数々の有力選手を指導する長光歌子さんが
フィギュアスケート界を楽しく語ります!

歌子の部屋

vol.69

対談企画 ゲスト:橋本聖子さん

幼少時よりスケートに慣れ親しみ、難病と闘いながらも高校2年生から全日本選手権を10連覇。自転車競技も合わせ7度オリンピックに出場し、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長を務めた橋本聖子さんに歌子先生とお話を聞いてきました。

アスリートのこれからについて―

長光歌子先生

歌子先生は今、何名くらいの生徒さんを見てらっしゃるんですか?

私はもう今は絞ってしまって10人くらいですね。

一番下の生徒さんで何歳くらいですか?

今はそんなに小さな子供たちは教えていないので、中学生くらいですね。

歳が上の子と時間がまちまちになってしまうので大変ですよね。

どのスポーツでもそうでしょうけれど、学校との兼ね合いも難しいですし、ちょっと特殊な競技をやっている生徒はどうしても両立が難しいですよね。

北京オリンピック代表に選ばれた鍵山選手もそうですが、現在は通信制の学校に通っている選手が増えてきましたよね。

そうですね。そういう選手が増えてきました。

オンラインで授業を受けられるようになると、世界中どこに居ても大丈夫になりますね。

練習に行くと、一生懸命パソコンで授業を受けている子たちも見かけます。

今回、東京オリンピックを準備するにあたって、大会期間中の交通量の削減などを目指して、2~3年前からテレワークを推奨するように各省に働きかけていたのですが、なかなか進んでいませんでした。ですが新型コロナウイルスの流行で、一気にテレワークの体制が進むこととなりました。

まさかですね!

テレワークやワーケーションでどこでも仕事ができるようになってきていて、各自治体の長の方々が頑張って、地方へ移住を進めやすいような街づくりを目指しています。様々な事がつながっていきますよね。また、昔はスポーツ選手には企業がついて、終身雇用まで面倒を見るスタイルが多かったのですが、今はスポーツをやる意味や意義、価値を認識して、次を見据えキャリアを積んでいけるような準備をアスリートが現役の時からしていくべきです。そして、それを国や行政が後押しすることが重要だと思っています。

学校との両立が難しくて、伸びなきゃいけない時に受験とか、節目節目にぶつかって悩んで辞めてしまう選手も多いですよね。海外のように選手を集中してやってから勉強に戻るとか、それも社会的にまだ受け入れられていない感じはします。

文部科学省もリカレント教育を進めてきていて、生涯を通じて学ぶ機会や環境を整えないといけないという考えになってきています。大学生として4年間学ぶことと同じようにオリンピックを目指したいと思っても、海外の選手のように休学して学び直す環境が整っていないですよね。ただ最近少し変化があって、高卒認定試験に合格するだけでなく、通信制高校についても学校教育法により3年以上在籍し、必要な単位数74単位を修得することで高校の卒業資格を取得することができます。いずれも、通学が必要な通常の高校の高卒資格と同じように大学受験資格が認められているんです。アスリートだけでなく、一人の人間としてどういう生き方をしたいのかということに、教育が寄り添っていくシステムに力を入れています。

ありがたいですね。

橋本聖子さんのこれからについて―

歌子先生が生涯を通じて小さい子供もアスリートも育ててくれていますよね。そういう現場が常に気概を持って居られる場所が作られていくと、結果的に社会全体の健康寿命延伸に繋がったり、子供たちの生きづらさがわかる目の行き届いた教育に繋がったりしていけると思っています。そんな環境を整備したいですね。私はスポーツを通じてやってきたので、スポーツと全てが一体となって最終的に産業になればいいと思っています。スポーツ以外にも、食だったり観光だったりですね。全日本フィギュアもそうでしたけど、これだけフィギュアスケートで人が集まってくれるということは一つの文化や芸術で、産業にも繋がって経済効果ももたらしていけますよね。あらゆる人々が自分自身の目標を持ってやっていれば、キャリアは築いていけるんだという安心感を、教育の現場やスポーツの現場にもたらす影響力を政治はもっと持たないといけないと思っています。そこが私の課題ですね。今、誰もが生きづらさを感じる状況でコミュニティを復活させるということ、健康な街をいかに作り上げて行くかということをひとつの法案にすることを目標に、議員立法を作る準備をしています。

すごい力になりますね。

橋本聖子さんのこれからの目標川柳

橋本聖子さん川柳

ありがとうございました!

長光歌子(ながみつ うたこ)
長光歌子(ながみつ うたこ)