FNSドキュメンタリー大賞
フジテレビの系列28局が参加する「第14回FNSドキュメンタリー大賞」の受賞作品が決定!

大賞 『黒太郎一家の10年〜ナベヅルと暮らす村・八代〜』
(テレビ新広島)
優秀賞 『ある出所者の軌跡〜浅草レッサーパンダ事件の深層〜』
(北海道文化放送)
『有沙と私 それぞれの壁〜日本に嫁いだ中国人妻を追って〜』
(福井テレビ)
特別賞 『事件報道に奪われた妻』
(岡山放送)
『軽トラ行商は命 84歳魚売りばあちゃん物語』
(サガテレビ)
『むかし むかし この島で』
(沖縄テレビ)

 フジテレビの系列28局が番組制作能力の向上と、そのノウハウの蓄積を図るという趣旨のもと、ドキュメンタリー作品を競い合う「第14回FNSドキュメンタリー大賞」の審査会が12月15日、フジテレビで行われた。
 厳正な審査の結果、大賞『黒太郎一家の10年〜ナベヅルと暮らす村・八代〜』(テレビ新広島)優秀賞2作品に『ある出所者の軌跡〜浅草レッサーパンダ事件の深層〜』(北海道文化放送)『有沙と私 それぞれの壁〜日本に嫁いだ中国人妻を追って〜』(福井テレビ)、特別賞3作品には下記作品が選ばれた。
 来年1月27日に帝国ホテルで行われる贈賞式では、大賞を獲得したテレビ新広島に500万円、優秀賞にはそれぞれ300万円、特別賞にはそれぞれ100万円が贈られる。
 なお、大賞作品を中心にした番組が来年1月29日(日)『決定!FNSドキュメンタリー大賞』(仮)として放送される予定<16時〜17時25分>
 今回の大賞に選ばれたテレビ新広島の作品は「ナベヅルの生態をきっちり把握して取材し、映像におさめるのは非常に難しい作業だが、10年の長期にわたり、丹念に追いかけている。特にナベヅルがシベリアに行く“北帰行”を撮るのは一発勝負で、相当粘り強い取材が必要。黒太郎というキャラクターの強い鳥に目をつけ、黒太郎の妻ヅルのけがなど、作品にドラマ性がある。また、ナベヅルと地域とのかかわり、地域の人々が野生動物の生態を理解して、ナベヅルと適度な距離を保ちながら、いい関係を築いている様子をしっかりと描いている」と審査員の高い評価を得た。

大賞 『黒太郎一家の10年〜ナベヅルと暮らす村・八代〜』(テレビ新広島)
優秀賞 『ある出所者の軌跡〜浅草レッサーパンダ事件の深層〜』(北海道文化放送)
『有沙と私 それぞれの壁〜日本に嫁いだ中国人妻を追って〜』(福井テレビ)
特別賞 『事件報道に奪われた妻』(岡山放送)
『軽トラ行商は命 84歳魚売りばあちゃん物語』(サガテレビ)
『むかし むかし この島で』(沖縄テレビ)

《大賞受賞作品のあらすじ》

 山口県周南市熊毛町の八代盆地。10月になると、この村に“客人”が訪れる。その客人とは、『ナベヅル』。シベリアの湿原に生息するナベヅルは、10月になると越冬のため、はるばる2000kmも離れた南方の地、八代へやってくる。
 かつて、ナベヅルは身近な鳥として、日本各地で見ることができた。しかし、戦中戦後の食料難による捕獲によって、その数は激減し、今では八代が本州で唯一のナベヅルの飛来地となった。
 元来、海や川の沿岸など湿地帯を好むナベヅルがなぜ、山里の八代だけに飛来するのか? それは明治時代から続く、八代の住民たちの取り組みにあった。
 明治20年、日本各地で鳥が乱獲され、その数が減少した事から、密かに猟師がナベヅルを捕獲しようと、八代に来るようになった。しかし、八代の住民は、半鐘を打ち鳴らし、手に鋤や鍬を持って猟師からナベヅルを守った。そして『八代村のツルの捕獲を禁じる県令』をつくった。これが日本初の自然保護条例である。
 ナベヅルの絶滅を危惧する八代の住民たちの取り組みは、後世へと受け継がれ、今でも秋になると、ナベヅルが飛来する前に、ねぐらとなる休耕田の草を刈って水を撒いたり、田んぼにツルの模型をたてて、誘致を促す。それでもひとたびツルがやってくると、彼らの領域には決して足を踏み入れず、遠くからそっと見守ってやる。八代の子ども達は、観察記録を“ツル日記”にしたため、歓迎の意を表する。
 35年間、野鶴監視員を務めた弘中数実さん(現84歳)も、「ツルの住めない場所は、人間の住めないところだ」と、ナベヅルの存続を懸命に訴え続けてきた住民の一人だ。
 そんな八代の住民にとって、ナベヅルの存在とは…?
 番組では取材をすすめていくうちに、ある1羽のナベヅルと出会った。名前は“黒太郎”。名づけ親は地元の小学生で、毎年、妻ヅルと子ヅル2羽を引き連れて八代にやってくる。八代のツルの中で最も強くて、最も優しいリーダー的存在。いわば“八代の番長”でもある黒太郎は、ナベヅルの世界にも、まさに人間さながらの愛情物語が存在することを教えてくれた。家族の絆、夫婦愛、そして最愛なるものを失う悲しみ…
 野生動物とは思えない極めて人間的な感性をもつ、黒太郎一家をずっと見守ってきた八代の住民にとって、彼らはペットや動物ではなく『仲間』同然なのである。


<出演者>

 ナレーター 石田ひかり

<スタッフ>

 プロデューサー 川上伸一(テレビ新広島)
寺田治司(TSSプロダクション)
 ディレクター 白神道空(TSSプロダクション)
 構成作家 司 透
 編集 寺田治司
白神道空
 制作 テレビ新広島

2005年12月19日発行「パブペパNo.05-463」 フジテレビ広報部