数々の有力選手を指導する長光歌子先生が
フィギュアスケート界を楽しく語ります!

歌子の部屋

vol.57

歌子先生に今シーズンについて色々な事を聞いてきました

歌子先生にコロナ禍での指導や、大会を通してどのように感じたのか、また村元哉中&髙橋大輔組の初挑戦について聞いてきました。

歌子先生

村元&髙橋組のアイスダンスデビュー戦をご覧になっていかがでしたか―

 本当にうまかったですよね!?普通は1年やそこらであんなにできるものではないと思います。びっくりしました。
 シングルの大輔は自由に滑って裏拍をとったりする、そういうところが彼の上手さでもあるじゃないですか。でもアイスダンスではちゃんと表のリズムに合わせないといけないので、そこはこれから時間をかけて身につけて行くのでしょうね。

「さすがだな」と思った事を教えてください―

 リズムダンスは色々あって全然練習時間がなかったそうで、西日本選手権は帰国せず「NHK杯まで練習できて良かった」と大輔からも聞いていましたので、緊張して見ていました。次の日のフリーは、リズムダンスよりしっかりと練習ができていたそうで、本当に凄いプログラムだなと感心しました。
 時々ナショナルトレーニングセンターでお会いする滝野(薫)さんに「急には大輔はリフトなどできないのでは?」とお聞きしたら、「最初は最低限でいいのよ。レベルなど気にしないで」と言われていたので、今回の片足リフトには驚き、凄く努力したのだな、流石大輔だな、と思いました。
 大会前に、愛犬に会いに我が家に来てくれました。「ご飯は何がいいか?」と尋ねたら、シングルの時には体重や体脂肪がつくからと口にしなかった串カツのリクエスト。〆のお茶漬けまでしっかり食べて、驚いている私に「身体を作るのにプロテインも食事も一生懸命摂るのだけれど、運動量が凄いのでなかなか体重が増えない」と。太らないように食事を制限するのも大変だけれど、筋肉を増やすため食事の量を増やすのもまた大変なことだと思いました。

デビュー戦、心配だったことはありますか―

 本当にあらゆることが心配でした。他のコーチの先生や、ジャッジの方たちが私を見て「先生、お母さんになってますよ」と言われました(笑)。
 シングルとは全く違って、わからないことばかりなので、全く予想がつきませんから、本当に全部が心配でした。
 それから今回大輔達に帯同してくださったオレグ・エプスタイン先生とも少しお話できる機会があり、テクニカルばかりではなく、精神も素晴らしい方だと感じ、マリーナ(・ズエワ)先生とオレグ先生におまかせしていたら絶対に大丈夫だと確信しました。

パートナーの村元選手について、演技を見てすごいと思った事などはありますか―

 本当に村元さんのおかげでアイスダンスをできていると思います。200%村元さんじゃなきゃできなかったと思いますね。哉中ちゃんだから決意したのだと思いますが、本当に良かったと思います。ずっと大輔のシングル演技を見てきましたが、最近は二人で滑っていないと寂しいなと思うくらいに素敵です。
 体格や顔の大きさも揃っているのも個人的にはいいなと思います。村元さんはインターナショナルスクールにも通っていたので、英語の細かなニュアンスも伝えられるところも大輔の大きな助けになっていると思います。ご飯も作ってくれているそうで、至れり尽くせりですね。

今後こうなったらいいなという事を教えてください―

 NHK杯の事になりますが、アイスダンスがメインで放送がある事が本当に嬉しかったです。
 スケートは好きだけど、ジャンプが跳べなくて第一線に行けないような選手達の新しい道になったら嬉しいなと思います。また初めから「アイスダンスがやりたい」という子たちが、もっと増えてくれるかもしれませんね。
 見る側としては、もちろんジャンプもフィギュアスケートの良いところですが、ジャンプじゃない部分も好きな方達もたくさんいるので、そういう方達が、新しくアイスダンスに注目してくれるような流れになっていけば嬉しいです。
 この注目をきっかけにアイスダンス競技が流行って、練習環境も整って、日本でもアイスダンスが強くなっていくと嬉しいですね。

ありがとうございました。

歌子先生
長光歌子(ながみつ うたこ)
長光歌子(ながみつ うたこ)