囲気が違う。子供たちはちょっと戸惑う。試合は勝った。「龍苑」で祝杯を上げるナインだが、桐島は「今日の勝ちは向こうのミスが理由だ。あんな試合をやったら次で終わりだ」と手厳しい。保(西村雅彦)らが「そこまで言うこたねえだろう」と言うほどである。みずきはそんな桐島の気持ちを察し、「行った方がいいと思うよ、パイレーツへ。迷っている方が子供たち可哀相。桐島さんは充分やってくれたわ」と桐島を元気付けるのだった。
妻坂の方は、可奈子との結婚を実家の方が勝手に決めてしまった。情けなくも、従う自分が悔しい妻坂。その話をミカ(芳本美代子)にする。「僕をさらって」と口に出してしまう妻坂に、ミカは「自信を持って」と励ますにとどまるのだったが…。
ジャガーズは桐島の厳しい指導の甲斐あってか、準決勝を突破した。「龍苑」でまた祝杯が上がるが、桐島だけは元気がない。と、そこへ、突然、スポーツ紙の記者たちがなだれ込んできた。「桐島さん、パイレーツのコーチに復帰されるそうですが…」。桐島だけでなく、驚く子供たち。桐島は、あわてて記者を外に押し出した。振り向くと「龍苑」店内は凍り付いていた。妻坂が言う。「本当ですか、今の話」。「ああ」。力なく答える桐島。子供たちが声を合わせて「行きませんよね、監督」「僕らの監督ですよね」と叫ぶ。桐島は下を向くしかなかった。
そんな妻坂は、父・憲明が直々に迎えに現れ、車に乗せられて去って行った。
また、みずきは、子供たちを前に、桐島の気持ちを伝えていた。「あなたたちがパイレーツから誘われたらどうするの。でも、あの人は迷っていたのよ。あなたたちは日本一幸せな野球少年よ」。何かに気が付いたようなナインだった。
決勝戦の日がやって来た。試合開始。だがナインの動きは固い。桐島のことを考えているのだろうか。2対0でリードを許した中盤、桐島はナインに言った。「やっぱりさ、野球は楽しんでやるものよ。思いっきり投げて打って、仲間と自分を信じてプレーする。俺たちがやってきたのは、そんな野球だよな」。子供たちは「ハイッ!!」と声をそろえた。
それから見違えるようにハツラツとプレーするジャガーズナイン。最終回裏を残して、3対2と逆転。しかし、2アウト2、3塁という一打サヨナラのピンチを招いていた。桐島がタイムを取ってマウンドに来た。取り囲むナイン。「緊張するだろう?」。うなずくナイン。「俺は『アガルこと』と『燃えること』は同じなんだ。楽しんでやりゃいいんだよ」と言ってベンチへ戻って行く。ナインから笑みが漏れた…
一方、妻坂(八嶋智人)は、父・憲明(小林勝也)の命令で嫌々ながら見合いをしていた。おためごかしで進む見合いであったが、相手の可奈子(大石恵)は清楚な美人であった。妻坂は「龍苑」に帰って、すぐ、「どうすればいいの」と桐島に相談したが、桐島は「愚痴たれるくらいなら、とっとと結婚して出て行け」とけんもほろろ、取り付く島がない。桐島も自分のことで精一杯なのだから。
決勝トーナメントが始まった。みずきが「龍苑」で準備をしていると、日下部(金子昇)が現れた。桐島の説得にやって来たのだった。日下部は「パイレーツの件ご存知ですよね」とみずきに声をかけた。さらに「あいつ、返事を保留しているんです。少年野球の大切さも、周囲の方々への気持ちも分かります。でも、あいつは野球界の宝なんです。どうか気持ちよく送り出してやってください」と頭を下げる。みずきには答えようがなかった。
グラウンドでは桐島が「ここからは遊びじゃない。負けたらこれまでのことが、全部無駄になるんだ」と子供たちに厳しく檄を飛ばしていた。これまでの桐島とは雰囲気が違う。子供たちはちょっと戸惑う。試合は勝った。「龍苑」で祝杯を上げるナインだが、桐島は「今日の勝ちは向こうのミスが理由だ。あんな試合をやったら次で終わりだ」と手厳しい。保(西村雅彦)らが「そこまで言うこたねえだろう」と言うほどである。みずきはそんな桐島の気持ちを察し、「行った方がいいと思うよ、パイレーツへ。迷っている方が子供たち可哀相。桐島さんは充分やってくれたわ」と桐島を元気付けるのだった。
妻坂の方は、可奈子との結婚を実家の方が勝手に決めてしまった。情けなくも、従う自分が悔しい妻坂。その話をミカ(芳本美代子)にする。「僕をさらって」と口に出してしまう妻坂に、ミカは「自信を持って」と励ますにとどまるのだったが…。
ジャガーズは桐島の厳しい指導の甲斐あってか、準決勝を突破した。「龍苑」でまた祝杯が上がるが、桐島だけは元気がない。と、そこへ、突然、スポーツ紙の記者たちがなだれ込んできた。「桐島さん、パイレーツのコーチに復帰されるそうですが…」。桐島だけでなく、驚く子供たち。桐島は、あわてて記者を外に押し出した。振り向くと「龍苑」店内は凍り付いていた。妻坂が言う。「本当ですか、今の話」。「ああ」。力なく答える桐島。子供たちが声を合わせて「行きませんよね、監督」「僕らの監督ですよね」と叫ぶ。桐島は下を向くしかなかった。
そんな妻坂は、父・憲明が直々に迎えに現れ、車に乗せられて去って行った。
また、みずきは、子供たちを前に、桐島の気持ちを伝えていた。「あなたたちがパイレーツから誘われたらどうするの。でも、あの人は迷っていたのよ。あなたたちは日本一幸せな野球少年よ」。何かに気が付いたようなナインだった。
決勝戦の日がやって来た。試合開始。だがナインの動きは固い。桐島のことを考えているのだろうか。2対0でリードを許した中盤、桐島はナインに言った。「やっぱりさ、野球は楽しんでやるものよ。思いっきり投げて打って、仲間と自分を信じてプレーする。俺たちがやってきたのは、そんな野球だよな」。子供たちは「ハイッ!!」と声をそろえた。
それから見違えるようにハツラツとプレーするジャガーズナイン。最終回裏を残して、3対2と逆転。しかし、2アウト2、3塁という一打サヨナラのピンチを招いていた。桐島がタイムを取ってマウンドに来た。取り囲むナイン。「緊張するだろう?」。うなずくナイン。「俺は『アガルこと』と『燃えること』は同じなんだ。楽しんでやりゃいいんだよ」と言ってベンチへ戻って行く。ナインから笑みが漏れた…