•  男女とも10代選手が優勝を飾り、世代交代が行われたソチ五輪を経て、いよいよ2018年平昌五輪(韓国)に向けた新たな4年がスタートした。その最初のシーズンとなる今季の全日本選手権が、12月26日から28日まで長野県長野市のビッグハットで行われる。

     今大会で一番の注目スケーターは、何と言っても日本男子の、ひいては世界のフィギュア界にとっても至宝とも言える羽生結弦だろう。日本男子のエースとして長年けん引してきた髙橋大輔が10月に現役を引退し、その後継者として君臨していくべき羽生にとっては大会3連覇が懸かる。過去、エースの称号を背負った選手の多くは全日本3連覇を成し遂げているだけに、その11番目の仲間入りをするのかどうかにも期待がかかる。しかし、今季はシーズン序盤のGPシリーズ第3戦の中国杯でアクシデントに見舞われたことによるコンディションの面が気掛かりだ。フリーの6分間練習で中国選手と出合い頭に衝突して顔面から流血の負傷。「脳振とうはしていない」との診断を受けて強行出場して総合2位に入り、GPファイナル進出を懸けたNHK杯では4位に終わったものの、他選手の成績が伸びずに「絶対に行きたい」と言っていたファイナル切符をぎりぎりで手に入れた。NHK杯ではまだ衝突事故の影響による身体の痛みが残っており、万全の状態ではなかった。12月11日からのファイナルでどこまで調子を戻してくるのか。シーズン終盤の四大陸選手権、世界選手権の代表選考を兼ねた全日本選手権では、20歳の若き五輪王者の完全復活した演技を見せてほしいところだ。

  •  その羽生を阻む意気込みが人一倍強いのが、昨季飛躍のシーズンとなった町田樹だ。「最初で最後のチャンス」と挑んだ五輪代表の座を初めて掴み、ソチ五輪で5位入賞すると、初出場だった世界選手権では羽生にわずか0.33点差に迫る銀メダルに輝いた。24歳の町田が年下のライバルにどこまで迫り、追い抜くことができるのか。激しいバトルが予想されるだけに注目必至の一戦になることは間違いない。しかし、今年の男子はこの二人の戦いだけでは語れない。二人以外にも頂点を伺う第3、第4の対抗馬が控えているからだ。GP第2戦のスケートカナダで優勝し、NHK杯でも3位に入って2大会で表彰台に上った無良崇人が虎視眈々とタイトルを狙ってくるだろうし、シーズン前半のGP大会では結果を出せなかったベテラン小塚崇彦もこのままでは終われないはずだ。また、16歳で全日本ジュニア王者の宇野昌磨をはじめとしたジュニア勢が、シニア勢を脅かす存在になりそうな勢いがあるだけに、今年の全日本男子の争いは目が離せない。

     一方の女子は、絶対的エースだった浅田真央が今季は休養に入り、鈴木明子や安藤美姫らベテランが昨季限りで引退した中で、ポスト浅田の後継者に誰が座るかに注目が集まる。群雄割拠の大混戦が予想される中で、最有力候補は昨年大会2位でソチ五輪代表になった20歳の村上佳菜子だ。今季のGP大会では中国杯3位、NHK杯は痛恨のミスを出して表彰台を逃した村上は目標だったファイナル出場を断たれたことで、挽回を期して臨む今大会で自身初の全日本タイトル獲得に集中してくるはずだ。

  •  その村上に対抗するのが伸び盛りの16歳宮原知子だろう。2年前に3位に入り、昨年は4位だった。表彰台の常連だった先輩たちが抜けた場所のどこに立つのか。宮原が持っている実力を発揮すれば村上といい勝負になるだけに面白い戦いが見られそうだ。またこの2人を脅かすニュースターが今季GPシリーズで華々しく誕生した。シニアデビューを飾った本郷理華だ。初陣のスケートカナダでは5位だったが、ロシア杯で初優勝を果たし、デビューシーズンでいきなり補欠第1位からの繰り上がりでファイナル出場を決めた。勢いに乗る18歳が台風の目になるかもしれない。

     そこに、今季ジュニアGPファイナルに13歳の樋口新葉ら3人も出場を決めるなど、豊富なタレントが揃っている10代前半のジュニア勢がどう食い込んでくるのか。期待の有望株である樋口の、全日本初出場初表彰台の可能性もあるだけに大きな期待がかかる。いずれにしても、今大会では全日本女王を戴冠する新たなヒロインの誕生が見られるだろう。






  •  日本男子エースの髙橋大輔の後継候補としても期待されていた、同じ「ダイスケ」の名前を持つ村上大介が、先のNHK杯でついにGPタイトルを手にした。2009シーズンのNHK杯が初のGP大会出場で、以後、毎シーズンGP1大会のみの出場(13年は出場なし)で成績を残そうと奮闘してきたが結果が出せなかった。高いジャンプ技術などの才能を持ちながらもなかなか芽が出なかったここ数年、ライバルの活躍を悔しい思いで見つめながら村上自身は半ば諦めモードに入っていたかもしれない。2012年のNHK杯では公式練習で右肩を脱臼しながら強行出場したSPだったが、ジャンプの転倒で再び同じ箇所を脱臼して演技途中で棄権。拠点にしている米国に戻って手術を受けた後は、しばらくスケートから離れざるを得なかった。「現役を辞めようとも思った」こともあったという昨季の後半に復活して、飛躍のきっかけをつかもうと臨んだ今季だった。

     今季もGP大会は日本スケート連盟の推薦出場となったNHK杯の1大会だけ。だから、このチャンスに「来年のGPシリーズに呼ばれるように、自己ベストを出してノーミスの演技をしよう」と心に誓って臨んだという。ただひたすら自分の演技に集中した。SPでは4回転サルコー+2回転トーループを跳び、フリーでも4回転サルコーの単発と4回転サルコー+2回転トーループの連続ジャンプを成功させるなど、計3度の大技を決めてGP初優勝を勝ち取った。SPは79.68点で3位、フリーでは166.39点をマークして1位になり、合計246.07点を出すなど、いずれも目標に掲げた自己ベストを大幅に更新しての逆転勝利だ。

  •  「表彰台に上れるとは思っていなかった。それも優勝とはびっくりしました。フリーではスケート人生で初めて4回転ジャンプを2度跳べて嬉しかった。最後までジャンプを練習と同じように1つひとつ跳ぶことができたのが良かった」 村上自身も周囲も驚いた最高の結果が生まれたのには、村上を指導するフランク・キャロルコーチの存在が大きかったかもしれない。殿堂入りもしているこの名伯楽は、バンクーバー五輪金メダルのエバン・ライサチェクやソチ五輪銅メダルのデニス・テンなど多くの名選手を教えている。そんなキャロルコーチも「誰も予期しなかった優勝だ。4回転もトリプルアクセルも容易く跳んでしまうが、プログラムを最後まで滑りきることができないことが課題だった」と振り返り、この課題が今大会で克服できたことを勝因に挙げた。

