第1回 2004年1月6日(火)放送 あらすじ

#1 離婚の朝

 新築のおしゃれなマンション。小柳徹朗(草なぎ剛)はいつもの朝のようにダイニングテーブルで新聞を読みながらココアを飲んでいた。
 「話があるんだけど…」。
 洗濯をおえた妻の可奈子(りょう)が静かにきりだした。
 「離婚してください」「朝から冗談、やめてくれよ」。
 しかし加奈子が本気と気づいて、徹朗は動揺した。
 「とにかくなるべく早く帰ってくるから、ちゃんと話そう」「こんな時に会社行くの?」。
 それでも徹朗は逃げるように家を出た。
 都市銀行の法人営業部。それが徹朗の職場だ。2歳年上ながらシングルの先輩、宮林功二(東 幹久)、部下の坪井マミ(山口紗弥加)と岸本肇(要 潤)、そして上司の井上啓一(小日向文世)が同僚だ。
 「今夜、得意先の宴席に出てくれないか?」。
 一瞬ためらったが、仕事第一の徹朗は断らなかった。だから帰宅は遅くなった。
 「ただいま」。部屋を明るくして驚いた。可奈子のものすべてが消えていた。もちろん本人も。

 翌朝、7歳になる一人娘・凛がいることに気づいた。
 「なんでいるんだよ」。可奈子は一人娘の凛だけ残していったのだ。
 「お母さんは旅行に出かけたんだ。急いで支度しなさい」。そうは言ってみたが、家の中のことはすべて可奈子任せだったため、着替えだけでもひと苦労。娘と2人きりの朝食は気まずい。
 「お母さん、いつ帰ってくるんですか?」。小学生らしからぬ他人行儀だった。徹朗は、凛のことがよくわからない自分に気づいた。徹朗の返事はその場しのぎで、トイレにいきたがる凛を急かして、徹朗は家を飛びだした。

 会社に着くと、「可奈ちゃん、出ていったって?」。宮林からいきなり聞かれて徹朗は息をのんだ。可奈子から電話がかかってきたという。
 「パリへ行くらしい。子供はお前に育ててほしいって」。まるで事務連絡だ。
 「ふざけてる」。いったい可奈子は何が不満なんだ。徹朗には離婚の理由がまったく思い当たらなかった。

 「ただいま」。徹朗がコンビニ弁当を下げて帰宅すると、トイレから見知らぬ女が出てきた。
 「凛ちゃんのお父さんですか?」。凛に英語を教えてくれている家庭教師の北島ゆら(小雪)だ。
 「奥様、今日はどうされたのですか?」「旅行なんです」。本当のことを言うわけにはいかない。凛は少し元気がなかったらしいが、ゆらは何事も気づくことなく帰っていった。

 徹朗がホッとしたのも束の間、今度は可奈子の母親、大山美奈子(長山藍子)がやって来た。
 「何が原因なの?」「まったくわからなくて」。そう答えるしかない。
 「凛ちゃんの面倒みましょうか?」。願ってもない申し出に徹朗は内心しめたと喜んだが、美奈子はすぐに考えを改めた。
 「やっぱり実の父親と暮らすのが一番よね」「も、もちろんです」。徹朗は良き父親を装った。
 その後徹朗は、美奈子の家にいかないかという話を凛にすると、凛は涙を流した。
 「あ、この話はもういいから」。徹朗は、美奈子の家の近くに転校させようと考えていたのだ。
 29歳にして念願のマイホームを建てた。夏には家族でハワイにも行った。離婚の原因がわからない苛立ちはいずれ凛に向けられた。
 「早く寝なさいって言っただろ」。
 「ごめんなさい」。
 しばらくすると、徹朗はようやく可奈子を見つけた。
 「どうして離婚したいんだ?」「本当にわからないの?」。
 たったそれだけのやりとりで可奈子は徹朗の前からタクシーで走り去った。徹朗は凛の担任教師の石田(浅野和之)から呼びだされた。凛が毎日忘れ物をするようになったという。
 「奥様、どうかされたんですか?」。徹朗は屈辱をグッとこらえた。
 休みは朝からたまりにたまった家事に悪戦苦闘することになった。洗濯機すら解説書がないと動かせない。可奈子がいないと何がどこにあるのか皆目わからない。徹朗の苛立ちはつのるばかり。だから凛のたどたどしいハーモニカについ怒鳴ってしまった。
 「うるさいんだよ」。
 その後、仕事中に凛からひっきりなしにケータイがかかってくるようになった。
 「まだ仕事だと言ってるだろ」。凛の身の上に何が起こったかも知らずに─。

キャスト

小柳徹朗(30)… 草なぎ 剛
  ・
北島ゆら(29)… 小雪
  ・
小柳可奈子(30)… りょう
  ・
宮林功二(32)… 東 幹久
坪井マミ(25)… 山口紗弥加
岸本 肇(24)… 要 潤
石田和也(42)… 浅野和之
勝亦亮太(29)… 大森南朋
谷川亜希(29)… 田村たがめ
小柳 凛(7)… 美山加恋
  ・
小柳義朗(59)… 大杉 漣
  ・
井上啓一(48)… 小日向文世
  ・
大山美奈子(58)… 長山藍子

スタッフ

■脚本
  橋部敦子
■プロデューサー
  重松圭一(関西テレビ)
  岩田祐二(共同テレビジョン)
■アソシエイトプロデューサー
  石原 隆(フジテレビ)
■演出
  平野 眞(フジテレビ)
■音楽
  本間勇輔
■制作
  関西テレビ
  共同テレビ

バックナンバー