死との約束

インタビュー

本堂礼一郎役 山本耕史さん

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今回の出演のお話がきたときの率直な感想は?

『オリエント急行殺人事件』を見た時に、三谷さんらしいし、萬斎さんが特殊な世界観を醸し出しているなと、とても印象に残っていました。今回のお話を頂いた時はちょうどPARCO劇場で『大地』という三谷さんの舞台をやっている最中だったと思います。“ああ、あのシリーズの世界観に入れるんだ”と率直にうれしかったのと、続けてまた三谷さんの作品に出演できるっていう安心感もありました。

台本を読まれての感想は?

このドラマは、面白いボタンの掛け違いがあって、三谷さんがすごく得意とする分野の脚本。結構入り組んだ難しいミステリーを三谷さんがうまく書いている本だと思いました。謎解きのシーンは、三谷さんらしい密室劇というか。ゆるやかなところから追い込んでいって、トンネルを抜けて、抜けて、こう出る、みたいな。長尺のワンシチュエーションのシーンは、撮影は大変ですけれど、昔は結構こういう感じの緊張感あったなあと。最近はいろいろな場面で、いろいろなことが起きて、というテンポの速い作品がわりと多いと思うんですけれど、今回のように同じセットでじっくり話が展開していくという脚本は、僕は演じていてとても楽しかったです。

今回の役を演じるにあたって。

実をいうと、今回のドラマで着ている衣装は『大地』の時に使っていた舞台衣装なんです。三谷さんに“あの役のイメージで”って最初言われて、“あ、そのままでいいんだ”というところもあったので。もちろん全然違う役ではあるんですけれど、出で立ちや、醸し出すうさんくささは、ゼロからよりは、役に入りこみやすかったです。

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実際に演じられての感想。

自分にも他人にも諦めていて、後ろ向きで、世間に背を向けたような影のある役なので、逆に楽しみながら演じました。この人だったらどんな行動をするだろうかとか、ちょっと普通でない、社会に適応していないところをさまざまな場面でどうやって表現しようかなと、アイディアも出しながら演じました。

共演者の方の印象は?

萬斎さんとは初めてご一緒したのですが、やっぱりこの役は萬斎さんにしかできないなと改めて感じましたし、その空気感を間近で浴びているかんじでした。松坂さんは昔からドラマでお世話になっていて、息子役も今回が二度目なんです。前回も僕が母に支配されている役だったので、松坂さんに“こういう役多いんですか?”って聞いたら、“全然ない”とおっしゃって。そんな貴重なあまりない役を二回もご一緒させていただいて光栄でした。現場ではにこやかで、ふわーっとなごましてくださる雰囲気の方なので、(大先輩ですけれど)現場に安心感を与えてくださっていました。

最後に視聴者の皆様へメッセージをお願いします。

ちょっとしたことでみんなの思惑が偶然重なってしまって、そしてお互いがお互いをかばったり、怪しんだり。その一人一人のボタンの掛け違いでこういうストーリーが生まれて。 “この人が犯人だ”と最初に見せてから解いていくパターンではなくて、一緒に見ながら、考えながら、最後まで楽しめるドラマだと思います。僕たちも撮影しながら、時々“ん?”と考えながら演じたくらいです。視聴者の方には、その空気感や緊張感を楽しんで頂きたいですし、ずっと見入ってしまうような作品に仕上がっていると思います。