あらすじ
<第7回> <第8回> <第9回>

<第7回> 「傷ついた白衣の天使」
 救命センターにホームレスと見られる初老の男が運ばれてきた。だが症状は重く、担当の城島(谷原章介)も手の施しようがなく、数分後、米田の死亡が確認された。ゆき(須藤理彩)はみどり(唐木恵子)らにその後の処置を指図するが、死の直前、「・・・娘に会いたかった・・・」と無念の重いを聞いたみどりには、ゆきの冷静さが信じられない様子。「救命ってみんなそうなの・・・」みどりのつぶやきを振り払うかのように、ゆきは次の急患の受入れに走った。
 進藤(江口洋介)は、刃物を持った不法侵入者がたまき(松雪泰子)を襲おうとしたのを、取り押さえ、右手を負傷してしまった。しばらくは進藤抜きの体制を覚悟しなければならない。しかも・・・「よわったよなぁ、進藤先生カルテ整理とかしてくれるかなぁ・・・」小田切(渡辺いっけい)が心配そうにつぶやいている。だが、そこに偶然入ってきた進藤は、完治するまでは喜んでデスクワークに徹するという。「チームワークで乗り切りましょう!!」
 あれ以来、ゆきは、ずっと悩んでいた。患者の死に対して悲しめなかった自分。そして、ついさっきは、せめてあと一日・・・という家族の願いにも「本人の希望だから」と延命措置をしなかったたまきを見て、あまりに冷たすぎる!と感じた。ゆきは、死にゆく人とそれを見送る者、日々流れていくこの関係に、人間としてナースとしての限界を感じはじめていた。そして、そんな思いのまま現場にいたゆきは、患者の急変に気づかず、あやうく幼い命を落とす・・・という失態を演じてしまった。
 ゆきは、進藤にその思いを打ち明けた。進藤は数日前からナースキャップをつけていないゆきを見ていて、「ナース失格です」というゆきに、「自分でそう思うならそうだろ」と返すだけだった。
 医局に出入りの保険勧誘の大西照子(梅澤昌代)がまたやってきた。矢部(伊藤英明)にさかんに保険にはいるよう薦める。命を軽々しく口にすることに耐え兼ねた様子のゆき。 婦長の佐智(田根楽子)から休むことを進められ、ゆきは病院を後にした。そして、ベンチに腰掛けバックからナースキャップを取り出すと、意を決したようにキャップをその場に置き去っていった。
 その横をけたたましいサイレンを鳴らし通り過ぎて行く救急車。ゆきは思わず立ち止まった・・・・・・そして、たまらず救命センターに引き返していた。

<第8回> 「運命的な出会い」
  「どうしたの?あなたらしくないわね」。いつになく失敗の多い奈津(田畑智子)の様子に気付いたたまき(松雪泰子)の問いに、奈津は親が結婚を強力に進めてきて悩んでいることを打ち明けた。写真も送られてきて、東大医学部を卒業した優秀な医師との見合いは、次の日曜日に迫っている。「あの・・・香坂先生は結婚しないんですか?」 子供っぽすぎて、結婚なんて似合わないと言ったたまきに、奈津は思わずこう尋ね返したが・・・「考えたこともないわ」。きっぱりと言いきられてしまった。
 医局では、小田切(渡辺いっけい)、神林(小日向文世)らが外科の医師が元患者と結婚することになったらしいとタイミングよく盛り上がっている最中の誘いだった。結婚なんてとは言ってみても、やはり年頃の女性、たまき自身もふっと考えることもあるようだ。
 その日、馬場(宮迫博之)は、あるレストランで坂井千鶴(北川弘美)という女性を待っていた。実は千鶴は以前無理なダイエットがたたって脱水症状を起こし運ばれてきた馬場の患者だった。
 馬場は千鶴が美人なこともあり、親身になり励ました。結果・・・その直後、千鶴から『会いたい』とメールが届いたのだ。わくわく気分で千鶴を待つ馬場。だがそこで馬場の前に姿を見せたのは、どこから見ても見合いのために着物を着てきたという奈津だった。「なぜ、ここに?」。
 二人が、偶然の鉢合わせに慌てている時、救命センターには、路上で倒れてるところを発見されたという千鶴が再び運びこまれていた。
 診察にあたった進藤(江口洋介)は、救命士から中絶をしたらしいことを聞き、スカートついた出血、腕に出た発疹などから、それが違法な医療行為であることを確信した。
 その後、千鶴と対面し事情を聞いた馬場は、相手の男に知らせるべきだといきりたち、自ら相手の男・成島(橋本さとし)の元に出向いていった。
 だが、同席していた成島の彼女が逆上し、成島を刺してしまった。
 奇しくも同じ担当医・馬場のもとで、治療を受けることになってしまった千鶴と成島。馬場は、絶対に二人が顔を合わせることがないようにとナースらに頼む。医師という領分を越えて行動する馬場の様子が気にかかる進藤・・・・。

<第9回> 「君の手を握ってる」
「やっぱり無理か・・・」。小田切(渡辺いっけい)は心臓マッサージをする手をとめてつぶやいた。「え?まだ始めて10分ですよ?」いつになくあっさり手当てを止めた小田切に矢部(伊藤英明)は驚いて尋ねた。
 実はその患者はホテルから搬送されてきており、付き添ってきた派手な女は明らかに愛人と見られ、きっちりと身嗜みを整えている様子から、女は救急車を呼ぶまでの間に随分時間を費やしたとおもわれたのだ。蘇生はすでに手遅れだったのだ。
 矢部は城島(谷原章介)の説明にすべてを理解した。だが、この患者の死に疑惑を抱く人物がその後、救命センターに現れたのだ。それは妻の文子(立石涼子)。「主人は一人で死んだのでしょうか・・・?」。そして矢部は、この後この妻の応対にあたることになるのだった。
 その頃医局では、懇親会を屋形船でという企画が決定していた。幹事は心臓外科にいた頃から、馴染みの屋形船があるということで、たまき(松雪泰子)に決定。企画を聞いた進藤(江口洋介)も静かに賛同の意向を見せた、とそこに、神林(小日向文世)の妻の懐妊のニュースが届いたのだ!一気に沸き返る医局。
 その時、ホットラインが鳴った。搬送されてきたのはバイク事故の患者、黒木慎太郎(井澤健)と西山有香(白川みなみ)。軽症の女性に比べ男性の方は右腕に大きな傷を負って、出血も激しい。進藤は、即座に右腕切断!の処置を選び、この適切な処置は結果、慎太郎の回復を早めることになるのだが・・・。
 これを知った有香は思わずことばを失った。慎太郎は水泳で全日本強化選手に選ばれていたのだ。同郷で、ずっと付き合っているらしい二人・・・だが、有香には真実を打ち明けるには、まだ自信がないという。意識を取り戻した慎太郎は、首に巻かれたカラーのため自分の体を見ることができない上に、幻肢といわれる、切断した腕や足があるように感じる感覚に陥っているらしい。
 「早く言った方が本人のためです」進藤は、優しくいうのだが・・・・・・。


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