     念願のGPタイトルを掴んだ23歳は、NHK杯で大きな自信とモチベーションを得たに違いない。今年で6度目の出場となる全日本選手権でも、NHK杯のように武器の4回転ジャンプをバンバン決めて「ダイスケ旋風」を起こしほしいところだ。村上自身も「全日本で結果を出さないと国際大会には出られない。だから全日本では表彰台を目指して四大陸選手権、世界選手権に出られるように頑張りたい」と意欲を見せているだけに、再びの大番狂わせを期待したい。






  •  「全日本選手権では表彰台に乗れるように頑張って、四大陸選手権、世界選手権に出場したい。でも、あまり順位を意識しすぎず自分のベストを出すことを一番に考えています」――。

     今季の宮原知子は昨季までとは違い、掲げた目標をはっきりと、そして積極的に発言している。これまで以上に意欲的にスケートに取り組んでいるシャイな16歳は、自らの殻を破ろうとしているようだ。日本女子のエースである浅田真央が今季休養し、昨季限りで安藤美姫、鈴木明子が引退するなど、追いかけてきた偉大な先輩たちが不在の今季に、シニア2年目の宮原自身が、世界の舞台に飛び出せるチャンスだと感じていることもあるかもしれない。実際、その足掛かりとなる結果を今季の宮原は残した。

     グランプリ(GP)シリーズの第2戦、スケートカナダではSP4位から挽回して総合3位に入り、GP最終戦のNHK杯でもSP4位発進ながらフリーで2位に食い込んで銅メダルを掴んだ。今季目標の一つだった「GP2戦とも表彰台に立つこと」は成し遂げてみせた。それでも、2つ目の目標だったGPファイナル進出は惜しくも逃す羽目に。ファイナル進出を懸けて臨んだNHK杯だったが、課題としていたスケーティングスピードを克服できず、試合本番になるとスピードが落ちてジャンプが回転不足と判定された。そのため、GOE加点につなげられずに得点が伸びなかった。もし、NHK杯で「自分のベストな演技ができていたら(GPファイナルに)行けたと思う。2戦ともスピードが出せずジャンプに回転不足があったので、それがファイナルに行けなかった課題」と悔やんだ。

  •  その悔しい思いを今月下旬に行われる全日本選手権でぶつける覚悟だ。その意気込みの表れが冒頭のメントに込められているに違いない。「自分のベストな演技」さえすれば、表彰台も国際舞台の代表切符も手にすることができるという手応えを掴んでいるからだ。もちろん、まだ課題も多いことは宮原本人も自覚している。

     「トップ選手と比べて足りないところが多い。だから、課題を一つひとつクリアして自信を持って海外の試合に行けるようにしたい。滑りもまだ子どもっぽいところがあるので、そこを練習でシニアの滑りになるようにしていきたい。このままどんどんレベルアップして、回転不足をなくして、表現力や滑りの面で思い切って大きく滑れるようにしていきたい」

     自分がなりたいと思っている演技をすでにやっている同世代で一つ下のエレーナ・ラジオノワ(ロシア)のことを特に気にかける。ライバルとして、またお手本として見ている宮原は「ラジオノワは試合で毎回、ほとんどミスをしないところがすごいなと思う。それに、ロシア勢はみんな表現が大きく、アピールするのが上手い」と評した。

     そんな強力ライバルに刺激を受ける宮原が、2018年に韓国で開催する平昌五輪に向けての最初のシーズンとなる今季に飛躍を期すためにも、新しい全日本女王の座を掴みたいところだ。





  •  来季シニアデビューを夢見る16歳(誕生日12月17日)の宇野昌磨にとって、今季はジュニア最後のシーズンにするために結果を出さなければいけない大事なシーズンだ。だからこそ、勝負に勝つために、シニア勢と戦うために、習得したトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)や4回転の大技ジャンプに挑み続け、試合に組み込んできた。

     今年のテーマは「実現」。宇野曰く「目標は目標のまま終わらせたくない」という意味だという。

     「今年の目標は、まだ完ぺきに跳べないジャンプを跳べるようにすること。そして、ジュニア最後のシーズンとなるように頑張りたいと思っています。オフシーズンにルッツのインエッジを直し、4回転とトリプルアクセルを重点的に練習してきました。だから、昨年よりも難しいジャンプや跳べなかったジャンプを試合で成功させて、悔いの残らないシーズンにしたいです」

     並々ならぬ決意を持って挑む今季は、自身の成長をどこまで結果に反映させられるかに懸かってくるだけにチャレンジングな戦いになるはずだ。

  •  シーズン初戦となったアジアンオープン杯ではSP、フリーともに1位で合計223.15点を出して初出場初優勝を飾り、幸先のいいスタートを切った。そして、臨んだジュニアグランプリ(GP)シリーズでも2大会とも好結果を残した。地元名古屋で開催されたジュニアGP愛知大会ではSP、フリーともに2位となり、合計219.99点の総合2位だった。2戦目の同クロアチア大会ではSP、フリーともに1位となり、合計227.51点の自己ベストを出しての完全制覇でジュニアGP大会初優勝を成し遂げた。

     目標の実現を次々とクリアして臨んだ全日本ジュニア選手権でもノービス時代から出場して6度目にしてついに初の栄冠を手にした。SPでは昨年から取り組んできた大技を成功させ、「試合で初めてトリプルアクセルを跳べた」と喜び、トップに立つ。しかし、4回転とトリプルアクセルをそれぞれ2本ずつ挑んだフリーでは、単発のトリプルアクセルしか成功させることができず、演技後半の3回転ルッツでも転倒するなどジャンプの転倒が4度もあって、納得のいかない出来に勝利よりも悔しさのほうが大きかったようだ。

  •  「練習通りの結果を出してしまった。試合だから出来るとか、気合があれば何とかなると思っていた自分の考えが甘かった。練習で出来ないことを試合で挑戦してはいけないと痛感した。内容はひどかったけど、初優勝できて嬉しかった。いい経験になったのでしっかり練習をして次の試合に向けて頑張りたいです!」

    その次戦となった初出場のジュニアGPファイナルでは、SP3位からフリーでも自己ベストの163.06点をマークして逆転し、合計238.27点で初優勝を飾った。日本男子選手の優勝は、2005年の小塚崇彦、09年の羽生結弦に続いて3人目の快挙だ。「自分でも感動できる演技ができたことが嬉しかった」と満足の行く演技だった。今後は、シーズン後半に向けてさらなる飛躍を目指すために、12月26日に開幕する全日本選手権(長野)で上位進出、チャンスがあれば表彰台を狙うことになる。

     「全日本選手権では悔しい思いをした全日本ジュニアよりもいい演技をしたい。自分の演技が終わった後、悔しい気持ちにならないようにすることが一番の目標です!」

     昨年の全日本は、SPで6位と健闘してフリーは最終グループに入り、ジュニア勢トップとなる堂々の7位だった。果たして4度目の出場となる今年はどこまで順位を上げられるか。大技を成功させれば、憧れの髙橋大輔のような表現力を持つ宇野だけにシニア勢といい勝負ができるかもしれない。





