第3回 2004年2月17日(火)放送 あらすじ

#3 越後屋騒ぎ

 秋山小兵衛(藤田まこと)は上野の山で、幼い子供が誘拐される現場に遭遇した。小兵衛は石松(ボブ鈴木)という誘拐犯の後を追い、杖で額を一撃した。さらに、子供を乗せて走り去ろうとする駕籠に杖を投げる。杖は駕籠かきの足にからまり、駕籠が放り出される。駆けつけた小兵衛が助けたのは、日本橋の越後屋の跡取り息子の伊太郎(中根健太)だった。
 小兵衛は伊太郎を連れて元の場所に戻る。湯島の長兵衛(峰岸徹)という岡っ引きが現場を仕切っていた。長兵衛は態度が横柄な上に、老人が一人で子供を取り戻せるはずがないと、小兵衛を怪しんだ。
 越後屋は江戸で五指に入る蝋燭問屋だが、跡取り息子が危機を救われたのに、翌日になって番頭の庄三郎(坂本あきら)が来るだけで、誠実さが感じられない。しかも小兵衛に、「事件のことは口外しないで」と言う。持参した菓子折りには小判が詰まっていた。
 越後屋の当主は伊太郎の父親の半太郎(平田一樹)だが、店の実権はその父親の弥兵衛(草薙幸二郎)が握っていた。店は一月前から、何者かにゆすられていた。店の内幕を表に出されたくなかったら、金を出せとの脅迫状が届いている。誘拐騒ぎの翌日にも千両出せとの脅迫状が来ていた。越後屋の相談相手になっている長兵衛は、「金を出した方がいい」と言うのだが、弥兵衛は、「いわれのない金は払わない」と拒絶している。
 小兵衛は事件の現場で、石松に刺された伊太郎の爺やの藤八(平井靖)のことも助けていた。小兵衛は藤八を見舞い、越後屋の内情を聞き出した。弥兵衛には外で生ませたお弓という若い娘がいた。そのお弓が宗吉という手代と恋に落ちた。身分違いの恋は許されず、二人は引き裂かれた。宗吉は真冬の蔵に閉じ込められ、高熱を出して死んだ。大番頭は責任を取って川に身投げをした。
 小兵衛は、越後屋を恨む者が相当いると思い、弥七(三浦浩一)と傘徳(山内としお)に当たるように頼んだ。ところが、越後屋は宗吉の実家には高額の見舞金を払い、親元に帰されたお弓は、窮屈な老舗の暮らしから解放されて喜んでいた。大番頭には親兄弟もなく、越後屋を恨む者はいなかった。
 三冬(寺島しのぶ)は、独身時代に住んでいた根岸の寮を訪ねた。寮の近くには石松がいて、美しい三冬にからむ。もとより武術で撃退する三冬だが、その巨体と額の傷が印象に残った。根岸には越後屋の寮もあり、そこには長兵衛の指示で伊太郎がかくまわれていた。越後屋を張っている弥七と傘徳も、人の動きでそのことを知る。
 小兵衛と大治郎(山口馬木也)らがその話をしているのを聞いて、三冬はいつもはいないならず者がいたこと、額を割られた大男が、長兵衛の手の者が固めている寮に大手を振って入ったことを言う。小兵衛は一瞬狐につままれたような顔になり、やがて、この誘拐事件も恐喝も、長兵衛が仕組んだものであることに気づいた。
 長兵衛は、宗吉が蔵で死んだことを知ると大番頭を責めて身投げさせ、これを種に越後屋をゆすって大金を奪おうと計画した。表では弥兵衛を助けるような言動をしながら、裏では実際にはいない恐喝犯人が存在するかのような工作をしていたのだ。
 弥兵衛を追い込むために、長兵衛は次の策を考えた。根岸の寮を腕利きの浪人たちに襲わせ、伊太郎を誘拐する。犯人が本気であることを見せるために、長兵衛が雇った護衛も全員殺すように浪人には言ってある。
 だが、石松を探し出した大治郎が石松の口を割らせ、小兵衛たちはこの計画をつかんだ。寮で待ち伏せをして、浪人一味を斬り、長兵衛を捕らえた。越後屋は店を閉めた。弥兵衛の商法について、「金と暖簾、実利と信用はあったが、人の心が欠けていた」と話す小兵衛であった。

キャスト

秋山小兵衛 … 藤田まこと
   ○   ○
秋山大治郎 … 山口馬木也
三冬 … 寺島しのぶ
おはる … 小林綾子
四谷の弥七 … 三浦浩一
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湯島の長兵衛 … 峰岸 徹
越後屋弥兵衛 … 草薙幸二郎
庄三郎 … 坂本あきら
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田沼意次 … 平 幹二朗
   ほか

ナレーター:橋爪 功

スタッフ

■原作
  池波正太郎
■脚本
  野上龍雄
■企画
  能村庸一
  武田 功
■P
  保原賢一郎
  佐生哲雄
  足立弘平
■美術監修
  西岡善信
■監督
  小野田嘉幹
■音楽
  篠原敬介
■制作
  フジテレビ
  松竹

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