数々の有力選手を指導する長光歌子先生が
フィギュアスケート界を楽しく語ります!

歌子の部屋

vol.45

2019-20シーズンを振り返っていただきました。

髙橋大輔選手のアイスダンス転向や世界選手権の今シーズンの開催中止など様々な事があった2019-20シーズンを歌子先生に振り返っていただきました。

2020.3.28

歌子先生

はじめに

 突然のクリス・リードさんの訃報には打ちのめされた思いです。長い間日の丸を背負って頑張ってくれたクリス…。
 有難う!思い出は尽きません。安らかにお眠りください。
 また、新型コロナウイルスの影響で、オリンピック及び様々なイベントが中止になっていますが、選手の皆様と関係者の皆様全員が一丸となり、みんなでこの現状を乗り越えていきましょう!本当にいち早くこの事態が収束することを願っております。

世界選手権の実質の中止は先生も経験のない事態かと思います。シーズンが締めくくられないことについてどう感じましたか―

 選手、コーチ、連盟の関係者の皆様は中止発表まで、日々落ち着かない不安な毎日だったと思います。今考えれば、四大陸選手権、世界ジュニア選手権が滞りなく無事開催されたことが奇跡だったとさえ感じます。
 ただ、世界や日本の深刻なニュースを見聞きするにつけ、当たり前のようにいつも通りの練習ができ、試合に出られる日常がどんなに幸せな事か再確認させてもらいました。

選手にはどのようなケアが必要でしょうか―

 世界選手権参加予定だった選手の皆さんは、もうすでに次を見据えていると思います。少し身体と心を休めてリフレッシュし、来シーズンに向けリスタートしてほしいと思います。
 そして、何より一日も早く新型コロナウイルスが収束し、すべての選手の練習環境が元の通りに戻り、来シーズンに自分のベストが出せるよう、切磋琢磨する日常を取り戻せるように祈るのみです。

他の大会も開催が不明な状態で、コーチとしてどんなことをされていますか―

 近々の地方大会も中止が決定し、選手たちは目標を失いがちですが、こんな状況の時こそ基礎的なスケーティングや、スピンに時間をかけることができます。
 幸い、私達のリンクは通常に近い練習時間を確保できていますので、ステップやターン、(コンパルソリーの)ループやツイズルなど、一つ一つ選手たちに説明しながら練習しています。
 スピンも試合期には時間をかけられない細かい注意をしながら練習しています。

世界選手権出場予定だった選手たちがそれぞれコメントを出していましたが、どう思いましたか―

 皆さん、心も身体も一流だなと改めて感じました。
 彼らは世界選手権に向けどれだけハードな練習を積み重ねてきたことでしょう。大会中止決定は無念だったに違いありません。
 でも、自分達の気持ちより、全世界の新型コロナウイルスの罹患者の方々や、周りのすべての人々へのエールを送った選手の皆さんに尊敬の念を抱きます。
 個人的には田中刑事選手の来シーズンの現役続行の報告を嬉しく読みました。

世界選手権で見たかった演技を教えてください。

 男子ではやはりネイサン・チェン選手と日本の羽生結弦、宇野昌磨両選手との戦い方を見たかったですね。特にステファン・ランビエールコーチとタッグを組んだ宇野昌磨選手がどんな滑りを見せてくれるのか、非常に楽しみにしていました。
 女子ではロシアの新進気鋭の3選手と、成長著しい紀平梨花選手、そして私の大好きなスケーティングでいつも素晴らしいプログラムを見せてくれる宮原知子選手、全日本選手権では震える演技を見せてくれた樋口新葉選手、この日本3選手がどんな活躍をしてくれるのか大いに期待していました。
 それからアイスダンス!昨年とは違い全ての組の滑りを見たかったですね。

長光歌子(ながみつ うたこ)
長光歌子(ながみつ うたこ)