  •  20歳になった村上佳菜子にとって、シニア5年目となる今季は今後の立ち位置が決まる正念場のシーズンとなるだけに気合を入れないといけないだろう。日本女子のエースとしてけん引してきた浅田真央が休養中で、鈴木明子ら世界の舞台で活躍してきた先輩たちが昨季で引退。エース不在の今季はポスト浅田の座に誰が座るかと注目される中、ソチ五輪代表として実績のある村上が第1候補に挙がっていることは言うまでもない。しかし、安穏としている場合ではないのも確かだ。シニアの戦いに入っても申し分のない実力を備えたジュニア勢が急成長中で、村上ものんびり構えてはいられない状況になっている。

     2月のソチ五輪(総合12位)で入賞も出来ず、「このままでは満足出来ない。次に向けてもう一度やり直す」と自分の演技ができなかった悔しさのまま終わりたくないと現役続行を宣言し、オフシーズンは初心に戻って取り組んだ。そして、迎えた今季のグランプリ(GP)シリーズだったが、今ひとつ波に乗りきれなかった。GP初戦の中国杯ではSP、フリーともに3位で2012年のスケートカナダ以来となる表彰台に乗り、銅メダルを獲得。まずまずのスタートを切ったが、優勝してGPファイナル進出を確実に決めるつもりだった2戦目のNHK杯では、表彰台を逃す4位に沈んだ。中国杯から大幅にプログラムを変更して勝負に挑んだ村上は、ノーミスの演技を披露したSPで3位につけながら、フリーでの「ジャンプの跳び過ぎ違反」で3連続ジャンプが0点になるという痛恨のミスを出して得点を伸ばすことができなかった。優勝なら文句なし、2位でも可能性があったにもかかわらず、結果的に目標にしていたGPファイナル出場は果たせなかった。

  •  「ファイナルに出たい一心でやってきたのに結局、駄目だった。すごく悔しい。この悔しさが次に繋がると信じているので、全日本選手権ではしっかりと強い気持ちを持ってやりたい。絶対にSPもフリーもきちんとノーミスでそろえて素晴らしい演技ができるようにする。よりファントムらしい曲調に変えて気持ちをしっかり入れて演じたいので、全日本までにフリーの曲を少し変更するかもしれない」 今季の曲目はSPもフリーも「オペラ座の怪人」を使い、SPではクリスティーヌを、フリーではファントムを演じる。1人で男女2役を演じ分ける難しいプログラムに挑んでいるのも、スケートに取り組む姿勢が変わり、自分から楽しむことができるようになったからだろう。「練習ではいまでも泣きますけど、苦しみがあるから前に進めるし、悪いところが見つかることもプラスになると考えてやっています」と前向きだ。

     GPファイナルに出られなかった現実をしっかり受け止めると言った村上が、全日本でどんなパフォーマンスを見せて自分の存在をアピールできるか。昨年まで2年連続2位だった全日本選手権で初のタイトルを手にして自身初となる全日本女王になれるか。今年の全日本選手権女子シングルの戦いは見逃せない一戦になりそうだ。





  •  これまで「3番手の男」に甘んじてきた無良崇人が、今季はその立場を返上する覚悟で挑んでいるようだ。昨季の五輪シーズンは悲願のソチ五輪出場を目指しながら不振に陥り、結局五輪代表を逃した。「引退」も頭をよぎったようだが、このままでは終われないと現役続行を決めた23歳は、韓国で2018年に開催する平昌(ピョンチャン)五輪出場を照準に合わせた。

     「世界のトップに自分がいる自覚をもって、最後の最後まで自信を持つことができるように練習を積んでいきたい。髙橋大輔さんの存在は大きく、これまではその髙橋さんについていくことだけしか考えなかった。これからはもっと僕が(周囲を)引っ張っていく気持ちで、まだまだ羽生選手や町田選手と比べると足りないが、自覚を持ってやっていきたい。ピョンチャンという大きな目標を持ち、課題を一つひとつクリアしていこうと思って取り組んでいる」

     そんな熱い思いを胸に臨んでいる今季のGP初戦のスケートカナダでは2年ぶり2度目のGP優勝を飾り、2戦目のNHK杯ではSPで首位に立つも初の最終滑走となったフリーで崩れて銅メダルを獲得。GP2大会とも表彰台に立ち、念願のGPファイナル初出場を果たした。初出場ながらも表彰台を目指したGPファイナルだったが、武器の4回転で転倒したSPの出遅れが響いて総合5位に終わった。まだまだ経験不足で試合本番での精神的弱さを垣間見せることがあり、持っている実力を存分に発揮できないでいる。それでも、昨年春に結婚して子供が生まれて家族を持った無良は、これまでと違い、意欲的な姿勢で戦いに臨んでいる。諦めずに向かっていく気持ちさえあれば、トップレベルでの争いの中で経験は積んでいけるはずだ。

  •  今季のテーマは「安定」と「大人」だという。オフシーズンには武器の4回転ジャンプを磨くために米国に渡り、ジャンパーである長野五輪男子シングル金メダリストのイリヤ・クーリックに指導を受けた。4回転ジャンプの秘訣と極意を伝授され、「3回転のように跳ぶこと」で武器を安定感のあるジャンプにまで高めてきたという。大技の4回転が安定したことで、表現力が課題だった演技にも余裕が生まれたのだろう。今季のSP「カルメン」は音楽と滑りがマッチして見入ってしまうほどの出来栄えになっている。

     平昌五輪に向けた最初のシーズンで実績を残すためには、2季ぶり3度目の世界選手権出場権は是が非でも手にしたいところだ。それには10度目の出場となる全日本選手権では表彰台に立つしかない。08年と12年の大会では過去最高の3位になったが、果たして今年は表彰台のどこに立つことができ、来年3月の世界代表切符を掴めるか。ジュニア勢が急成長してきた中で、タレントが揃う日本男子の代表争いは熾烈を極めそうな予感がする。激戦が予想される全日本選手権で、「GPファイナルで得たものはすごい大きなものだった」と収穫を口にした無良がどんなパフォーマンスを見せて代表争いを制するか楽しみだ。





  •  今季、エース不在の日本女子で“シンデレラストーリー”を体現したように一躍注目を浴びたのは、シニアデビューを華々しく飾った本郷理華だ。「シニアに通用するような滑りをできるように頑張りたい」とシーズン前に初々しく語っていた18歳は、初めて参戦したシニアの国際大会に出場する度に自己最高得点を塗り替える活躍を見せた。GP大会初戦のスケートカナダではSP、フリー、合計のいずれも自己ベストを更新する演技で堂々の総合5位に入ると、2戦目のロシア杯でもSP、フリー、合計で自己ベストを出して、SP2位からフリー1位の逆転で「優勝しちゃった」と自身も驚く結果を残し、デビューシーズンでGP初優勝を飾った。GP2戦目での初優勝は、日本女子ではエースの浅田真央、村上佳菜子に次いで3人目の快挙だ。

     1996年9月26日に宮城県仙台市生まれ、5歳からスケートを始めた。トリノ五輪女子シングル金メダリストの荒川静香と同じクラブで育ったが、ホームリンクが経営難で閉鎖されてしまったことから、若干9歳にして親元を離れてフィギュアスケートが盛んな名古屋にスケート留学に出た。本郷の母と荒川は友人同士で、荒川は「小さな頃から頑張っている姿を見てきた」と話していたことがある。本郷にとって荒川は身近な存在であり、憧れの存在でもある。その荒川のように本郷も「4年後のピョンチャンオリンピックに出たいという思いはあるので、オリンピックを目指して頑張りたい」と大きな夢を抱く。

