あらすじ
<第1回> <第2回> <第3回>

<第1回> 「千夏が寿退社!?」
 とある結婚式披露宴会場。ショムニの面々や満帆商事の社内の人間が顔を見せていた。ウエディングドレスの新婦は・・・・・・なんと千夏(江角マキコ)。
 「まさか千夏が結婚なんて」「東大卒の財閥御曹司だって」などの声が聞こえてくる中、神妙な表情で新婦と指輪を交換したばかりの千夏は、右京(石黒賢)をじっと見つめる佐和子(京野ことみ)に気づき、あることを思いつく。そして、さっそくショムニのリエ(高橋由美子)、梅(宝生舞)、佳奈(櫻井淳子)、あずさ(戸田恵子)に、「6月中に佐和子が“初体験”するかどうか一人10万円で賭けない?」と持ちかけた。  「あるわけない」と、相手にしないショムニの面々だが、千夏は自信満々。千夏は佐和子の表情から、勝ちを確信していたのだ。
 一方、千夏が辞めた満帆商事では、経営再建のため大リストラが計画されていた。6月中に200人辞めさせなければ、融資を打ち切ると銀行が言ってきているためだ。銀行は、そのために人事コンサルタントの青山(石丸謙二郎)らを送りこんできた。外資系企業に会社が吸収されてしまい、その経営責任を問われてクビになるくらいなら、社員をクビにしてしまおうという身勝手な社長(久保晶)らの考えとは対象的に、右京は海外プロジェクトに燃えていた。
 そんな右京に相変わらず想いを寄せる佐和子。しかし、新しい名刺を届けに行った佐和子は、右京から相変わらずの皮肉を返され、つれない感じである。がっかりする佐和子の脇を、社内のあらゆるところに出没する謎の“ニコニコ弁当おばさん”が通ったことを、佐和子は気づくはずはなかった・・・。
 そのころ、ショムニの部屋では、井上課長(森本レオ)が「坪井さんがいなくなり、随分寂しくなった」とこぼしていた。そんな井上に対して佐和子以外の4人は、「金持ち暮らしを自慢されるだけ!」と、千夏がいなくなって清々している様子。そんなことよりも千夏が担いでいた脚立を誰が担ぐのか思案していたぐらいだから。しかし、ちょうどそこへ佐和子が戻り、4人の視線が集中し、・・・当然、佐和子は「千夏の後継者はあなた!」と勝手に決められてしまった。
 脚立を肩に歩きながらも頼りない佐和子らショムニの面々と、ショムニに対抗している秘書課の美園(戸田菜穂)が廊下で行き会った。相変わらず両者とも火花を散らすが「リストラ計画を知っているの?最有力候補はあなたたちね」という美園の言葉に対して動揺してしまう佐和子。「しっかりして。千夏の後継者なんだから!」と、皆に後押しされても、どうも調子にのれない。
 一方、青山をクビ切り役にした満帆商事のリストラはどんどん進んでいった。ショムニの面々はもちろん、美園ほか秘書課のメンバー、右京の部下達も青山にリストラの対象に。辞表を出さない者は、農作業や害虫駆除、電話帳の書き取り・・・など研修と称した雑務を無理やりやらされ、嫌がらせも堂々と行われていた。次々と辞表を出していく満帆商事の社員に対してなかなかしぶといショムニの面々に、青山らはある計画を立てる。
 そんなショムニの佐和子に、牛丼チェーンの御曹司・赤木(山中聡)が近づいてきた。以前、社内で見かけた佐和子のことが気になっており、ぜひ我が社に、とヘッドハンティングに来たのだ。さらに「将来も考えて僕と付き合ってください」と迫る赤木に、佐和子もぐらつく・・・。
 そして、200人にあと1人と迫った満帆商事のリストラ。右京は社長以下重役たちの責任回避だと分かっていた。右京は、数合わせのリストラは許せないと、社長に迫ったがもちろん聞き入れてもらえない。大ホールで開かれた自主退社退職金説明会の会場で、右京は「もう我慢できない」と、胸ポケットから辞表を取り出そうとしたところ、佐和子が「会社で一番役に立たない私が辞めないと、優秀な人が辞めなくてはいけなくなるのはイヤです!」と辞表を出してしまった。
 目標の200通の辞表が集まった。しかし、右京は「会社に一番必要なのは人の力」と言い、やはり辞表を出してしまう。すると満帆の社員は次々と辞表を出し、ついには上層部と人事部以外の人間は一人残らず辞めてしまった。
 焦ったのは、青山や上層部。右京を必死に説得するが、「最初の200人も含めた全社員の辞表を撤回しないと会社には戻らない」という言葉に対し、「リストラができなきゃ外資に身売りするしかない」と社長らは必死の形相で保身を訴える。
 そこでついに千夏が口を開く。「別にいいじゃん、売っちゃえば」。「本気で会社のこと思ってんなら名前や形より社員のこと考えたら?でないと誰も会社に戻ってくれないよ」。・・・詰め寄る社員達に根負けし、結局辞表は全て撤回。全社員残留となった・・・!
