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<第51回> <第52回> <第53回> <第54回> <第55回> <第56回> <第57回> <第58回> <第59回> <第60回><第51回>「お帰りなさい奈緒・・・」
二千年、春。殺人犯として刑に服していた奈緒が、四年ぶりに出所。龍一が出迎え、昔のままの奈緒のアパートに案内する。
大海に早く会いたいという奈緒に、龍一は大海と離婚したことを告げる。大海は行方知れずで、子どもは生まれなかったという手紙が届いたと。
編集長に昇進した龍一は奈緒が職場に復帰できるよう話をつける。
が、奈緒は大海を探すことしか頭にない。
そんな奈緒に、大海から「私のことは忘れて、あなたの新しい人生を歩んでください」と、メッセージが届く。
正人は奈緒に、自分の気持ちが今でも変わらないことを伝える。<第52回>「ギクシャク仕事復帰」
出所した奈緒は、姿を消した大海のことばかり考えていた。龍一は大海から、「奈緒を守ってほしい」と電話があったことを打ち明け、出版社への復帰は大海の願いだ、と訴えかける。
奈緒は仕事に復帰。最初のうち、典子らから白い目で見られるが、だんだんうちとけてゆく。
奈緒の頑張っている姿を見て、龍一も元気がわいてくる。明るくなった息子を見て、正子も嬉しい。
正子は奈緒を訪ね、龍一と結婚してくれないか、ときりだす。大海もそれを望んでいるのではないかと。奈緒は怒り、龍一にも抗議する。
奈緒は、正人の一途な思いにも応えることはできなかった。<第53回>「夢にまで見た再会」
奈緒は気難し屋の作家・川久保のエッセイを受け取りにいく。正人から、酒癖の悪い川久保に気をつけるよう注意されていたが、果して、泥酔した川久保に、無理矢理スナックへ連れていかれる。
しぶしぶそのスナック「メグ」へ入った奈緒は、振り向いたママの顔を見て、驚愕する。大海だった。
奈緒はからんでくる川久保を追い出して、大海との再会を喜ぶ。
が、大海は別人のように冷淡で、自分には新しい恋人がいる、と取りつく島もなく奈緒を追い返す。
ショックを受けた奈緒は龍一に、大海のことを言えなかった。
大海は三歳になる龍太とひっそり、暮らしていた。<第54回>「悲しい嘘をつかないで」
奈緒は再び、大海のスナックへ行き、本当に恋人がいるかどうか追及する。大海は、今の生活を邪魔しないでほしいと怒り、奈緒との友情も終わった、と冷たい言葉を浴びせかける。
翌日、奈緒は大海のアパートを探し当てる。すると、手伝いだという主婦・加代子がいて、龍太という男の子が現れる。龍太を見た奈緒は、一目で龍一の子どもだと確信する。
奈緒は大海と龍太のことを龍一に知らせる。龍一は大海のもとに駆けつけ、龍太を見て、涙ぐむ。そして、帰ってきてほしい、と訴える。
が、大海は過去には戻れない、と突っぱね、二度と龍太の前に現れないよう、龍一を追い返す。<第55回>「私を自由にして!」
夜、龍一は龍太へのプレゼントを持って、大海のアパートを訪ねる。
すると、龍太が熱を出してうなされていた。加代子はそんな龍太を見ても無関心だったので、龍一は龍太を病院へ連れていき、家で看病する。
龍一からの知らせで、大海が上条家に駆けつけてくる。龍一と正子は大海に帰ってきてくれるよう懇願するが、大海の決意は変わらなかった。
それからまもなく、大海から龍一に呼び出しの電話がかかってくる。龍一は期待して会いにいくが、大海は奈緒を幸せにしてほしいと訴える。
その頃、正子は大海のアパートで、龍太と遊んでいた。<第56回>「新しい愛の関係」
正子は大海の生き方を尊重して、今後は一人の女性としてつきあっていくことに決める。
龍一も大海を束縛するのをやめ、最後に一つだけ、大海に質問する。大海の自分への愛情を確認した龍一は、形式にこだわらないで大海と龍太のことをずっと見守っていきたい、と伝える。
そんな折、正子が過労で倒れる。大海は龍太を連れて見舞いにいく。正子と龍一のやさしさに改めて心を打たれた大海は、龍太に、正子が祖母で、龍一が父親だと打ち明ける。
大海は奈緒とも話し合い自分の気持ちを理解してもらう。奈緒は龍太を自分たち二人の子どもとして育てようと提案する。<第57回>「奈緒の悲しい秘密」
奈緒は仕事をしながら、大海のスナックを手伝い始める。
ある日、従業員募集の張り紙を見た若い女性・奈津樹が、大海の店にやってくる。奈緒は奈津樹を雇うよう大海に勧めるが、履歴書を見たとたん、雇わないほうがいいと言いだす。
怪訝に思いながらも、大海は奈津樹を雇うことに決める。奈津樹は政略結婚を嫌がり、仙台から家出してきたといい、父親は亡くなり、母親は行方不明だった。
翌日、奈緒は奈津樹に家族のことを尋ねる。自分を捨てた母親の顔は知らないといい、母の唯一の思い出の品、土鈴を見せる。
それを見た奈緒の顔色が変わる。奈緒も同じ土鈴を持っていた。<第58回>「母親とは名乗れない」
奈緒は大海に、奈津樹が自分の子だと打ち明け、奈津樹と別れたいきさつを語る。大海は親子の名乗りをするよう説得するが、自分の前科を気にする奈緒は、激しく首を横に振る。
翌日、奈津樹の祖父・幸造が、奈津樹を連れ戻しにくる。奈津樹は逃げ出し、行方がわからなくなる。
その夜、奈津樹が警察に保護される。奈緒が迎えにいき、自分の部屋に泊める。奈緒は仙台へ帰るよう奈津樹に忠告するが、奈津樹は反発する。
奈緒は幸造に会い、奈津樹を自由にしてあげてほしいと訴える。
が、幸造は承知しない。
奈津樹は無理に連れ帰るなら死ぬと抵抗。幸造は憮然として仙台へ帰る。<第59回>「余命、数ヶ月・・・」
奈緒に、仕事で五年間、フランスへ行く話が持ちあがる。迷った末、奈緒は行くことに決めるが、そんな矢先、激しい腹痛で倒れる。
奈緒は病院で精密検査を勧められる。大海は医師から、奈緒が癌におかされていることを告知され、愕然とする。
奈津樹が正人に好意を持つ。それを知った奈緒は、奈津樹と結婚してほしい、と正人に頼む。
大海から奈緒の病気のことを知らされた龍一は、奈緒のフランス行きを急きょ白紙に戻す。納得のいかない奈緒は、大海に、何を隠しているのか問い詰める。
大海は奈緒に癌を告知。奈緒は一秒でも奈津樹のそばにいたいから、病院には行かないと言いだす。<第60回>「想い出の海での別れ」
奈緒への片思いの苦しさから、正人は奈津樹と関係を持つ。自分が奈緒の身代わりだと知った奈津樹は、奈緒に、「仙台へ帰る」と別れを告げにくる。
奈緒は正人に、奈津樹が娘であること、そして、自分の病気のことを打ち明け、奈津樹を守ってやってほしいと訴える。
奈緒が入院。奈津樹が、正人にプロポーズされたことを報告する。
秋。奈津樹と正人の結婚式の日がくる。大海は奈緒を病院から連れ出し、教会へ駆けつける。奈緒の姿を見つけた奈津樹は、「ありがとう、おかあさん」と涙で抱きしめる。
その日、思い出の海で、奈緒は大海に抱かれながら安らかに息をひきとる。(終)