     そんな期待のホープが今季のGP大会での活躍により、予想外の大きなチャンスを掴むことになった。本来は、14季ぶりに日本女子が誰も進出できなかったGPファイナルだったが、出場予定だったグレイシー・ゴールドが負傷欠場することになり、補欠1位の本郷に繰り上がり出場の機会が回ってきたというわけだ。出場が決まった本郷は「初めてのグランプリファイナル、頂いたチャンスを生かせるように精一杯頑張ります。のびのび楽しく滑って自分の演技が出来ればと思います」と意気込みを語っていた。その言葉通り、ファイナル本番でも気後れすることなく、自分の演技に集中して伸びやかな滑りを見せた。

  •  SP「海賊」では、3回転トーループ+3回転トーループのダイナミックな連続ジャンプを跳び、166センチの長身と手足の長さを生かした振り付けで自身初の60点台に乗せる61.10点の自己最高得点をたたき出した。

     「納得のいくノーミスの演技が出来て嬉しい。ずっと目標だった60点台が出たのですごく嬉しいです。フリーの「カルメン」をスペインで踊れることに感謝して、お客さんに盛り上がっていただけるようなカルメンを踊りたいです」

     SP後にこう話していたフリーの見せ場は、名古屋で同じリンクの先輩でもあるソチ五輪代表の鈴木明子から指導を受けたステップと、今季からプログラムに取り入れた冒頭の3回転フリップ+3回転トーループの連続ジャンプだ。しかし、ファイナルのフリーではジャンプで2つ小さなミスを出して得点を伸ばすことができなかった。結局、総合順位では最下位に終わったが、「世界のトップレベルの選手たちと対戦して自分の足りないものが改めて分かったし、こういう大きな舞台で演技出来て良かった」と大きな収穫を手に入れたようだ。

     今季の目標は「全部の試合でビビったりしないで、思い切ってやること」と抱負を語っていた本郷は、ファイナルまで有言実行で自信と手応えを掴んだに違いない。シーズン後半の大きな舞台に出場するためにも、全日本選手権では前半戦で経験した成果を存分に発揮して表彰台を一気に狙ってほしいものだ。気負うことなく勢いのあるノーミスの演技ができればチャンスは広がるだろう。





  •  昨季のソチ五輪シーズンで飛躍を遂げた町田樹が、今季まだシーズン半ばですでに「天国」と「地獄」の両方を味わった。

     GP開幕のスケートアメリカが初戦だった町田は、昨季以上に思い入れのあるプログラムを作って挑んでいる。SPは「ヴァイオリンと管弦楽のための幻想曲」で、これは昨季の町田樹史上最高傑作だった「エデンの東」を踏襲ベースにした作品となっていて、町田自身は「昨季のプログラムを超えているレベルのもの」と豪語するほどで「町田史上最高傑作」をまたも作り上げてきた。さらにフリーは、世界的に有名なベートーベンの「交響曲第九番」(第九)を選曲して様々な工夫をこらした演技構成を施したチャレンジングなプログラムになっている。「チーム町田の総力を結集した」というこの2つのプログラムをひっさげて今季を戦っている24歳は、貪欲に結果を求めた昨季とは少し違い、いかにも町田らしいモチベーションで試合にアプローチしているのだ。

     「結果とかライバルとかではなく、妥協しないで制作した作品(プログラム)をパフォーマーである自分が完成させたい」という思いのほうが強いという。しかし、決して戦いを捨てているわけではない。自分が納得のいく完成形の演技ができれば、自ずと結果はついてくるという自信があるからだ。

  •  世界初披露となったアメリカでの試合で見事な演技を見せて、SP、フリーともに1位の完全優勝を飾り、幸先のいいスタートを切った。と同時に、自らが明確な目標として「世界王者」を照準に合わせてもいいという手応えを掴んだようだ。

     「世界一になれるSPとフリーのプログラムを作った。今季は自分が主役になる。初演にしては上出来だったが、まだ完成された演技ではない。特にフリーの第九は120パーセント以上を出さないと形にならないプログラム。高い高い壁ですけど、チャレンジングだし、それを乗り越えたときの喜びは本当に大きいと思うから、今シーズンは1回でもその喜びを味わえたらいいと思う」

     目の前を猛スピードで走っている最大のライバルと言えるソチ五輪王者・羽生の背中を捉えるために、町田はチャンスと見ている今季、綿密に対策を練って取り組んでいる。だから、第2戦のフランス杯の前にスケート靴を替えた。この時すでに、GPファイナルから全日本選手権までの戦いを視野に入れての行動だ。フランス杯は替えたばかりの靴にまだ慣れず、欧州との時差にも苦しめられた町田は万全の調子ではない中で滑り、総合2位という結果を残した。

  •  そして、迎えたGPファイナルでも自身曰く「最悪のコンディション」だった。その中で、SPは2位発進したが、フリーで3度もジャンプで転んで大崩れしながらも「第九」を情熱的に滑りきって見せた。初優勝を狙った3度目の大舞台だったが、結局、総合6位の最下位だった。

     それでも、いまの町田は一喜一憂しない。目指す目標は他にあるからだ。それに、今季のテーマでもある「極北」を見ている人たちに理解してもらうためには、まだ自分との闘いを終えるわけにはいかない。だからこそ、世界選手権の代表選考が懸かる全日本選手権では、作品の完成形を追求するとともに、まず表彰台はもちろん、台の真ん中に立つ意気込みでいるに違いない。

     「年内残り1戦(全日本のこと)がありますから、そこでしっかりプログラムを完成させられるようにやっていくしかない。確実に僕に残されているチャンスはあと1回だから、その1回を必ず掴んで見せます!」

     昨季の世界選手権で初出場ながら銀メダルに輝いた大舞台に2年連続で立つためには、全日本選手権で最高の結果を出すしかない。





  •  脅威の13歳が日本女子フィギュア界に現れた。今季、ポスト浅田真央候補に躍り出た中学2年生の若きホープ、樋口新葉(わかば)だ。2001年1月2日に生まれた。21世紀の始まりに誕生した我が子に生命の息吹を感じるような「新」しい葉と書いて「新葉(わかば)」と名付けたという。

     「私は負けず嫌い。全部の試合で勝ちたい」と話す樋口は、13歳ながらすでに実力も度胸も兼ね備わっている。心の強さと大物ぶりを発揮したエピソードがある。今年3月にさいたまスーパーアリーナで行われた世界選手権のエキシビションに出演した際、演技の途中で音楽が途切れるハプニングがあった。普通の選手だったらおそらく演技を止めてしまうところだろうが、樋口は全く動じることなく、最後まで曲なしで踊り切って見せた。満員の観客から喝采を浴びたのは言うまでもない。この出来事を樋口本人はのちに「あまり覚えていないけど、最後まで滑り切れたのでアピールできたと思います」と何食わぬ顔で振り返るだけだった。

