数々の有力選手を指導する長光歌子先生が
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歌子の部屋

番外編

祐輔の部屋 2019飯塚フィギュア合宿編

歌子先生の教え子でひょうご西宮アイスアリーナでコーチを務める林祐輔先生に、8月下旬に行われた2019飯塚フィギュア合宿について伺ってきました。

2019.10.1

林先生

今回の合同合宿について―

 いつの頃からを合宿といっていいのかはわかりませんが、僕が西宮にきてからこういう形式になったので、そういう意味では今回で5年目ですね。でも刑事は十何年前のノービスの頃から合宿には参加していました。そう考えると当時は引っ張って行かれる側だった刑事が、今はとうとう最年長になっているのが感慨深いです。
 今回はリンクまでの行き道はバスで移動しますが、帰りは宿舎まで歩きで帰るようにしているのですが、お姉さん選手達は下の子たちの面倒をちゃんと見てくれています。そういう役割がずっと巡って、今の小さな子たちがお姉さんになった時に、自然とそういう風になってくれると嬉しいです。みんなの成長が合宿の楽しみの一つでもあります。
 今回は上の男の子たちも慣れてきているとは感じます。また、今年はみんな環境が変わって、三宅星南選手は普段関大中心ですし、山隈太一朗選手は東京で、そんなみんなが合体すると凄いパワーを感じます。
 特に今年男子は飯塚の中野紘輔くん含め11人いますが、ジュニアやノービスも含め、全日本経験者が沢山いて、紘輔くん、刑事、(本田)太一くん、(三宅)星南くん、(山隈)太一朗くん、櫛田(一樹)くん、吉岡希くん、片伊勢武くん、垣内珀琉(ハル)くん、という感じで男子のレベルが高くて勢いがあるので、皆がすごく盛り上げてくれています。今朝なんかは、刑事が4回転を降りるとみんなが喝采するので、刑事は4回転をやめられなくなって、後半倒れてもずっと4回転跳んでいました(笑)
 今回は同じ関大の本田太一君も来てくれています。太一君は刑事にたまたま合宿の話を聞いたそうで、「合宿に入りたいです」と僕のところに来たのですが、他の先生という事もあり勝手に出させるわけには行けないので、「許可をとってきてね」と伝えたところ、すぐに「ラファエル先生に許可は頂いてきました」と来てくれました。刑事も「太一が来たら頑張れる。来て欲しい」という事だったので、「じゃあ来て!」となりました。彼はこの合宿への参加も僕がレッスンをするのも初めてでしたが、メニューは真面目にこなしてくれるし、今日なんかは「刑事君抜いたら僕が年長なんですよ」と言ってくれて、年長として盛り上げにも参加してくれて、刑事も本当に助かっていると感じます。
 飯塚の河野先生の所から参加してくれている中野紘輔くんも、今年が最後だといっていますが、去年よりジャンプが安定していますし、スケートもきれいです。男子は10人いますが本当に十人十色で面白いです。本当に個性的ですよね。そう思うと女子もみんな光るものがあるし、今回のメンバーは全員目が離せないですね。面白いと思います。

