第11回 2004年3月16日(火)放送 あらすじ

#11 サヨナラ凛

 徹朗(草なぎ剛)が洋食屋で働いている間、義朗(大杉漣)が家事を手伝ってくれることになった。徹朗は帰宅が遅くなって、凛(美山加恋)の寝顔しか見れなくとも満ち足りていた。だから凛の担任の石田(浅野和之)にも家庭裁判所で審判を進めていることを打ち明けた。「教師として子供に本気で接することの意味を改めて考えるようになりました」。石田も凛と真剣に向きあうことによって、自らの生き方を変えたのだ。
 美奈子(長山藍子)は家庭裁判所の調査官から徹朗と凛の暮らしぶりをたずねられた。「父親として一生懸命やってくれてますが、正直いたらないところもあると思います」。迷った挙げ句にそう答えた。そしていま一度可奈子(りょう)の気持ちを確かめずにはいられなかった。「これからは何があっても凛ちゃんのことを一番に考えてね」「約束する」。可奈子はきっぱりと言いきった。
 美奈子の陳述書は次の審判に提出された。「作れる料理はわずかですね。母親なら今すぐ栄養のバランスのとれた料理を作ることができます」。可奈子側の弁護士に厳しく追及された徹朗は黙りこんだ。「美奈子さんは可奈子さんの実母で、信用性に欠けます」。すかさず徹朗側の弁護士は次回に美奈子への反対尋問を要請した。
 「本当に凛のために銀行を辞めたのね」。可奈子は宮林(東幹久)から徹朗の退職のいきさつを教えられて驚いた。宮林も審判を打ち明けられてショックを受けた。と同時に可奈子の不安を見抜いた。「凛ちゃんが小柳をドンドン好きになるのが怖いんだろ?」。可奈子は何も言い返せなかった。
 ゆら(小雪)が凛の願い事を徹朗に伝えてくれた。「一度でいいから、お父さんとお母さんと3人で遊園地に行きたいって」。徹朗は戸惑った。「どうしたらいい?」「小柳さんが思ったとおりでいいんじゃないですか」。ゆらの一言で徹朗は確信した。
 次の休日、徹朗と凛は遊園地にむかった。「おはよう」。可奈子が待っていた。凛は2人と手をつなぐと元気よく引っ張っていった。たくさんの乗り物にのった。可奈子は徹朗と凛の仲の良さに内心ショックを受けていた。だから実家に帰るなり、育児日記と写真アルバムを引っ張りだした。凛が生まれた日から家を出るまでの7年間、1日も途切れることなくつけてきたものだ。「凛との思い出、終わらせたくない」。日記を抱きしめる娘の背中を美奈子はじっと見つめた。
 可奈子は日記とアルバムを家庭裁判所に提出した。「これはなかなか強力かもしれません」。弁護士から知らされた徹朗は後悔の念にかられた。凛が生まれた当初は、可奈子からよく凛の話を聞いた。しかし仕事が忙しくなるにつれ、徹朗は可奈子の話に耳を傾けなくなった。夫婦げんかが続き、やがて可奈子は何も言わなくなった。凛の歩みを徹朗はまったく知らなかった。「どうしてもっと早く、大切なものに気づかなかったんだろう」。声を震わせて悔いる徹朗をゆらは諭すように慰めた。「いいじゃないですか。やっと気づけたんだから」。
 美奈子の反対尋問が始まった。可奈子側の弁護士は徹朗では凛の世話を十分にみることができなかった実例を並べたてた。「つまり小柳さんは、父親失格ということですね」。美奈子はじっと黙っていたが、しばらくすると吹っ切れたように口を開いた。「いえ、徹朗さんは立派な父親です」。予想外の証言に可奈子はおろか、徹朗も自分の耳を疑った。美奈子の決定的な一言で、徹朗側の弁護士は反対尋問を見送った。「決定は追ってお知らせします」。審判官が締めくくった—。

キャスト

小柳徹朗(30) … 草なぎ 剛
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北島ゆら(29) … 小雪
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大山可奈子(30) … りょう
  ・
宮林功二(32) … 東 幹久
坪井マミ(25) … 山口紗弥加
岸本 肇(24) … 要 潤
石田和也(42) … 浅野和之
勝亦亮太(29) … 大森南朋
谷川亜希(29) … 田村たがめ
小柳 凛(7) … 美山加恋
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小柳義朗(59) … 大杉 漣
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大山美奈子(58) … 長山藍子

スタッフ

■脚本
  橋部敦子
■プロデューサー
  重松圭一(関西テレビ)
  岩田祐二(共同テレビジョン)
■アソシエイトプロデューサー
  石原 隆(フジテレビ)
■演出
  三宅喜重(関西テレビ)
■音楽
  本間勇輔
■制作
  関西テレビ
  共同テレビ

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