数々の有力選手を指導する長光歌子さんが
フィギュアスケート界を楽しく語ります!

歌子の部屋

vol.44

対談企画 ゲスト:薄田隆哉さん

かつては自身がアイスショーで活躍をされ、今は数々のアイスショーの構成、演出を手掛ける演出家薄田隆哉さんにアイスショーについてお話を聞いてきました。

このお仕事を始めたきっかけは―

長光歌子先生

自分自身アイスショーに出演していて、荒川さんがオリンピックで優勝した年のクリスマスに自分でもアイスショーなどのイベントができないかな、できたら面白いかなと考えていた時に、たまたまタイミング良くお手伝いをさせてもらったのがきっかけでした。自分がショーに出ていた経験もあり、自分でショーを手掛けたいという想いは漠然とありましたね。タイミングとみなさんのお導きがあったので本当にラッキーでした。

想像力やクリエイティブな能力がないとできないと思うので、そういう才能に感心します。

ショーの流れで最も気を付けていることは

気を付けているというか、気にしているのは曲と曲のつながりの時にできる“間”ですね。

大切ですよね。

かぶせ気味になってたり、空きすぎたりしてしまうと気になってしまいます。
毎回“間”の感覚が変わってしまうとお客さんも戸惑ってしまうので、そういう変な“間”がないようにと進行さんとの打ち合わせでお願いをしています。
技術さんや音響さんもプロなのでそういう“間”は気にしていて伝達と共有を大事にしています。照明さんには遊び心と想像力を大事にして楽しめる演出にしてもらっています。

この仕事をやっていてよかったなと思う瞬間はいつですか

やはり皆さんや選手からの感想につきますね。自分の思いやストーリーが伝わった時がとてもうれしいです。

全く何もないところから、演出で感動が生まれるじゃないですか、本当に尊敬します。

ありがとうございます。そしてもう一つは最高のチームができたと感じた時です。毎回ショーが終わってダメ出しや感想を言い合う場があるのですが、厳しく言うこともあればもっとこうしていこう!と励ましあったりもします。みんなでひとつの同じイメージに近づけていこうとする、プロフェッショナル達の良いチームができたと感じたときですね。

長光歌子先生

演出はいつもスムーズに出来上がるのですか

出来上がるまでは毎回「今回でやめて休もうかな」と考えたりもして、こんな例えは失礼かもしれませんが、まるで妊娠している時みたいです。ショーが出来上がると子供が産まれたという感覚で、産まれた瞬間はよかったー!終わった!こんなに大変ならもう妊娠も出産も二度としたくない!という感覚になるのですが、落ち着くとまたもう一人欲しくなります。出産はそんな簡単なもんじゃないわよ!と怒られるかもしれませんが、そういうイメージですね。例えば子供が5人いたら5人それぞれの良さがあるんですよね。毎回自分の中で小さな感動が必ずあるように作っています。

作られるときは「やめてやる!」というところまでいくんですね。

毎回そうですね。楽をしてしまうと出来上がったとき後悔しちゃうので。

だから毎回心に沁みるんですね!

緊張する瞬間はいつですか

ショーの時はリハーサル初日の選手が入ってくる直前が一番緊張します。
選手がみんな揃って挨拶を済ませるとやっと安心しますね。

ショーが始まる直前ではないのですね!おもしろい!

皆さんに会う時が一番の緊張の瞬間です。

長光歌子(ながみつ うたこ)
長光歌子(ながみつ うたこ)