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<第1回>
 鍋島権(木梨憲武)。公立天地高校で歴史を教えている。恋愛経験はあるものの独身。35歳。決断力もなく、行動力もない。そして、何よりも勇ましい心のかけらさえない。
 同僚の鬼頭雅也(吹越満)は、権とは正反対の性格。自分の人生のすべてを教育に捧げていて、生徒だけでなくあらゆる人たちに熱弁を振るう昔ながらの熱血教師である。
 行動力のない権が唯一出かけるところが、紺野デンタルクリニック。歯科医師の真理子(羽田美智子)を好ましく思っているからだが、彼には高嶺の花。何もいえない。
 その権に、教頭の荒川(小木茂光)が見合い話を持ち込む。真理子のことを思い浮かべて気はすすまないが、写真を見せられて驚く。相手は真理子だったのだ。
 ホテルで見合いをした後、権と真理子はデイトを重ねる。だが、権は「結婚して」と言えない。ところが、歯の治療中に痛みで奇声をあげた際に言ってしまい、真理子も「はい」と応える。
 その後も権の行動は変わらないが、心の中は少し変わってきたらしい。鬼頭の誘いで飲みに出かけた権は、したたかに酒を飲んで自分の部屋に帰ったのも分からないほど。
 二日酔いの権は、隣に寝ていた女にも気づかず、飲みかけの牛乳の入ったグラスを差し出されて気づく。高校生の珠子(榎本加奈子)だった。「お金」と手をだされた権は2万円を渡してしまう。
 「援助交際、破談」と連想した権は早く真理子との結婚話を進めようと真理子の家を訪れ、父親の泰三(すまけい)と母親の静江(市毛良江)に真理子との結婚を許してもらう。
 そこへ、真理子の妹の珠子がはいってくる。高校3年、留学先のアメリカから帰ったばかりと紹介された権は一夜を共にしてしまった女性と「似ている」とガクゼンとするが、シグサも話しっぷりも違い、ちょっと安心する。
 真理子と真理子の両親に送られて帰る権が、珠子の横を通り過ぎようとした時、珠子が小声で「お姉ちゃんには黙っててあげる」と言う。裸で泊まっていたのは婚約者の妹。権はパニックに陥った。

<第2回>
 情けない男の代表、天地高校世界史の教師、鍋島権(木梨憲武)は、歯科医の真理子(羽田美智子)と婚約が決まり、「結婚までの歩み」ノートを作る。日常生活にも変化が起きそうだ。
 ある朝、権がゴミを捨てに出かけるといつのまにか、部屋に真利子の妹で教え子の珠子(榎本加奈子)が入ってきて、いろいろと指図した挙げ句、一緒に登校することなる。
 権は真理子に電話し、フレンチレストランでデートの約束をするが、真理子は現われない。1時間30分後に断りの電話が入る。その時、真理子は不倫相手の外科医、徹(沢村一樹)と一緒だったのだ。
 天地高校では進路指導の個人面接が行われるが、権の心はここにあらず。現われた珠子の携帯電話で真理子に電話すると、出てきたのが男の声。「男の人」と言う権、珠子は「彼氏かな」。 そこへ、真理子からの言い訳の電話が入り、翌日の3時にクリニック近くの喫茶店で会うことになる。だが、またもすっぽかされた権は、婚約者にすっぽかされた男の話を同僚たちがしているのを耳にし、「婚約破棄かも」と思う。
 権は珠子の個人面接もウワの空だったが、真理子の誕生日を思い出し、珠子の携帯電話で真理子に電話し、前にすっぽかされたフレンチレストランでのデートを取り付ける。
 だが、クリニック歯科衛生士の千春(川津春)は現われたものの、真理子は現れない。ようやくかかってきた電話で、真理子はスタッフが祝ってくれているという。それを聞いて権はがっくり。気落ちした権の前に現れた珠子を家に送っていくが、権は車の中で重なり合う真理子と徹のシルエットを目にし、「終わった」とつぶやく。
 その翌日、珠子が廃人同様の権に、食事に誘う真理子の言葉を伝える。場所はホテルのロビー。なかなか現れなかった権は、真理子の前に立ち、シーザーの武勇伝を告げた後、「愛してます」といって姿を消す。その権の後を追ってきた珠子の携帯電話が鳴り、真理子の声が「鍋島さん大好き」といっているのを聞いた権は、またもや明るい表情を取り戻す。

<第3回>
 毎日をことなかれ主義で送る天地高校教師・権(木梨憲武)は、同僚とも深く付き合おうとしない。わずかに、婚約者で歯科医の真理子(羽田美智子)の妹で、教え子の珠子(榎本加奈子)だけが、なぜか付きまとう。
 歴史準備室の権の椅子に座っていた珠子を追い出した権は、歯の治療に真理子のところへ行く。自分が最後の患者と知った権は、真理子をデートに誘うが、つれなく断られてしまう。
 その帰り道、権は女性が苦しそうに倒れる場に居合わせる。呼びかけで現れた徹(沢村一樹)が心臓マッサージをして蘇生させる。徹は外科医で真理子の不倫相手、そして、権が真理子の婚約者だと知っている。
 翌朝、3年G組の部屋では、京子(園原佑紀乃)が携帯電話で恋人の北斗(永山たかし)といちゃついている。珠子に気がある聡司(井澤健)に「好きな奴いる?」と問い掛けられた珠子は「いる」と答えるが それが誰なのかは不明。
 職員室では鬼頭が、訪れてきたアメリカ人と楽しそうに英会話を交わしている。その夜、街で徹が米人女性としゃべっている姿を見た権は自分も英会話を勉強しようとして珠子にからかわれる。
 日曜日、権の部屋を真理子と母親の静江(市毛良枝)が訪れる。結婚の話をつめにきたのだ。そのころ、デート中の聡司と珠子の前で京子と北斗が痴話ゲンカを始める。一方、権の部屋を調べた静江はシーザーの胸像がよく分からない。
 翌日、3年G組の教室で聡司の5万円がなくなる。権は、その処置をめぐって失敗し、やってきた鬼頭がカッコよく解決して喝采を浴びる。権は生徒ばかりか、同僚からもバカにされてしまう。
 夕方、落ち込んだ権が屋上に上ると、「北斗」と叫ぶ声が聞こえて京子が靴を脱ぐ姿を見掛ける。生徒たちも駆け付けはじめる。うろたえた権は、「早まってはいけない」と言い残し、あたふたと姿を消す。「また逃げるのかよ」と嘲笑する生徒たち。
 「俺に任せろ」と言う鬼頭が駆けつけ、説得し始める。そのころ、権はゲームセンターにいる北斗を見つけ、京子を助けてくれと頼む。
 鬼頭の説得は難航している。そこへ、権と北斗が駆けつけるが、時すでに遅く、京子は鬼頭の胸の中に。ただ、北斗からどのようにして権に説得されたのかを聞いた珠子だけは、彼のささやかな勇気を認めるのだった・・・。


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