あらすじ
<第10回> <第11回> <第12回>

<第10回> 「奇跡を信じて・・・」
 倉石竜介(平沼紀久)は救命センターでは馴染みの顔だった。アクション俳優という常に危険と背中合わせの職業柄それもまた仕方のないことだったが、城島(谷原章介)、神林(小日向文世)ら、彼の治療を担当したことのある医師たちは、一応に倉石の役者魂に関心するばかり。
 そしてこの日怪我の手当てにあたった馬場(宮迫博之)も、そんな皆の思いに同意しつつ、倉石を心配して付き添う可愛いマネージャー槙原由子(村田和美)の存在を「健気だ」と羨ましさ半分で褒めるのだった。
 その直後、センターに三上幸二(須永慶)と三上圭子(田島令子)という中年の夫婦が搬送されてきた。共に自宅前で転倒してしまったらしい。
 だが妻の方は比較的軽症なのに対し、夫の方は意識がなく昏睡状態。進藤(江口洋介)もたまき(松雪泰子)も同時に不信感を抱いた。
 その後CT写真により、幸二は随分前から植物状態であることが判明。さらに小田切(渡辺いっけい)の元に届いた資料から、大手銀行の青森支店に勤務中に転落事故に遭い、脳挫傷が原因で植物状態になっていること。昨日突然、妻の圭子が病院に現れ、退院させると車で運んだことがわかった。転落事故は東京の自宅に到着した時に起こったもの。それにしても青森から東京まで、たった一人でなぜ夫を?進藤、たまき、小田切、矢部(伊藤英明)、だれもが圭子の行動を驚き、いぶかった。
 だが、矢部はその後やってきた三上の娘・絵里(国分佐智子)を見てもっと驚いた。絵里は矢部の高校時代の恋人だったのだ。数年振りの再会を喜ぶ二人。だが、矢部は絵里から父親に関して意外なことを聞かされた。
 幸二は東京支店にいた頃、銀行側の不正融資に荷担させられており、発覚した暁には責任を押しつけられ左遷させられた。転落事故も仕組まれたことではないかと・・・。矢部はにわかには信じ難く、それは絵里の憶測の範疇を出ないものだと思った。だが、数日後この時絵里の話したことは、新聞紙上をにぎわすことになった。
 『・・・不正融資、M担当課長は植物状態』
 港北大救命センターは、いちやくマスコミの注目の的となった。この状況にいち早く反応をしたのが、神宮教授(津嘉山正種)だった。神宮は、注目させている今は幸二の延命に努力すべきと主張。さらに、最近救命センターの採算がとれないことを指摘した。医者の本分として、営利目的に医療は出来ないという進藤と、救命センターの存続のためには、それも仕方ないことと思う小田切・・・スレ違う両者の思い。
 その日、救命に再び倉石が運ばれてきた。胸に大きな傷をおい、瀕死の状態。休みを利用して倉石の撮影を見にいっていたゆき(須藤理彩)が、進藤の指示のもと緊急処置を行ってきたのだが・・・。一瞬を争う緊迫状態の中、進藤は開胸し心臓を直接マッサージするという驚愕の処置を選択する。
 その頃ICU室のたまきは、幸二に覚醒の気配があることに気付き、手当てにあたろうとしていた。だが、妻の圭子はたまきの手を突然掴むと、「何もしないで」と懇願したのだった。