     今季ここまでの成績を見ると、鮮烈なジュニアデビューシーズンとなったと言っても過言ではないだろう。今季初戦だったアジアンオープン杯(ジュニア)で優勝して幸先のいいスタートを切った。そして迎えたジュニアGPシリーズ1戦目のチェコ大会ではSP5位からフリー1位と挽回して総合2位に入ると、2戦目のドイツ大会ではSP、フリーとも1位の完全優勝を飾った。この活躍でジュニアGPファイナル出場を決めた。

  •  勢いに乗る樋口はその大舞台の前に行われた全日本ジュニア選手権でも会心の出来で結果を残す。国際スケート連盟(ISU)公認ではない国内大会での得点で参考程度にしかならないながらも、今季日本女子最高得点の合計187.95点を叩き出しての初優勝を成し遂げた。中学2年での全日本ジュニア女王は、安藤美姫、浅田真央に並ぶ快挙だ。普段からクールな一面を見せる樋口が、フリー演技後に得点が出て勝利が決まった瞬間、うれし涙を流して号泣した。「すごく嬉し~いです!」とインタビューに応える顔は大泣きしてくしゃくしゃだった。

     全日本ジュニア女王の称号を持って挑んだ初出場のジュニアGPファイナルでも、樋口らしいパワフルでエネルギッシュな演技を見せて躍動。SPはフリップジャンプにエッジエラーの「e」マークがついてGOEで減点されて5位発進だったが、フリーでは最後の連続ジャンプで小さなミスを出したものの技術点では高得点を出すなどで3位に入って合計178.09点で銅メダルを獲得。目標にしていた表彰台に立ち、「ファイナルは表彰台を狙っていたのですごく嬉しいです!」と満面の笑みだった。

     ジュニアで文句なしの実績を挙げてきた樋口が、いよいよシニア勢に挑戦する。その場が、26日開幕の全日本選手権(長野)だ。東京生まれの東京育ちの超新星がシニアの全日本にデビューを飾るわけだが、台風の目となって大旋風を巻き起こしそうな予感がするのは誰もが思うはず。

  •  3回転ルッツ+3回転トーループ、3回転フリップ+3回転トーループなどの高難度の連続ジャンプを跳べ、圧倒的なスケーティングスピードを誇り、クセのない基本に忠実な力強いジャンプを武器に持つ。まだジュニアレベルの滑りで演技構成点ではシニア勢に見劣りするかもしれないが、技術点は負けていない。

     「夢は平昌(ピョンチャン)オリンピックとその4年後に出場して金メダルを獲得すること。もちろん世界選手権でも金メダルを取りたい」

     高い目標を明確に掲げて屈託なく宣言するあたり、10歳で全日本デビューしてスターダムにのし上がった浅田真央の再来のよう。そう思うのには根拠も少なからずある。ジャンプが得意な樋口は、平昌五輪までには浅田の代名詞だったトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)や、安藤美姫の専売特許だった4回転ジャンプを習得する可能性を秘めるからだ。

     エース不在の日本女子のトップ争いに、次代のエース候補として今後の成長が楽しみなスケーターの登場で今年の全日本選手権は目が離せないだろう。

     「全日本はシニアの上手い選手がたくさんいるので、そこで負けないように自分の演技をしたい。集中できるほうなのでプレッシャーは感じないと思います」

     怖いもの知らずの挑戦者、樋口に注目だ。





  •  ソチ五輪王者の羽生結弦にとって、今季は試練のシーズンだ。昨季の五輪シーズンは、「絶対的」世界王者のパトリック・チャン(カナダ)を追いかけて、そして後半にはそのチャンを追い抜いて、一気に世界の頂点に立った。GPファイナル優勝をきっかけに自信と手応えを掴み、ソチ五輪で爆発させて、地元日本での開催となった世界選手権で有終の美を飾った。19歳にして次々とフィギュア界の三大「世界タイトル」を手にして夢の実現を果たした。

     そんな栄光のシーズンを経て臨む今季。羽生がどんな思いでシーズンに挑んできたのかを、彼の顔つき目つきから少し想像してみると、明らかに「五輪王者のプライド」が見られた。どこか、それまでの羽生とは違う「装い」だった。何かを重しのようなものを身にまとった感じで、他を寄せ付けない内にこもった雰囲気を醸し出していたように思えた。それはそれで当たり前なことなのかもしれない。五輪という「特別なタイトル」保持者になった羽生が、王者としての威厳と責任を持つことは当然と言えば当然なのだろう。現役引退をまったく考えていない、まだ20歳そこそこの若い羽生にとっては、次の平昌五輪に向けた最初のシーズンをどのように振る舞えばいいのか。少し気負った、そして尖った感じの羽生がいたようだった。

     まずは「肩慣らし」という意味合いもあっただろう。今季初戦の予定だったフィンランディア杯を腰痛による影響で欠場することになった。出ばなをくじかれた感が否めなかっただけに、羽生にとって今季初戦となったGPシリーズの中国杯は、王者である自分が人一倍やらなければいけないと気合が入ったに違いない。

  •  そんな大会で思わぬアクシデントに見舞われた。SP2位で迎えたフリー直前の6分間練習で、中国選手と激突。こめかみとあごの裂傷から流血。衝突直後はしばらく動けなかった羽生は、自力でリンクから上がった。脳振とうを疑われたが、幸い診断の結果は違った。ブライアン・オーサーコーチを含め、周囲は棄権を促したが、羽生は強行出場を決めた。そして、意地の演技を見せて総合2位で表彰台に立って、今季の目標に掲げていたGPファイナル出場に一歩近づく。中国杯で負った計5箇所の負傷は予想以上にひどいものだった。全身に痛みを伴い、安静が必要で練習は休まざるを得ない状態に。2戦目のNHK杯には「出たくない」と両親に言うほどの状況だったそうだが、何とか間に合わせて出場して総合4位に終わった。GPファイナル進出は遠のいたかに思われたが、ぎりぎりで何とか6番目のイスに座ることができて出場した。

     そのGPファイナルでどこまで調子を戻して復調できるのか、注目が集まった中で、負けず嫌いの羽生の真骨頂が見られたと言っていいかもしれない。「オリンピックチャンピオンとか、GPファイナルチャンピオンとかは、いまの自分にはまったく関係ない。チャレンジャーとしてここに来た」と、体調の回復とともにファイナルに向けた通し練習をこなし、徹底的に滑り込んできた。裏打ちされた自信と体調が回復途上にあることで、羽生は久しぶりに「滑る喜び」を全身で感じていたようだ。SPでは冒頭の4回転トーループを非の打ちどころがないほど完ぺきに跳んでみせて復調をアピール。フリーでも冒頭の4回転サルコーに加え、4回転トーループも見事に成功させた。羽生自身が「4回転サルコーをきれいに降りたことは初めてだったのですごく嬉しかった」と喜んだほどの出来で、フリーは自己ベストを更新する194.08点をマークして、合計288.16点で日本男子として初のGPファイナル2連覇を達成した。

  •  「連覇という気持ちより、やっと何か自分らしいスケートができたかなと思いました。まだ完ぺきじゃないのである程度喜びたいなと。ここまでいろいろあったが、ファイナルという大事な舞台でいい結果を出せたことはファンをはじめとした皆さんのお陰。頑張ってきて良かったのひと言。本当に滑っていて幸せだった。身体を最後まで存分に使い切ることができる幸せというものを感じることができた」