今回の合宿はいつもと変わって飯塚、そしてチーム林の合宿という事ですが―

 西宮のリンクは僕のチームも含め4チームが使用していて、普段貸し切りも1チームで1日1時間くらいしか取れません。今年は他のチームがお盆時期に合宿に行かれることとなり、中旬にリンクが空く事となりました。せっかく空いているホームリンクを無駄にしたくない気持ちがあり、北海道合宿が決まっていましたが、林チームは8月の下旬に合宿を行いたいと、6月の下旬、もうぎりぎりの時期にいろいろなリンクにお願いをしました。その中で飯塚アイスパレスのチームが快く受け入れてくださることとなり、今年の合宿は飯塚で行うこととしました。8月19日から飯塚チームが受け入れてくれると裏取りができたので、僕のチームはリンクの関係上飯塚でやってもいいですかと歌子先生に相談したところ、「あ、いいよ、そっちでやったらいい。でも…うちのチームも頼むよ」と言われました(笑)
 また、武史先生はちょっとこの時期忙しくなってしまい、歌子先生、武史先生の生徒が合わせて6人ということもあり、まあいつもの人数に6人増えるくらいなら…歌子先生もいるし!と武史先生のチームも受け入れることとなりました。今まさかの一人でやることになってしまっています(笑)でも河野先生たちにもサポートいただいていますし、何とかやっていけています。河野由美先生を筆頭に飯塚のみなさんが本当に素晴らしい体制で迎えてくれました。
 また、飯塚チームの合宿はもう終わっているのですが、今回はその中から3人がこちらの合宿にも参加しています。向こうの生徒さんからチャレンジしてみたいと名乗り出てきてくれた感じです。河野先生たちがいて、うちの生徒たちもいつもより気が引き締まっている気がしますね(笑)いつもの歌子先生、本田先生とのチームとはまた別の雰囲気があります。
 いつものメンバーと違うメンバーということで生徒もいつもとは違う刺激を受けているとは思いますが、河野先生、岡崎先生たちも一流の先生たちですので、インストラクターとしても刺激をたくさんいただいています。いつも、試合なんかではお会いしたり一緒に仕事したりはありますが、今回は初めて一緒に指導をして、本当に楽しいです。河野先生は声も出ますし、良くしようとしてくれているのを凄く感じますし、嬉しいですよね。いつもより僕も充実しています。

林先生

今回の合宿の目的は―

 今年のメンバーはブロックも西日本選手権も、当然全日本でも目立つ子たちもいますが、全員が戦って勝ち残ってほしいです。普段キッチリと練習している子たちが集まっているので、皆に残ってほしい…大まかにいうとシーズンに向けての決起集会のようなものですね。みんなで盛り上がって行こうと。
 でも合宿としては詰めてできるという事や、家から離れて環境を変え、スケートもやりながら自分たちで自分のことをするという経験がとても良いですね。特に下の子たちが自立するタイミングとしては、とても良いと思います。一番下が小5の木村咲良さんで、そこから上は皆中学生なので、自分のことをちゃんとできるようになる年齢ですね。

苫小牧と気温が大幅に違うかと思いますが、レッスンの内容は―

 苫小牧だとトレーニングは施設が取れなかったとしても、外でトレーニングができる気候でしたが、こちらではそういうわけにはいかないので、トレーニング施設をお借りできるように様々な協力をしていただいています。今回は刑事についてくれているトレーナーの江良さんが所属している、九州医療スポーツ専門学校さんが全面協力をしていただき、施設の予約やトレーニングの指導、クールダウンやマッサージなども江良さんを筆頭に2~3人体制で付いててくださっています。こういったメニューを作ってほしいというようなお願いや、こんなところを鍛えたいといった要望も、すぐに取り入れてくださって本当に助かってます。
 この1年間僕と江良さんはコラボレーションして、スケートに必要な能力をトレーニングするためのいろいろな試みをしてきました。刑事のレッスンの時は必ず付き添っていただき、4月からは個人レッスンの時は僕の隣に立ってもらって、どんな指示をしているのか、ジャンプをするための身体の動かし方など、僕が刑事に向かって言っている事を聞いていただいて、それを陸上に反映していただくように調整していただいたり、合うトレーニングをして探していただいてやってみたり、新しい試みをしていますね。今までより一層スケート向けのトレーニングになっています。
 また、去年は30人近く人数がいたのでリンクの広さ的にも大変でしたが、今年は受け入れをしても20人ちょっとなので貸切中に全員で氷上練習ができますし、小さい子たちもかなりレベルの高い子たちなので、全然十分対応できると思い班分けを能力別ではなくランダムにしています。

長光歌子(ながみつ うたこ)
長光歌子(ながみつ うたこ)