<第11回>「さよなら愛しき人」
 勤務先の銀行で不正融資に荷担していたらしい三上幸二(須永慶)が死亡した。その時主治医の進藤(江口洋介)にかわり治療にあたっていたたまき(松雪泰子)は神宮(津嘉山正種)らに呼ばれ事情を聞かれるが、結局翌日の事故調査委員会に小田切(渡辺いっけい)、看護婦の紗江子(木村多江)らと出席させられることとなった。
 小田切からその事を聞かされた進藤は、神宮と救命センターの間に挟まれた小田切が、心身ともにひどく疲れた様子が気に掛かるのだった。
 三上の死亡を書き立てた新聞を手にたまきが処分されるのか?と心配する馬場(宮迫博之)やゆき(須藤理彩)。だが調査委員会は意外な展開を見せた。
 三上の妻の圭子(田島令子)が救命処置は必要ないと言ったこと、家族の心境を思えばそれも仕方のない処置だったことをたまきは説明した。これについて神宮が全面的に支持。たまきを擁護する姿勢をとったのだ。これには進藤も驚いた。
 いつもは救命に対して苦言ばかりの神宮のはずが・・・。しかし神宮はまもなく行われる学長選挙を控え、対抗馬の教授に勝つことしか頭になかった。それでも、結局今回の件は不問に処されることになった。
 三上の娘絵里(国分佐智子)は、父に救命処置を取らなかったたまきを訴えると言い出した。矢部(伊藤英明)はそれを止めようとはしなかった。この時の矢部は、むしろたまきや進藤に対して批判的になっており、感情的にもなっていたのだ。
 そんな時、以前に貧血を起こして運ばれてきた鈴木比佐子(阿部美穂子)という女性が、死にも至るような不整脈の症状を起こしたのだ。比佐子の初療にあたっていた矢部は、ただの貧血と診断していたが・・・進藤は心電図の記録を見て「兆候は出てるじゃないか!自分の患者をいい加減に診るヤツに人のことを批判する資格はない」と激しく矢部を責めた。だが冷静さを失っていた矢部は、自分ばかり責める進藤が許せず、治療にも加わらず飛び出して行った。

<第12回>「緊急招集発令!守れ命の最前線!!救え!ひとつでも多くの命を・・・」
「誰かきてっ!はやくっ」。救命センターに婦長・大貫(田根楽子)の声が響き渡った。それに反応してセンターの入り口にむかった進藤(江口洋介)と城島(谷原章介)は、そこで倒れて動かない小田切(渡辺いっけい)を発見した。ストレッチャーの上で、初療室のベッドで懸命の心臓マッサージを繰り返す進藤と城島。知らせを聞きつけ神林(小日向文世)、馬場(宮迫博之)、奈津(田畑智子)、ゆき(須藤理彩)らも駆け込んできた。たまき(松雪泰子)や神宮(津嘉山正種)の顔もある。
 「医局長、目を覚ましてッ」「助けてあげてください!」祈るような思いの中、救命総動員での蘇生術は続けられた。そして、そんな願いと進藤らの必死の手当てのかいもあり、ようやく小田切に心拍が戻ったのだ。だが・・・心拍停止からすでに40分が経過。翌日になっても小田切は、神経改善の兆候もなく脳波も出ない脳死状態となってしまったのだった。
 「僕のせいです・・・」。矢部(伊藤英明)は、小田切が自分の戻りを一人外で待っていたのでこんなことになってしまったと自分を責めた。進藤には言葉もない。だが、この時すでに小田切の妻・三智子(宮田早苗)から、小田切が持っていたドナーカードが医局に提出されていたのだ。
 小田切が医師として人間としてドナーカードに託した思い。あとは家族の意思確認だけ・・・。救命の誰もが身を引き裂かれる思いでベッドの小田切を見つめていた。そして矢部は、この時の辛い経験がもとで救命を去り、志願して小児科にいってしまった。
 しばらくして、救命に新医局長・咲坂(中丸新将)が着任した。神宮の命でやってきた咲坂は、徹底した営利主義でいくことを宣言。ベッドの回転率をあげること、保険点数の高い薬を使うことなどを指示しはじめたのだ。それもこれもすべては、間もなく行われる学長選挙のためだった。救命の赤字をすこしでも削減することは、神宮の票を増やすことにつながる、だがさすがに進藤は黙っていられず、このやり方に反抗しはじめた。しかし咲坂は、「小田切先生の作った救命を続けたかったら」を決まり文句に進藤の言い分をあっさりとはねのけた。「それも仕方がない」と思う神林、城島。咲坂がやってきたことで救命そのもののにも亀裂が生じはじめていた。そして、たまきにシカゴ行きの話しが上がっていることも、そんなムードに拍車をかけることになってしまうのだった。
 だが、そんなある日こと、進藤が大腿骨骨折の患者の受けいれを咲坂の了解なしに受け入れたのだ。採算除外でただ患者を救うことに没頭できた医師たちの表情は久し振りに晴れやかだった。勝手なことをしたと責める神宮に対し進藤は「人の命を救う現場には物欲も企みも嫉妬もない。患者を助けたい、ただそれだけだ・・・俺たちにとって怖いことは患者の信頼を失うことだ」と、小田切の理想としていた思いを全員の前で言い放ったのだった。


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