     このGPファイナルに臨む羽生の顔つきと目つきにシーズン最初の中国杯で見られたきつさはどこかに消え、何か重たいものを背負った雰囲気もなくなっていたようだった。純粋にスケートを滑ることが出来るといううれしさが勝っていたようだ。だから、勝利を決めた瞬間、五輪王者としての風格を見せるよりも嬉しそうな笑顔で無邪気に喜んだのだろう。五輪王者になる前に見られた羽生がそこにいた。

     GPファイナルでは2位のハビエル・フェルナンデス(スペイン)に34.26点差をつける圧勝で、SP(94.08点)もフリーも合計のいずれも今季世界最高得点を叩き出しての文句なしの優勝だった。中国杯で遭った衝撃の事故から、よくぞここまで復調してきたと驚くばかりで、改めて羽生の不屈の精神力には脱帽せざるを得ない。

  •  五輪王者として、昨季とは違う自分を追求したいという欲求がある羽生は、今季のフリー「オペラ座の怪人」で前代未聞となる高度なジャンプ構成を作り上げてきた。前半に4回転を2回、後半には4回転トーループの連続ジャンプを組み込む構成だ。しかし、中国杯のアクシデントがあって、まだ試合本番ではこの「超攻撃的な」ジャンプ構成は実現できていない。GPファイナルでも構成を変更して当初のレベルよりも落とした。3連覇が懸かる全日本選手権でも挑まないはずだ。ファイナル後の羽生がそれについて言及している。

     「まだ体調は完ぺきに戻っていないので、全日本もファイナルと同じ構成でいきます。全日本では自分の演技ができるどうかが一番大事。何をしたいか何をすべきか、何をしたいと思って試合に臨み、それを実行できるかです」

     2007年に髙橋大輔が3連覇した以来、大会史上9人目となる3連覇を飾ることができるか。羽生の視界にあった暗雲ももうすぐ消えてなくなり、良好になりそうな気配だ。

    ※このスペシャルコラムはフリーランス記者の辛仁夏が担当しました。





  •  フィギュアスケートの全日本選手権は26日、長野市のビッグハットで開幕した。来年3月の世界選手権(中国・上海)などの代表選考会を兼ねた同大会には、日本のトップ選手が集結、限られた代表のイスを懸けて熾烈な戦いを繰り広げる。初日の男子ショートプログラム(SP)では、2007年の髙橋大輔以来となる全日本3連覇を狙う羽生結弦が、国際スケート連盟(ISU)の公認記録にはならないものの、今季自己最高得点となる94.36点で首位に立った。2週間前のGPファイナルで日本人史上初の2連覇を飾った羽生だが、中国杯での衝撃的なアクシデントからまだ1カ月半しか経っておらず、コンディションは万全の状態ではない。そんな中でも、五輪王者の実力は揺るがないようだ。冒頭の4回転トーループで鮮やかなジャンプを決めると、カウンターターンから入るトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)もキレを見せて、GOE(出来栄え点)では最高の3点がついた。しかし、今季の課題となっている3回転ルッツからの連続ジャンプでは、ルッツジャンプで前のめりに着氷して2つ目のジャンプは2回転トーループにせざるを得なかった。昨年は103.10点という驚異的な高得点を叩き出したが、今年は大台を超えなかった。

     「今回もルッツジャンプの失敗はありましたが、まずまず臨機応変にできてまとめることができた。この点数で満足しないようにしっかりと自分を高めていきたい。全日本独特の緊張感というか、周りが日本人の選手なのでいままでと違った緊張感がありました。今日は今日、明日は明日。一つひとつやっていきたい」  27日のフリーについては気負わずに臨むという羽生の視界は良好のようだ。


  •  その羽生をぴたりと追いかけているのが、最終滑走でノーミス演技を披露した町田樹だった。冒頭の4回転トーループ+3回転トーループの連続ジャンプをきれいに決めて波に乗り、情感たっぷりのステップを踏んで観客を魅了。演技後はやり切った満足そうな顔が見られた。苦手なスピンでレベルを取りこぼしたこともあり、合計90.16点で羽生に次ぐ2位だった。

     「オフシーズンからこれ以上ないほど準備をしてきたので、あとは全てにおいて全力を尽くすのみ。今日のSPは完全無欠の状態ではなかったですけども、今シーズン4試合目にして一番思いを乗せる演技をすることができたし、すべてにおいて悔いはなく出し切れた演技でした。このSPは自分でもとても好きなプログラムです。フリーの『第九』は全日本のために作ったと言っても過言ではないプログラムですし、シーズン最初にファンの方たちに全日本で僕の『第九』を見に来いと言ったからには、最後まで全身全霊を懸けて演じ切りたい。自分で大きな壁を作りましたけど、それを乗り越えられたら自分の思う『第九』という作品ができると信じているので、「人事を尽くして天命を待つ」気持ちです」

     やるべきことをやってきた自分を信じ切れれば、町田に勝利の女神がほほえむはずだ。


  •  この2トップを脅かしそうな楽しみな逸材が躍動した。SP3位につけた17歳の宇野昌磨だ。先のジュニアGPファイナルでジュニアの世界歴代最高得点を更新して初制覇した全日本ジュニア王者は、独特の雰囲気を醸し出したミスのない演技を見せて、合計85.53点をマークした。今大会には11年の14歳から5度目の出場となる宇野は、SPで初めて入れた4回転トーループを成功させるなど、緊張して様子も見せずに堂々と滑りきった。フリーでもミスのない演技ができれば、表彰台に立つチャンスは高い。そうなれば、11年大会で同じ17歳のときに羽生が銅メダルを獲得した以来の快挙となる。

     「ジャンプばかりに気を取られて表現しきれなかったのが心残りで、ところどころ満足いかないところがあった。いい点が取れたことは嬉しいが、まだまだやれることがあると思いました。いい演技をすれば得点はついてくると思うので、フリーも満足いく素晴らしい演技をして見ている人に感動したと言ってもらえるようにしたい」  秘めた闘志を燃やしていた踊れるスケーターに大きな期待が懸かる。

     先のNHK杯で初優勝を飾った村上大介は合計81.28点で4位につけたほか、5位には合計78.54点の無良崇人、6位には合計72.39点の小塚崇彦、ジュニアGPファイナル銀メダルの14歳山本草太は合計67.19点の7位と健闘、フリーでの演技にも期待したい。





  •  来年3月のフィギュアスケート世界選手権(中国・上海)などの代表選考会を兼ねた全日本選手権第2日は27日、長野市ビッグハットで行われ、男子はソチ五輪王者の羽生結弦がSP、フリーともに1位となり、合計286.86点で3連覇を飾り、世界選手権代表に選ばれるのは間違いないだろう。全日本3連覇は、2007年の髙橋大輔以来の快挙となった。中国杯での衝突アクシデントからまだ万全の状態でない中での戦いだったようだ。

