父、市川右太衛門の遺志を継ぎ
一時代を築いた御大、市川右太衛門の映画『旗本退屈男』シリーズ。主人公、早乙女主水之介の豪快な役柄と派手な衣装、華麗な殺陣は多くのファンを惹き付けてきました。しかし、『退屈男』に一番惚れ込んでいたのは右太衛門さん自身とも聞きます。96年フジテレビのドキュメンタリー番組『米寿の退屈男』を収録した際、「100歳になってもこの役だけは渡したくないね。主水之介の衣装から所作まで、何から何まで自分で考えてつくり上げたのは私だからね」と言っていた右太衛門さん。これまでも北大路欣也は舞台やドラマで『退屈男』を演じたことがありますが、右太衛門さんは息子の晴れ舞台に喜ぶ半面「退屈男はおれの役」と話していたといいます。それほどの思い入れだったのです。その御大が亡くなったのが99年。この度三回忌を前にして、この尊敬する俳優としての市川右太衛門の当たり役を、息子、北大路欣也が追悼の意を込め、真の意味で継承します。『忠臣蔵』の大石内蔵助を成し遂げた北大路が21世紀に新たに創り上げるのが、この『旗本退屈男』です!