 ・・・ということは、すでに出されていた千夏の辞表も無効に。「資産家夫人がまたOLに?」という声に対し「新婚旅行直前に婚約指輪を40万で質屋に入れていたことがバレて別れた」とあっさり言い放つ千夏。
 それよりも6月中に佐和子は“初体験”できるのか!?そこに、佐和子が気合いの入ったオシャレをして現れた。「初めて右京さんに誘われたんです」。果たして・・・??  その翌日、晴れやかな佐和子の表情。「ゆうべは・・・・・・どうも。右京さんにあんな趣味があるなんて意外でした。また誘ってくださいね!」「社内ではその話はするなって」。2人の会話から、千夏は勝利を確信。それに対して悔しそうなショムニ。
 「でも私あんなに興奮したの初めてで・・・・・・。最高ですね!宝塚!!」佐和子の言葉に立場は逆転した。

<第2回> 「新社長に玉の輿!?」
 満員電車に揺られ、必死に階段を駆け上がり、タイムカードの「AM8:00」の刻印にホットする井上(森本レオ)。井上のタイムカードは、毎日午前8時に出社、午後8時に退社という“8並び”の記述が規則正しく並んでいた。人呼んで「8時の男」。外資系会社に身売りして、社名が「G&S満帆カンパニー」に変わっても、井上の習慣は変わらなかった。
 一方、もう一人「8時の男」がいた。それは、新社長の前川(升毅)。ホテルのレストランで、人事の寺崎部長(高橋克実)らを相手に朝食を摂りながら「社員達の再教育から会社再建をスタートさせる」などと、ミーティングをしていた。毎朝8時に朝食ミーティングし、のし上がってきたことから、そのような異名がついたのだ。前川は、寺崎らから自分以外の「8時の男」の存在を聞き興味を持つが、「ただ8時に出勤し、退社するだけの男」と説明され、失望。改めて社員教育の徹底を誓うのだった。
 社名が変わり、千夏(江角マキコ)を中心に、庶務二課の面々が、名刺交換などの作業に追われ、社内を回っていると、美園(戸田菜穂)をリーダーにした秘書課の面々と今日もばったり。結婚して1週間で破局し、出戻った千夏を嫌味たっぷりに口撃する美園に対し、「出戻りもできないくせに!」といつものように千夏も負けていない。
 地位も、金もあり、そのうえイイ男。そんな新社長の目に留まり、あわよくば玉の輿に乗って・・・と分かりやすいOLたちの欲望が社内を渦巻く中、前川がさっそうと初出社してきた。そして、ショムニの面々は、ここぞとばかり開催される新社長の歓迎パーティーの準備に余念がない。さらに「この中の誰かが、新社長から強い思いを寄せられる」というリエ(高橋由美子)の予言に、気合も十分!