     「これで今年の大会は締めくくりなので、とりあえずほっとしています。体調が悪い中、ミスを最小限にとどめられて良かった。優勝とか3連覇とかも関係なく、一生懸命に最後まで滑りきろうと思ってやりました。今日は体力的にしんどかったんですけど、諦めないことを意識していました。GPファイナルの疲れもありますし、中国杯から体調が悪いということもありますし、大変でした。とにかく疲れている中で、スピードを落としてでも最後までやり切った。特に後半のトリプルアクセルに関しては意識して跳べたので良かったです。今日は調子が悪くて体調がうまく上がらなかった中でも、僕ができることはしっかりやりました」

     2月のソチ五輪から始まった今年は、五輪王者の羽生にとっては激動の1年になったはずだ。今年最後の大会である全日本で3連覇の偉業を成し遂げ、いざ、来年の世界選手権でも2連覇を懸けた戦いが待ち受ける。まずは、コンディションを整えて痛めた身体をしっかりと癒して、万全の状態で今季最後の大舞台に臨んでほしい。


  •  総合2位に躍り出たのは、全日本ジュニア王者で先のジュニアGPファイナルも制した17歳の宇野昌磨だ。SP3位からシニア勢が崩れる中でフリーでも3位に入り、合計251.28点で順位を一つ上げて初めて全日本の表彰台に立った。プログラム前半の4回転トーループ、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)2本の計3度の大技ジャンプをきっちり決めるなど、GOE(出来栄え点)でも加点がついて高得点を叩き出した。ジュニアよりも30秒長いシニア用のプログラム終盤はさすがに疲労困憊(こんぱい)だったようで、演技後は苦しそうに顔をゆがめたほどだ。

     「最後のほうは足全体が力尽きた感じだった。よく最後までやり切れたと思います。4分でやっているジュニアからシニアの4分半のプログラムを滑るといつも体力が持たない。結構、通し練習をしてきたのに足りなかったかな。シニアの選手たちはすごいなと思いました。1個ジャンプを失敗してしまったんですけど、課題としていたトリプルアクセルや4回転トーループをまあまあ着氷することができたので、終わった感触としてはまあまあ良かったかな。フリーの165点が出たのはびっくりした。高得点が出せたのは、前半の大技ジャンプ2つがきれいに降りられたからだと思います。今年はジャンプを含めて、昨年と比べて自分でも思っていないくらい成長してすごく嬉しいですし、毎日ジャンプの練習して苦しかったですけど、いまは(大技の)ジャンプも跳べて楽しくスケートができているので、頑張ってきて良かったなといまは思います」

     試合を重ねるごとに自信と手応えをつかんでいる17歳の宇野。さらなる飛躍を目指して、来年3月初旬に行われる世界ジュニア選手権代表に選ばれれば、2010年の羽生以来、日本男子5人目となる初優勝も期待できる。その先、18年平昌五輪の活躍が見えてくるはずだ。



  •  今大会では勢いのあるジュニア勢に気おされて存在感が薄かった小塚崇彦だったが、SP6位からフリーで2位と挽回して合計245.68点で総合3位に食い込んだ。試合本番でここ最近、4回転トーループがまったく決められなかったが、この日のフリーでは回転不足だったものの4回転を2本跳んで認定されるなど、10年大会の全日本チャンピオンとしての意地を見せた。今回、表彰台に上ったことで代表選考への猛アピールになっただろう。 「フリーで何とか全日本にピークを合わせることができた。小さなミスがあった中、最後まで滑りきることができ、ジャンプもしっかり入ったことは大きい。自分にとって今後前向きに考えられる試合になったかなと思います」

     昨季世界選手権2位になるなど躍進した町田樹は、SP2位からフリーでは5位と沈んで合計242.61点の総合4位に留まり、表彰台を逃した。今季ここまでは安定感のあった4回転トーループで2本目を転倒し、最後の3回転ルッツでは「e」(不正エッジエラー)マークがついて得点を伸ばすことができなかった。

     2年ぶり3度目の世界選手権代表を狙った無良崇人は、SP、フリーともに自分の力を出し切れずに合計236.40点で総合5位に終わった。ジュニアの有望株で今後が楽しみな山本草太がSP7位から順位を一つ上げて総合6位に入ったほか、NHK杯覇者の村上大介はSP4位からフリーでミスが続き総合7位だった。


  •  女子のSPでは、今季シニアデビューを飾り、GPシリーズのロシア杯優勝、先のGPファイナル(6位)に初出場を果たした本郷理華が最終滑走の重圧をはねのける会心の演技を見せて、66.70点で首位に立った。

     「一番になれるとは思っていなかったのでびっくりしています。自分が出せることは出せたことが一番嬉しいです」

     28日のフリーでは最終グループの一番目に滑る。上位勢の結果が分からない中で余計なプレッシャーがかからず、自分の演技に集中できるだけに本郷らしいダイナミックな演技ができれば初優勝も見えるはずだ。

     2位には64.48点の宮原知子が入ったほか、全日本ジュニア女王で13歳の「超新星」樋口新葉が64.35点で3位と好位置につけた。首位とはわずか2.35点差だけに、勢いに乗る樋口がフリーでもノーミス演技をすれば、面白い戦いになりそうだ。 昨年まで2年連続2位で初優勝候補ナンバーワンと目されていた20歳の村上佳菜子は、ジャンプの回転不足にスピンでもレベルを大幅に落とす痛恨の演技となって、本人も「予想外」の減点が多く、57.55点で9位と出遅れた。女子フリーは28日に行われ、誰が勝っても初優勝となる。





  •  フィギュアスケートの全日本選手権は28日、長野市ビッグハットで行われ、女子はショートプログアム(SP)2位の宮原知子がフリーで131.12点を出して逆転し、合計195.60点で初優勝を飾り、来年3月の世界選手権(中国・上海)代表に決まった。

     16歳の宮原は小柄なために演技が小さく見えてしまい、ジャンプも高さがないために回転不足を取られることが多い。その課題克服のために取り組む中で、今回の全日本ではしっかりと高く跳び力強く回り切ることを意識して臨んでいたという。フリーでも3つのジャンプでアンダーローテーションと判定され、なかなか課題をクリアできないが、ジャンプ構成で果敢に挑戦して全日本女王の座を引き寄せた。プログラム後半に難しいジャンプを持ってきた。ダブルアクセル(2回転半ジャンプ)+3回転トーループの連続ジャンプを2本決めて16.58点を稼いだ。技術点では基礎点57.42点にGOE(出来栄え点)加点が10点近くついて2位以下を圧倒する66.88点の高得点だった。

     「緊張はしていたんですけど、ジャンプでしっかり足に力を入れて跳べていたので良かった。3回転+3回転は跳ばなかったんですが、練習をしてきたダブルアクセル+3回転トーループを2本跳べたのは良かったです。優勝はしたんですけど、ジャンプも足りないところがあったりして、完全に飛び抜けているわけではないので、これからもしっかり練習していきたいです。しっかりノーミスするんだという気持ちと緊張を振り払うようにした。3回転+3回転の回転不足が多かったので、勢いがつく後半に3回転トーループをつけるほうが得点は高くなるのでジャンプ構成を変えました」

     今回の全日本は強気で臨むことを決めていたという宮原に勝利の女神が微笑んだようだ。


  •  SP首位だった18歳の本郷理華は、フリーでほぼミスのない演技を見せる会心の出来で121.93点を出し、合計188.63点で総合2位に入った。演技は両手でガッツポーズして満開の笑顔だった。

     「今日はジャンプがすべて決まって、アッコ(昨季限りで引退した鈴木明子)さんにアドバイスをしていただいた表現の面とか頑張ってきたところが出せたので良かったかな。順位よりもSPでもフリーでも自分のできることが出せたのが嬉しいです。最終グループで滑れるだけでも成長したかなと思ったので、順位は気にしていなかった。長久保コーチからは『力を入れすぎず伸び伸びやってこい』と言われました。ここまでたくさんの試合に出られていい経験になったので、残りの大会や次のシーズンにつなげていきたい」

     そう演技後に話していた本郷の次の試合は、2月の四大陸選手権と3月の世界選手権だ。2つの大きな国際大会に初めて出場することになった本郷が、どこまで世界に顔を売ることができるのか、いまから楽しみだ。


  •  総合3位に入ったのは、合計181.82点を出した全日本ジュニア女王で先のジュニアGPファイナル3位の樋口新葉だ。SP3位と好発進した13歳の勢いはすごかった。フリーでも爆発したパワフルな演技が期待されたが、この日は極度の緊張感に襲われてしまい、冒頭の3回転ルッツでパンク。その後は動揺せずにしっかりと演技をまとめた。並みの13歳でないのは、プログラム後半で緊張から足が動かなくなってジャンプでミスを出しながらも最後まで諦めずに滑りきったことだ。技術点では宮原に次いで61.79点の高得点を出すなど、しっかりと基本技を身につけている強みがある。ジュニアが表彰台の一角を占めたのは大健闘と言ってもいい結果だろう。

     「いま持っている自分の力を出し切るという目標を達成できなかったのは悔しいですけど、フリーで117.47点を出せたことは良かったです。今日はミスをしないようにしたいと思い、緊張し過ぎてしまって足がすくんでいます。こんなに緊張したのは初めての経験でした。この全日本は大きな大会で出てみたい試合ですごく楽しかったんですけど、完璧な演技ができなかったのが残念です。ジュニアデビューした今年はすごく成長できた1年だと思います」

     あまり緊張したせいで演技後は足に力が入らない脱力状態に陥り、報道陣の前に両脇を抱えられてきた樋口は立っていることもできずに椅子に座って質問の受け答えをしたほどだった。

     16歳の永井優香が合計168.55点の総合4位に入ったほか、優勝候補だった村上佳菜子はSP9位と出遅れた影響が大きく、フリーでも4位と振るわずに合計168.29点の総合5位に終わった。





  •  ソチ五輪翌シーズンとなる今季の全日本選手権が28日に終わった。今大会を振り返ると、2018年平昌五輪に向けて世代交代があったと言っていいだろう。特に女子は顕著で、全日本の表彰台に上ったのは3人とも10代選手だった。初優勝の宮原知子が16歳、銀メダルの本郷理華が18歳、そして今季ジュニアデビューしたばかりの樋口新葉は「彗星のごとく現れた」13歳だ。将来有望な逸材がシニアと遜色ない実力を発揮して、一気に表舞台に躍り出てきた。

     今季は浅田真央が休養し、鈴木明子や安藤美姫は昨季限りで現役を引退するなど、日本女子はエース不在中だ。そのエース候補の最右翼だった村上佳菜子が今季はなかなか結果を残せずに不振に陥っている。クセのあるジャンプの影響が大きいようで、減点対象になって得点が伸びず、昨年まで2年連続2位だった今大会で表彰台を逃す羽目に。

     全日本でメダリストになった若手3人娘は、ジャンプやスピン、ステップなどの基本技術がしっかりしていることが共通点に挙げられる。基礎がしっかりしているお陰で、伸びしろの幅が広く、さらなるレベルアップが図れる。そして、3人3様の個性が見られるのがいい。宮原はスタミナと豊富な練習量を武器にどんなジャンプ構成でも作れる強みがある。本郷は166センチの上背と手足の長さを生かしたダイナミックな演技が特徴だ。そして、浅田真央の再来とも言える「超新星」の樋口は、圧倒的なスピードとパワフルな勢い、弾むゴムまりのようなぶれのない力強いジャンプなど、どのエレメンツもすでにシニア顔負けの技術を持つ。

     おそらくこの3人は今後、さらなる飛躍を遂げるはずで、大いに期待できる。この3人に全日本では後塵を拝することになってしまったが、ソチ五輪代表の村上もこのまま負けてはいられない。今回浮き彫りになったクセのあるジャンプを修正して回転不足や減点対象にならないようにしてきてほしい。技術的にも表現面でも優れている20歳の奮起を促したいところだ。


  •  また男子は、全日本3連覇を果たした20歳の五輪王者・羽生結弦を中心に、羽生の同世代のシニアやジュニアで活躍する17歳の宇野昌磨と14歳の山本草太ら若い力がどんどん出現してきそうだ。世界選手権代表にはまだジュニア勢は選ばれず、昨年大会に続き銅メダルを獲得した25歳の小塚崇彦と総合5位と振るわなかった24歳の無良崇人のベテラン選手が選出されて健在ぶりをアピールした。今回の全日本では、昨年大会の総合7位から躍進して銀メダルに輝いた宇野が世界ジュニア選手権で日本男子としては5人目となる初制覇を狙う前に、シニアの四大陸選手権で肩慣らしをして自分の実力を図るいい機会を得た。表彰台に上る力を見せられるのか、はたまたシニア勢を向こうに回して初優勝を勝ち取るのか。楽しみな試合になりそうだ。

     今後のジュニア勢の活躍が期待される中、全日本選手権後に突然の現役引退を町田樹が発表した。世界選手権代表に選ばれ、挨拶に立った町田が発したの衝撃の言葉だった。

     「この全日本をもって現役を引退することを本日(28日)決断しました。今後は新たな道でゼロからスタートして、(早稲田大学大学院に入り)スポーツ科学の研究者としての道を進んでいくことにします!」

     まだまだ町田イズムがたっぷり詰まった演技を見たり、「氷上の哲学者」としての町田語録を聞いたりしたかっただけに、非常に残念な決断だった。今季掲げたテーマである「極北」の2つのプログラムの完成形を世界選手権で見たかったファンは多いに違いない。もう競技会で町田の演技が見られない寂しさはあるが、彼が決めたセカンドキャリアの人生を今後は応援していきたいと思う。


  •  日本スケート連盟から新人賞が発表され、男子は佐藤洸彬、女子は樋口新葉が受賞した。

    【世界選手権代表】(中国・上海)
     男子:2連覇を目指す羽生結弦、小塚崇彦、無良崇人
    女子:宮原知子、本郷理華、村上佳菜子
    ペア:高橋成美、木原龍一組


    【四大陸選手権】(韓国・ソウル)
    男子:宇野昌磨、無良、村上大介
    女子:宮原、本郷、永井優香
    ペア:高橋、木原組
    アイスダンスはキャシー・リード、クリス・リード組、平井絵己、マリオン・デ・ラ・アソンション組

    【世界ジュニア選手権】(エストニア・タリン)
    男子:宇野、山本草太、佐藤洸彬(ひろあき)
    女子:樋口新葉、永井、坂本花織
    ペア:古賀亜美、フランシスブードロ・オデ組