 一方、前川は「大事な契約がある。経費と時間の無駄」と、新社長歓迎パーティの中止を命じたばかりか、社長秘書と名乗り出た美園に「茶はいらん。スケジュールの管理も自分でする」と言い放ち、さらに右京(石黒賢)ら海外事業部には、「契約は自分一人でやる」と同席を拒否。前川は、右京を始め、美園、千夏、そのほか、全社員の反発に目もくれず、「社員は誰も信用しない」とリーダーシップを取り始めた。
 千夏らは相変わらず頼りない井上をせっついて、パーティを復活させようと図るが、前川は、井上をただの出入りの作業員と思っていたらしく、全く相手にしない。千夏らは、買い込んだ料理や酒を横目に、パーティの準備を中止せざるを得なかった。
 そんな前川は寺崎らを伴い、契約先の銀行に出かけていった。ところが、その銀行の柳沢頭取(清水章吾)は逆に「G&S満帆カンパニー」に向かっていた。なんと前川が、契約場所の変更を知らせる銀行からのFAXを見落としていたのだった!すぐに戻っても、約束の8時にはとても間に合わない。おまけに、社長の歓迎パーティーが中止になった社には残っている社員がいるかどうか・・・。考えた前川は“8時の男”井上を思い出し、自分が戻るまでの間、柳沢頭取らの接待を命じたのだが、何も分からない井上に銀行幹部はイラつく一方。おまけに、前川の車は大渋滞に巻き込まれてしまう。「やはりあの男じゃ荷が重すぎたようだ・・・」前川は契約不成立を覚悟していた。
 やっとの思いで満帆カンパニーに戻ると、そこには屋台が出ていて、飲めや歌えやの大騒ぎ。前川が頭を抱える一方で、社員たちは楽しそうに飲み食いして談笑している。「この一大事にこんなパーティーで浮かれて・・・・・・すぐにやめさせろ!」と怒り心頭の前川に、「集まってくれた社員の気持ちも大事にしてあげたら?」と言う千夏。そこへビールケースを運んできた井上。「何をしているんだ!!」・・・そこへ、楽しそうな社員たちに混じってロビーで柳沢頭取のうれしそうな表情が見えた。受付前には『柳沢頭取歓迎パーティー』の垂れ幕が。
 「前川社長、驚きました。実を言うと破綻しかけたこの会社の現状が気になって、わざわざ伺ったんですが・・・要らぬ心配でした」と前川に握手の手を差し出す柳沢。契約は無事成立した。「なかなか面白い社員をお持ちで羨ましいですね」という柳沢の言葉に、呆気に取られている前川がいた。
 翌日8時。「8時の男」井上は相変わらずギリギリで8時に出社し、タイムカードの8並びを守った。一方、前川は・・・たくさんの記者の前で、満帆カンパニーの改革案の記者発表を行っていた。「・・・・・・私は、G&S満帆カンパニーとして生まれ変わったこの会社を、社員達とともに立て直すべく、力を注いでいく所存でございます」。寺崎と岡野、そして右京や美園たちも拍手して前川を見つめた。
 そして庶務ニ課では、千夏たちがなにやら身だしなみを整えていた。そこに、足音が近づいてくる。「・・・・・・来た!」と一斉にドアを見る千夏たち。現れた前川が一同の視線に戸惑う。いよいよ食事の誘い・・・と、色目使いで前川に微笑みかける千夏たち。「今夜7時、柳沢頭取と会食なんだが、よかったら君もどうだ?」。
 ・・・・・・なんと、誘った相手は井上だった。井上は感激しながらも、「せっかくですが、私は8時までは会社にいることに決めていますし・・・・・・それに今夜は大切な方々のお誘いがありまして」と断ってしまう。
 前川との縁が全くなかった千夏たちは、相変わらず屋台で飲んでいる。そして、そこにはコップ酒の匂いをうれしそうに嗅いでいる井上の姿があった。「こうしてショムニの皆さんと一緒に飲ませていただく方が私には幸せですから」。変わり者である。

<第3回> 「昔の女にご用心!」
 ボーナスを全額賭け、外国人と腕相撲勝負をし、もちろんすっかり負けてしまった千夏(江角マキコ)。「ちょっと!この始末、どうしてくれんのよ」などとあずさ(戸田恵子)らショムニの面々に、せっつかれながら歩いていると、寺崎(高橋克実)がホステス風の女性と二人で輸入ブランド店から出てくるのに出くわした。
 寺崎は、行きつけのクラブ「ベニス」のホステス・ぴろりんをモノにしようと、「好きな物を買ってやるから」と意気揚揚とブランド店に入ったものの、もちろんあまりにも高過ぎて買えずに、情けなく店から出てきたところだった。ちなみにぴろりんがおねだりしたのは、ミラノの一流ブランド・アルジャーノのワンピース。
 G&S満帆カンパニーでは、右京(石黒賢)の誕生日が近づき、女子社員達はそわそわしていた。毎年、右京の誕生日には、右京の机はもちろん、海外事業部中が女子社員からのプレゼントであふれかえる。右京にあこがれる佐和子(京野ことみ)はもちろんだが、秘書課の美園(戸田菜穂)も右京へのプレゼントを何にしようか真剣に悩む一人だった。
 そんな騒ぎをよそに、右京は前川社長(升毅)に呼ばれた。話は「ミラノの一流ブランド・アルジャーノの日本での独占販売権を得ろ」との命令だった。そして、そのプレゼンのためG&Sの本社から派遣された女性を、と前川から紹介された右京は思わず動きが止まった。なんと、留学していた米大大学院時代の同級生・高見沢玲子(森口瑤子)だったのだ。「お久しぶり、右京君」と、玲子も親しげに右京にあいさつする。この二人には一体何が・・・!
 プレゼンまで4日。「4日じゃ無理」とグチをこぼしながらも、海外事業部は、玲子や右京の指示を受け、会場の手配など準備を始めた。
 そしてそこにある、全額400万円のアルジャーノのワンピースを見て、寺崎は「あれだよ、あれ!1着49万8千円!!」と岡野(正名僕蔵)に興奮気味に話し、いかにも欲しそうな目つき。しかし、もう一人その“400万円”を狙っている人物がいた!「あれを手に入れて売れば、賭けで負けた皆のボーナスの一部が戻る」と目をつけた千夏。毎年、右京のプレゼントをもらい受け、それを横流しして小遣いを稼ぐのが千夏らの恒例行事だったが、今年はその頼りのプレゼントが不況のせいでどうにも少ない。それでアルジャーノに目をつけたのだが、その話を聞いてがっかりしているのは、現実を知った佐和子だけだった。
 「破滅の足音が聞こえてきます」というリエ(高橋由美子)の占い通り、アルジャーノの独占契約のプレゼンの会場は見つからず、資料のイタリア語訳もなかなか進まない。苛立つ玲子は、しばしば右京に対して強い口調になった。実は、2人の間にはわだかまりがあった。それは、玲子が一方的に持った気持ちだったのだが・・・
 準備がどうにか整い、いよいよ明日がプレゼンという日、玲子のパソコンにメールが入る。それは「全員のモデルにドタキャンされた」という内容だった。玲子は、アルジャーノ東京店でのモデルファッションショーによるプレゼンが、この契約のカギと考えていた。他のモデルを探し始める玲子と右京だが、きょうの明日では見つかるはずもなく、モデルなしでプレゼンは始まってしまう。
 一方、千夏は、リエの「水の都に住む10人のビーナス」という“ご託宣”から、あることを思いついていた・・・。それは、ぴろりんたちにアルジャーノのモデルになってもらうということ!あずさの司会で、ぴろりん、けろりん、ぴょろりん・・・と10人の女の子たちがプレゼン会場に入ってくる。唖然とする右京と玲子。そして、怒り狂う社長のパオロ・アルジャーノと取り巻きたち。「アルジャーノを侮辱する気か!」という彼らの怒りの声に対し、千夏は「大枚はたいて買うのはモデルじゃない、アルジャーノを着たいと思っている客なんだよ!」と一喝。その啖呵に、パオロが感動し「素晴らしいプレゼンだったよ。最終契約にサインしよう」と態度を一転する。そして、プレゼンで使ったサンプルの高級婦人服を全部ぴろりんたちにプレゼントするというおまけまでついた。
 『G&S満帆カンパニー、アルジャーノと独占契約』という見出しが載っている新聞を見て、何故かげんなりしている寺崎。サンプルをもらったぴろりんは、お目当ての49万8千円のワンピースがどこにもないことに怒っているようだ。
 ・・・そのワンピースは、なぜか神谷がショムニに運んできた。どうやら玲子が千夏たちに「お礼」だといって渡してくれたようだ。400万には到底届かないが、喜ぶショムニの面々だった。「神谷、金庫の中に入れといて」。千夏もちょっとはホッとした様子。
 「あっ」。ところが、そのワンピースはきれいに半分に破れてしまう…。
 やはり簡単に高級婦人服を手に入れるということは至難の技のようだ。


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